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『ARIA The CREPUSCOLO』広橋涼&佐藤利奈&茅野愛衣インタビュー!“オレンジぷらねっと”は「お風呂で絆が深まる」社風?

2021.03.05 <PASH! PLUS>


PASH! PLUS

 天野こずえによる漫画『ARIA』を原作とする完全新作アニメーション『ARIA The CREPUSCOLO』が、3月5日(金)に公開される。

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 本作の舞台は、水の惑星アクアを代表する観光都市ネオ・ヴェネツィア。街をゴンドラで案内する水先案内人“ウンディーネ”として働く少女たちの日常を描いている。そんなアニメ化15周年作品となる『ARIA The CREPUSCOLO』では、天野先生による完全新作描き下ろし原作漫画をもとに、業界トップクラスの水先案内店“オレンジぷらねっと”をメインとしたストーリーが展開。アテナ・グローリィとアリス・キャロルの出会いや、2人の後輩としてオレンジぷらねっとに入社したアーニャ・ドストエフスカヤの悩み、そして関係性の変化などが描かれる。

 この度、そんなオレンジぷらねっとの3人を演じる、広橋涼さん(アリス役)、佐藤利奈さん(アテナ役)、茅野愛衣さん(アーニャ役)にインタビュー。前作『ARIA The AVVENIRE』より約5年ぶりに『ARIA』に触れてみての感想や、オレンジぷらねっとがメインとなるストーリーの印象。また佐藤さんには、川上とも子さんを継いでのアテナ役を務めることに対しての気持ちなどをたっぷりと伺った。

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広橋涼&佐藤利奈&茅野愛衣インタビュー

――5年ぶりの新作公開ということで、SNSで大きな話題となりました。皆さんが新作制作の話を聞いた時の印象や、喜びを聞かせてください。

茅野:『ARIA』のファンとして、「また『ARIA』の世界に触れられるんだ!」という嬉しさが最初にこみ上げてきました。しかも、オレンジぷらねっとのお話だということで、ワクワクが止まりませんでしたね。台本をもらうのをずっと楽しみにしていました。

広橋:私は、映画をやるって全然教えてもらえなかったんですよ…

茅野:それにもちゃんと意味があるんですよ(笑)

広橋:サプライズを考えてくださっていたようなのですが……私が知った時にはみんな知っているというだけの「なんのサプライズ?」っていう(笑)。でも、やはり新作アニメを劇場で公開すると聞いた時は、本当に変な声が出ました。そして、5年ぶりにまた『ARIA』のキャラクターたちに会えるというのは、すごく嬉しいなと思いました。

――佐藤さんは、今回からアテナ役として参加されます。『ARIA』にはどのような印象を持っていましたか?

佐藤:川上とも子さんからアテナさんを引き継いでもらえませんか、とお声掛けいただけたことはとても光栄で嬉しかったのですが、とも子さんと私が持っている色合いが少し違う気がして…なので一度「もっととも子さんらしさを持った方がいらっしゃる気がします」と相談させていただきました。そうしたら佐藤順一総監督直々に思いや経緯を綴ったメールを送ってくださって。監督がこう言ってくれるなら、きっととも子さんのアテナさんと、私に通ずるものがあるのではと思い、できる限り精一杯務めますとお受けしました。

――これまで『ARIA』という作品を見たことはあったのでしょうか?

佐藤:お話をいただいてから『ARIA The ANIMATION』を見始めました。15年という歴史のある作品ですし、改めて「すごい作品に出ることになってしまった……!」という気持ちです(笑)。やはり、プレッシャーは感じています。

――台本を読んでみての印象もお聞きしたいです。

茅野:待ちに待っていただけあって、台本をいただいた時は本当に嬉しかったです。私が演じるアーニャちゃんは前作の『ARIA The AVVENIRE』(2015年公開)から登場したばかりだったので、「今回はどういう風に登場するんだろう?」と楽しみにしていたのですが、いざ台本を開いたらすぐにアーニャのセリフがあって、驚きました(笑)。

台本を読んだ印象としては、テレビシリーズの『ARIA』がより特別になるお話になっていると感じました。なので、アニメを見直してから今作を観ると、より楽しめると思います。実際私も全部おうちで見直してからアフレコに臨みました。家ではBGMのように『ARIA』を流していたのですが、何度も見ているのに、たまに入ってくる言葉にウルウルしちゃいました。

広橋:劇中にアリスが歌うシーンがあるのですが、実は台本をいただく前に先にそのシーンの絵コンテを見せていただいたんです。「どんな話になるんだろう!」とワクワクしている中で、台本をいただきました。『ARIA』は読んでいて涙が流れるのですが、その後に清々しい気持ちになるんです。それが魅力だと思います。不思議なのですが、家で『ARIA』の台本を読むとすごく泣いてしまうのに、収録では泣かないんですよね。おそらく、家で読んでいる時は“広橋涼”として読んでいるからなんでしょうけど。そういう風に、台本を読んでいる時、アフレコの時、そして完成してからと色んな感覚が味わえるので、私にとって『ARIA』は「一体何回楽しめんだよ!」っていう作品です(笑)。今回もその素晴らしい感覚が味わえました。

佐藤:私は「どうしよう」という気持ちになったことを覚えています。台本をいただいたときはアニメに触れているところだったので、まさかアテナさんにそんな想いがあったなんて…と同時に、私がこの物語を!?どうすれば…!?と悩んでしまいました。

――アフレコまでに、気持ちは切り替わりましたか?

佐藤:正直、切り替えられませんでした。とも子さんのアテナさんに触れれば触れるほど、とも子さんのアテナさんが大好きになって。でも私はとも子さんにはなれず…とも子さんのアテナさんを感じつつ私なりのアテナさんで歩くしかないと覚悟して、収録に臨みました。まだ劇場版をみなさまに観ていただいていないので、私がゆったり『ARIA』を語れる日はもう少し先なのかなと思っています。

――アフレコに入る前に、何か3人でお話されたことはありますか?

茅野:このご時世ですので、アフレコは全員で録ることはできなかったのですが、私たち3人は掛け合いのシーンはすべて一緒に録ることができました。広橋さんが、わざわざ私と利奈さんの時間に合わせてくださったんですよ!

広橋:私はほぼ利奈ちゃんのアテナさんと一緒に録っていたのですが、翌日アテナさんとアーニャちゃんが2人で録ると聞いて「良いなぁ~」と思って(笑)。スタッフさんに聞いたらOKの返事をいただけたので、私も翌日のアフレコに参加して、掛け合いのシーンを録り直していただきました。3人で収録できて、本当に嬉しかったです。

――佐藤さんは、掛け合いで掴めることがあったのではないでしょうか?

佐藤:掴めるものもありましたが、嵐のようにに過ぎ去ってしまい…(笑)

広橋:そうなんですよ! テレビシリーズは、収録して、お茶飲んで、音楽を聴いて…という、本当に『ARIA』の世界のようなゆったりとしたアフレコスタイルだったんです。おそらく利奈ちゃんもそう聞いていたと思うのですが、なにせこのご時世ですので、少人数での収録ということもあってスケジュールがかなりタイトだったので、嵐のようでした。「はい録るよ!」「はい次のシーン!」みたいな(笑)。

佐藤:みんな「こんな『ARIA』のアフレコは初めてだった」と言っていました。今後、これまでのようなゆったりした『ARIA』の収録が帰ってくることが待ち遠しいです。今回はかなりイレギュラーだったと思うので、3人で収録できて本当に良かった! 1人だったらパニックになっていたと思います。

茅野:3人で話すタイミングも作っていただいたので、調整してくれたスタッフさんに感謝ですね。

――『ARIA』という世界感を作っているのは、皆さんが演じるキャラクターたちだと思います。改めて、皆さんが思うご自身が演じるキャラクターの魅力を教えてください。

茅野:アーニャちゃんは前作から登場したということもあって、実はあまり細やかな性格の設定は決まっていなかったんです。「茅野さんにお任せします!」と佐藤監督に言っていただいたので、台本からのヒントだけで演じさせていただきました。今回は、アーニャちゃんの過去に触れる場面や、幼馴染のアレッタ(※天野先生が描き下ろした本作オリジナルキャラクター)とのシーンもあって、アーニャちゃんの“芯の部分”に触れることができたので、彼女を形作ることがしやすかったです。前作では“不思議ちゃん”というイメージが強かったのですが、今回、実はしっかり者だということも明らかになりましたしね!

広橋:今回のストーリーにとって、それがとてもありがたいことだったよね。

茅野:「親が頼りないと、子がしっかりする」みたいな感じですかね(笑)。

全員:笑

茅野:アテナさんとアリス先輩が頼りないわけではないのですが、いかんせん不器用なところがあるので(笑)。だからきっと、アーニャがオレンジぷらねっとにやって来たんだなっていうのがわかりました。今回の物語のおかげで、アーニャちゃんは周りをよく見ていること、だから色んなことに気付けていること、そしてそれがしっかりしている所に繋がっているんだと感じて、前作以上にステキで魅力的な子になったなと思いました。

広橋:そういう意味では、アリスはきっとアテナ先輩よりはしっかり者のつもりでいると思います(笑)。

それでもやっぱりアリスは不器用で、今作でもずっとグルグル悩んでいたりするのですが、なんとか前に進もうともがいている気持ちが、いつも「愛しいな」と感じています。アリスを演じ始めた当初は、「この子、すごく私に似ている!」と思っていたんです。それが、だんだん自分が年齢を重ねることによって「そんなに悩まなくてもいいのに」と思いが変化していって、自分の中でよりかわいくなってきましたね。

佐藤:アテナさんは、真っすぐで素直、ドジっ子だけどひとつ芯のあるひとなのかな、と。今作ではアテナさんの心情が初めて描かれていて、「アテナさんって、こんなことを考えていたんだ」というエピソードになっています。役柄を引き継がせていただくにあたり一番悩んだところかもしれません。アリスちゃんとはまた違う不器用さが愛しいです。

――本作では、オレンジぷらねっとの絆がまた一層強くなるエピソードが描かれます。特に「絆が強まった」と感じるところは?

広橋:具体的なシーンを挙げるとネタバレになってしまうので、「お風呂が大事!」ということだけ言っておきます(笑)。

佐藤:確かに(笑)!

茅野:本当にそうですね。これまでに引き続き、オレンジぷらねっとはまたお風呂シーンがあって、先輩後輩の関係を感じられる場面となっています。オレンジぷらねっとの伝統なんですかね(笑)?

広橋:裸の付き合いが大事なんじゃないかなあ?

茅野:お風呂で関係も温めているんですかね。

広橋:そういう社風なのかも。

佐藤:どうしよう、お風呂の話になっちゃった(笑)。

茅野:でも、確実にお風呂シーンは重要なポイントになっています。テレビシリーズでもそういうシーンがありましたしね。それを思い浮かべられるようなシーンになっているので……、「オレンジぷらねっとの絆はお風呂で深まる」ということでよろしいでしょうか?

全員:笑

佐藤・広橋:良いと思います!

――劇中、アリスとアテナのために「記念日を探す」シーンがあります。それがとても『ARIA』らしいと思ったのですが、皆さんが感じた『ARIA』らしさはどこでしたか?

茅野:私は、アーニャちゃんがアレッタにもらった言葉が大好きです。おそらく、観ていただいた皆さんの心にも届くんじゃないかな。そういう、ポンポンと欲しい言葉をくれるのが『ARIA』らしさだと感じました。

広橋:私もアレッタとアーニャのシーン好き! 初めて台本を読んだ時にも思ったのですが、声が入ったのものを見て「やべーのキター!」と思いました(笑)。それに音楽が付くとまた良いんですよね~。そのシーンももちろんですが、どのシーンを切り取っても“幸せ”や“好き”という感情が残るのが『ARIA』らしさだと、私は思います。

佐藤:私は、歩いているシーンがとても印象的でした。今、テレビシリーズを全話見ていても思うのですが、続いていく、進んで繋がっていくというものが『ARIA』にはある気がしていて、自分の中でグッとくるシーンでした。

――『ARIA』は、今の世の中に“癒し”を届けるのにピッタリな作品だと感じています。この作品を、どんな方に、どのように届けたいですか?

茅野:おしつけがましくなく、その時に欲しい言葉をくれるのが『ARIA』の魅力だと思います。私は『ARIA』に出会ったことで転職して、声優になりました。そういった、何かに迷っている方、今の環境を変えたいけど悩んでいる方には、特に届けたい。自分のことを冷静に見るのは難しいですが、『ARIA』を見ることによって、自分の立っている場所を一度冷静に見ることができると思います。今、世界が大変な状況だからこそ、“心のサプリ”として『ARIA』を届けたいですね。

広橋:私はこのような状況になって、身近な人のことを考えることが増えました。すぐに会えなくなってしまったからこそ、「どうしてるかな」って思ったり、あまり連絡を取らなかった人に連絡してみたり。この『ARIA The CREPUSCOLO』の中でも、「会いたいけど会えない」という状況があります。今、大切な人と会えなくて悲しんでいる方に、この作品を通じて「ちゃんと会える日はやって来る」ということを伝えたいです。

佐藤:私が『ARIA』に触れる時間は、子どもを寝かせてから、夜にお風呂に入りながらなんですよ。そう! お風呂なんです(笑)。ホッと肩の力を抜いてくれる作品だとおもうので、大変な中で肩がキュッとなっているみなさんにぜひ観ていただきたいです。

――最後に、公開を待ち望んでいるファンの方へメッセージをお願いします。

茅野:今、なかなか旅行に行けないですよね。そんな中『ARIA The CREPUSCOLO』は、本当に旅をするくらいの満足感に仕上がっています。自分のやりたいことや好きなことに触れることが自由にできないこの状況の中で、「楽しむぞ」という気持ちだけ持って、劇場に足を運んでいただきたいです。

広橋:『ARIA The CREPUSCOLO』を観ていただいて、作品に浸ってもらい、ひと時の休息になったら良いですね。

佐藤:できる限り私の精一杯で、とも子さんと河井英里さん(歌唱担当)のアテナさんを抱きしめて演じました。キャスト、スタッフの皆さんの力を借りて、これからアテナさんとして歩いて行けたらと思っています。私の第1歩ともなった『ARIA The CREPUSCOLO』、ぜひ大きなスクリーンでゆったり浸っていただけたら嬉しいです。

――ありがとうございました!

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(取材・文/米田果織)

作品情報

■『ARIA The CREPUSCOLO』
2021年3月5日(金)より全国ロードショー

【スタッフ】
原作:天野こずえ「ARIA」(ブレイドコミックス/マッグガーデン刊)
総監督・脚本:佐藤順一
監督:名取孝浩
キャラクターデザイン・総作画監督:伊東葉子
美術監督:氣賀澤佐知子(スタジオユニ)
色彩設計:木村美保
撮影監督:間中秀典
音楽:Choro Club feat. Senoo
OPテーマ:「フェリチータ」安野希世乃
EDテーマ:「echoes」安野希世乃
音楽制作:フライングドッグ
音響制作:楽音舎
アニメーション制作:J.C.STAFF
製作:松竹
配給:松竹ODS事業室

【キャスト】
アリス・キャロル:広橋涼
アテナ・グローリィ:佐藤利奈
アーニャ・ドストエフスカヤ:茅野愛衣
まぁ:渡辺明乃
水無灯里:葉月絵理乃
アリシア・フローレンス:大原さやか
愛野アイ:水橋かおり
アリア:西村ちなみ
藍華・S・グランチェスタ:斎藤千和
晃・E・フェラーリ:皆川純子
あずさ・B・マクラーレン:中原麻衣
アレッタ・パーチェ:安野希世乃

公式サイト:https://ariacompany.net/
公式Twitter:https://twitter.com/ARIA_SENDEN

©2020 天野こずえ/マッグガーデン・ARIA カンパニー

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