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「神木隆之介がオーランド・ブルームに迫られるお話です」『コンフィデンスマン JP』脚本家がアニメ業界に殴り込み!

2020.05.03 <PASH! 6月号>

 7月から放送スタートするTVオリジナルアニメ『GREAT PRETENDER』(グレート プリテンダー)。本作のシリーズ構成・脚本を手掛ける古沢良太さんは、長澤まさみ、東出昌大らが出演する人気ドラマシリーズ『コンフィデンスマン JP』で知られる脚本家。映画第2弾となる『コンフィデンスマン JP プリンセス編』の公開も控えている。

 本作がTVアニメシナリオ初参戦となる古沢さんに、アニメの見どころやキャラクターについてお話を伺った。

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みんなが元気になるようなエンターテイメントをやりたい

――まずは、古沢さんが今作の脚本を担当することになった経緯を教えてください。

 アニメーションスタジオ・WIT STUDIOの社長である和田丈嗣さんが「オリジナルのアニメをやりたい」ということで声をかけてくださったんです。もともと面識があったわけではないんですが、どこからかツテをたどって、何回も何回も手紙を送ってくださって。その熱意が伝わって、僕もだんだんやる気になって「みんなが元気になるようなエンターテイメントをやりたいですね」と返事をしたところから始まりました。

――古沢さんは今作がアニメ作品初脚本ですね。脚本を作るにあたって、アニメと実写で違うと感じたところは何かありますか?

 実写の脚本を作るときは、撮影しやすさとかスケジュール、予算のこととかを念頭に置いておくことが多いんです。それは枷でもあるんですが、どこまで話を広げられるかの手掛かりにもなって、作りやすいという一面もあるんですね。でもアニメは、ある意味何をやってもいいというのか、だんだんと何が面白いのかよくわからなくなっちゃって…。制約があったほうが僕は書きやすいんだなと思いました。

――確かに、アニメだと世界中のどこにでも行けますしね。

 そうなんですよ。でも、実写だとお金がかかりそうだけどアニメだと簡単にできると思って選んだ題材が、アニメでも大変だった、みたいなこともありました。「アニメの作家だったらこの題材は絶対に書かない」と鏑木監督に言われましたね(笑)。

――そんな制約のないなかで、今回の物語はどういうふうに作っていかれたのでしょう。もともと古沢さんのところにお話がいった時点で、信用詐欺師をテーマにした物語というのは決まっていたのですか?

 まだ何も決まっていませんでした。僕がもともと詐欺師ものにチャレンジしてみたいという思いがあったので、僕から提案した形です。最初は「詐欺師が世界中を舞台に、悪い金持ちから痛快に金をだまし取るエンターテイメント」というところがスタートでした。もともと詐欺師ものってすごく面白いんだけど、話を作るのが難しいんですよ。作中のターゲットだけじゃなく、観ている方もだまさなくちゃいけないので、ハードルが高いんです。最初はドラマだと難しそうだけどアニメだったらできるかな、と思ったんですが、作っていくうちに「これ、ドラマでもできるんじゃないかな」と思い始めて、『コンフィデンスマンJP』を書き始め…(笑)。そしたら、実写のほうが圧倒的に制作期間が短いし、優秀なスタッフや一流のキャストが集まってくれたおかげで『コンフィデンスマンJP』として先に世に出て。その間、『GREAT PRETENDER』のスタッフのみなさんはコツコツと絵を描いてくださっていて。ようやくこっちも放送間近まで来たという感じです。

――脚本を書き出したのは『コンフィデンスマンJP』よりも『GREAT PRETENDER』が先だったんですね!

 そうですね。もちろんストーリーは全然違うんで別作品ではあるんですけど、自分が“詐欺師脳”になっているうちに書いてしまおうと、途中からは同時並行で書いていた気がします。書き終わったのは『GREAT PRETENDER』があとだったかな。

――すごく長い制作年月があったんですね。

 2クール分ありますからね。第1稿を書き終わったのはこっちが先だったんですけど、鏑木ひろ監督の意向でいろいろと変更した部分もあったので、その修正作業が続いていた感じです。

――鏑木監督からはどんな要望があったんでしょうか?

 単純に、僕が尺感を分かっていなくて、「もう少し要素を足してくれ」と言われることが多かったですね。要素が多すぎてギュッと詰めてもらわなきゃいけないときと、逆に足りないというときがあったみたいで。

――そのあたりは、アニメならではの尺感という感じだったのでしょうか?

 アニメならではというよりも、この話が、ということなんだと思います。詐欺師ものなのでネタバラシ的な部分があるんですけど、そこって見せて面白いところと、「このシーンはもう見たよ」と思えてしまうところがあって。そういうシーンを鏑木監督が取捨選択したら短くなったり。僕としては「つじつまを合わせるためには、きちんとこのシーンを見せたい」と思って書いたりもしたんですけど、鏑木監督としてはとくに勢いとか爽快感を大事にしたかったんだろうなと思います。あ、でも、いただいた修正はもちろん気持ちよく直してますよ(笑)。

――先ほど「詐欺師ものが難しい」とおっしゃっていた部分にもつながりますね。

 あと、最終話は、鏑木監督がとくに粘っていた印象です。主人公のエダマメ(枝村真人)が20数話を通してどう成長していくかというところは、鏑木監督の思い入れがグッと詰まっていて。僕も何度か手直しした記憶がありますね。

イケメン俳優を軒並み言っていきました(笑)

――次はメインキャラクターがどういう人物か教えてください。まずはそんな鏑木監督の思い入れも詰まった主人公のエダマメから。

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 エダマメくんは、日本でつまらない詐欺をやっている詐欺師です。じつは過去に悲しいことがあって詐欺師の道に入ってしまった人なんですが、全然スケールの違うローランら世界の詐欺師たちと手を組むことによって、まだ見ぬ荒波に放り出されていきます。一言でいうと、とにかくかわいい男の子(笑)。詐欺師だけど、すぐだまされて情にほだされてしまう。そしていつも暴走してしまうんですね。それによってローランたちの作戦が狂ってしまいます。ちょっと調子に乗りやすい部分がありつつも、悩める男の子でもあって、どこか憎めない、共感できる男になっていると思います。

――では、そんなエダマメが手を組むローランは?

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 ローランは、詐欺のアーティスト。ミステリアスな、そしてセクシーなフランス人詐欺師です。つかみどころのない人物なんで演じるのが難しいだろうと思いましたが、諏訪部順一さんが、得体の知れなさと色気の両方をきちんと表現してくださいました。諏訪部さんの声って高いような低いような、不思議な声ですよね。

――お次はアビーについてお願いします。

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 アビーはヒロインのポジションではあるんですけど、性格は粗野で、アニメのヒロインにはあまりいない感じの女性になりました。実は彼女にもいろいろ背負っているものがあって、それがのちのち深掘りされていくので、ぜひ注目していただきたいですね。とってもいいキャラクターになっていると思います。

――ローランがフランス人だったりと、キャラクターのビジュアルについては、古沢さんからオーダーを出されたのでしょうか?

 そうですね。キャラクターデザインの貞本義行さんがすごく聞いてこられたのもあって、何回もやり取りして、実在の俳優さんのイメージなどを伝えさせていただきました。できあがったキャラクターを見たときは、すごく魅力的で感動しましたね。

――ちなみに、実在の俳優さんというとどんな方のお名前を出されたのですか?

 アビーは、ハル・ベリーとか、映画『レオン』のときのナタリー・ポートマンとかのイメージを伝えました。ローランは、アラン・ドロンとかオーランド・ブルームとか、イケメン俳優の名前を軒並み言っていった気がします。エダマメくんは、神木隆之介くんを挙げましたね。「神木隆之介がオーランド・ブルームに迫られる話だ」って(笑)。

――それは最高ですね(笑)。そういえば、ローランは恋人に語り掛けるようなセリフ回しが多い印象を受けましたけど…?

 これはあくまで僕の中での話ではありますけど、ローランは恋愛対象として老若男女誰でもイケる人物という設定にしています。それを踏まえて観てもらえるとうれしいですね。

――アフレコは見学されましたか?

 はい。アニメのアフレコは初見学でしたが、面白かったです。声優さんが一堂に会して順番に前に出ていって、しゃべっているのを見て、こうやってやるんだなぁと。

――古沢さんから何かオーダーを出された部分はあったのでしょうか?

 1話で、エダマメの「おっかねぇど」というセリフのイントネーションについてくらいですね。文章で表現しにくいと思いますけど、「おっかねぇど(→)」を「おっかねぇど(↑)」にしてくれ、って。そっちがかわいいでしょ? (笑)

――アフレコ現場で印象に残っていることがあれば教えてください。

 鏑木監督がそもそも台本にないセリフにすごくこだわってディレクションされていたのが印象に残っています。それはきっと鏑木監督がこの作品に対してノッてやってくれているっていうことだから、僕も楽しみながらその様子を見ていました。

――ありがとうございました。最後に、放送スタートを楽しみにしている読者に向けてメッセージをお願いします。

 今作は、オシャレで、新しくて、ちょっと懐かしさもある、王道の痛快エンターテイメント作品になっています。お人好しでかわいらしいエダマメと、セクシーなローランが、世界中の美しい都市を舞台に繰り広げる冒険物語である一方、人間ドラマとしても楽しめると思います。物語が進むにつれて、キャラクターたちの背負っている過去が深掘りされていったり、思いもよらない人物が活躍していったりと、どんでん返しもありながらエダマメたちが成長していきますので、ぜひ楽しんでください。

Text=後藤悠里奈

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【DATA】
GREAT PRETENDER

ON AIR:2020年 7 月よりフジテレビ「+Ultra」、BSフジほか各局にて放送予定
Netflix にて全世界独占配信(日本先行)
HP:http://www.greatpretender.jp/
Twitter:@GrePre_anime
©️WIT STUDIO/Great Pretenders

【STAFF】
監督=鏑木ひろ
脚本・シリーズ構成=古沢良太
キャラクターデザイン=貞本義行
サブキャラクターデザイン・総作画監督=加藤寛崇
コンセプトデザイン=丹地陽子
美術監督=竹田悠介
撮影監督=出水田和人
音楽=やまだ 豊
音響監督=はたしょう二
アニメーション制作=WIT STUDIO

【CAST】
枝村真人(エダマメ)=小林千晃
ローラン・ティエリー=諏訪部順一
アビゲイル・ジョーンズ(アビー)=藤原夏海
ポーラ・ディキンス=園崎未恵 ほか

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