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『星のカービィ』神回“星のデデデ”が強烈! 『ギャラクシーエンジェル』など平成のアニメを振り返る『平成アニメ備忘録』第13回

2018.10.15 <PASH! PLUS>


PASH! PLUS

 平成が終わる前に30年分のTVアニメを振り返る『平成アニメ備忘録』シリーズ! 今回は平成13年(2001年)のアニメを振り返ります。

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 この年は、学園ジュブナイルSF『学園戦記ムリョウ』、ハレとグゥが織りなす破天荒な日々を描いた『ジャングルはいつもハレのちグゥ』、ラブコメ×美少女ヒロイン+風水要素のバトルが熱い『Dr.リンにきいてみて!』、テニスプレイヤーを全国に生み出した『テニスの王子様』などが放送されました。

 今回は、数ある平成10年に放送されたTVアニメのうち3作をご紹介します!

美少女たちがカオスな笑いを繰り広げる『ギャラクシーエンジェル』

 『ギャラクシーエンジェル』はブロッコリーが“Project G.A”として、ゲーム、雑誌連載、ライトノベル、アニメと様々なメディアミックスを展開。アニメは2001年から2004年まで放送されました。通算100話以上のエピソードが放送されているので、初見の方は傑作選『ギャラクシーエンジェル ア・ラ・カルト』をおすすめ。見どころが13話につまっています。もちろん「全部見るぜ!」という方は100話見てね。

 シリアス&ハードなSFストーリーを展開したゲーム版に対し、アニメ版は“登場人物の個性”をフィーチャーしたコメディ主体のストーリーを展開。というのも放送枠が15分(OP&EDを除けば本編は10分程)と限られた時間での放送だったため、“限られた時間で登場人物を覚えてもらう”ことを重視したそう。そのため、ゲームのシリアスな展開に比べて、アニメではとにかく“キャラクター”が押し出されています。

 例えば可愛いヒロインたちがいきなり殉職したと思ったら復活してデザートを食べていたり、いきなり体型が変わったり金銭トラブルが起きたり、仲間を見捨てたり、他作品のパロディー&メタ発言があったり……これがカオスか……と言わんばかりの破天荒な展開が目立ちます。Aパートで起こった出来事がBパートでなかったことになったり、『銀魂』や『おそ松さん』と空気感が似ているかも?

 一見すると“美少女アニメ”や“萌えアニメ”に見えるかもしれません(実際間違ってはいないのだけれど)が、そんな美少女たちが思いっきりふざけている姿は女性でも楽しめるはず。ギャグ展開が好きな方はぜひ1話、2話……と見てみてください~。

社会風刺など大人向けの描写もある『星のカービィ』

 『星のカービィ』は、1992年に発売されたゲームボーイ用ソフトを原作として、2001年から2003年まで放送されたTVアニメです。

 本作は、キャラクターの性格や設定が変更されていたり、ゲームには登場しないオリジナルキャラクターが登場したりとアニメならではの世界観を構築。なかでも、ゲーム版では地球より遠い惑星“ポップスター”や周辺の惑星を舞台としていますが、アニメではプププランドの中の“ププビレッジ”という村が舞台になっているのはアニメならではの設定です。

 このププビレッジを舞台に主人公・カービィが星の戦士を目指して力をつけつつ日常を送るのが基本のストーリー。プププランドの統治者・デデデ大王が“魔獣”を用いてカービィを倒そうとするも、カービィがコピー能力を使って倒す……というのは毎回のお約束。

 そして、『アンパンマン』のような1話完結の勧善懲悪ストーリーでありつつも、環境破壊やテレビ番組の情報ねつ造など社会風刺を扱う大人向けのエピソードが盛り込まれることも。また、『ローマの休日』や『キングコング』などをオマージュするなど、子供向けのアニメでありつつも大人が楽しめる要素もあります。

 特に第49話“星のデデデ”は、デデデ大王が自身を主役にしたアニメを素人の住人たちに作らせるという、アニメ業界の重労働感やブラックな一面が惜しげもなく描かれた神回です。

 アニメ版カービィで欠かせない存在として推したいのが、プププランド唯一のレストランのシェフ・コックカワサキ。「添加物いっぱいで腐らないよ~」、「鼻水が料理にたれるんだよね」といったシェフとは思えぬ迷言を生み出したキャラクターであり、シェフでありながらも作る料理は不味いというとんでもない存在。唯一のレストランのシェフのご飯が不味いだなんて地獄ですよね。絶対に無理。そんなコックカワサキがメンバーに加わった『カービィカフェ』が筆者は気になっています。

囲碁を知らなくても大丈夫! 多くの囲碁プレイヤーを生み出した『ヒカルの碁』

 最後にご紹介するのは、2001年から2003年にかけてアニメ化された『ヒカルの碁』です。

 主人公・進藤ヒカルは祖父の家にて、平安時代の天才棋士・藤原佐為と出会い、憑りつかれてしまいます。その後、囲碁のルールも知らなかったヒカルが、「神の一手を極めたい」という佐為の願いを叶えるため、囲碁を打ち始め、やがて自らの意思で囲碁の道を進んでいく物語です。この作品と出会って囲碁に目覚めた若者がこの時代どれだけいたのでしょうか。

 筆者は『ヒカルの碁』のおかげで年配の方と囲碁トークができるようになり、「よくしってるね~」と言われ、内心(『ヒカルの碁』の影響だけどね!)と思いつつ誇らしかった記憶があります。ちらっと調べてみたらプロ棋士のなかには『ヒカルの碁』に憧れてプロを目指した方もいるようです。

 作中では基礎的な事項やルールを初心者にも分かりやすいように解説してくれるので、「囲碁知らねぇ!」って人でも安心。初心者だったヒカルが囲碁にのめりこんでいくのと同じペースで、気付けば囲碁の世界にどっぷりとハマってしまいます。試合の展開も分かりやすいものが多いので、回を進めるごとに分かるようになります。

 そんな本作は、登場人物たちの心理描写が緻密に描かれており、喜びや戸惑い、葛藤、苦しみ様々な感情をリアルに感じることができます。囲碁のルールが分からなくとも、むしろ分からないからこそ、キャラクターの感情を感じることで試合の展開をハラハラと楽しむことができるかも。囲碁は盤上に向き合い、石を置いていく。いわば“静”の競技です。しかし、一手、一手には棋士の思いや思惑、葛藤が隠れており、静かであるはずなのに“動”的である……という不思議な感覚を味わうことができます。本作を見ることで囲碁に対する目線が180度変わるかもしれません。

平成13年の日本はどうだった?

 ちなみに平成13年の日本では、小泉純一郎率いる第1次小泉内閣が誕生し、“小泉語録”が流行語大賞を受賞しました。また、ディズニーシーが開園、IC乗車カード“Suica”がサービス開始、『ハリーポッターと賢者の石』が日本で上映スタートしました。ずら~っと出来事を見ていたんですけど、この年は“13日の金曜日、仏滅、三隣亡”が重なった年でもあったみたいです。めっちゃ不吉。次にこの3つが重なるのは2043年2月らしいです。25年後!

 次回の『平成アニメ備忘録』をお楽しみに!

過去の記事はこちら

第1回(1989年/平成元年)

第2回(1990年/平成2年)

第3回(1991年/平成3年)

第4回(1992年/平成4年)

第5回(1993年/平成5年)

第6回(1994年/平成6年)

第7回(1995年/平成7年)

第8回(1996年/平成8年)

第9回(1997年/平成9年)

第10回(1998年/平成10年)

第11回(1998年/平成11年)

第12回(1999年/平成12年)

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