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松本穂香×大谷育江、映画『君は彼方』インタビュー!

2020.12.02 <PASH! PLUS>


PASH! PLUS

 めまぐるしく変化をみせる街・池袋を舞台にしたオリジナル長編アニメ映画『君は彼方』が、11月27日(金)よりTOHOシネマズ池袋ほかにて全国ロードショーとなる。

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 本作の主人公・澪(みお)は、幼馴染の新(あらた)の事が気になっているが、気持ちを伝えられず微妙な関係を続けていた。そんなある日、些細な友人の言葉をきっかけに、2人は仲違い。澪は何とか仲直りをしようと雨の中を新の元へ向かう途中、交通事故に遭ってしまう。意識を取り戻した澪が目を開けると、そこには不思議な世界が広がっていた。そこで出会ったヘンテコなガイド・ギーモンと謎の女の子・菊ちゃんと共に、澪は新の元に帰るための唯一の手段、思い出の中の“大切な忘れ物”を辿ることとなる。

 この度、そんな本作で主人公・澪を演じる松本穂香さんと、ヘンテコなガイド・ギーモンを演じる大谷育江さんにインタビューを実施。池袋という身近な街並みを舞台としたファンタジー作品となる本作への印象を伺ったほか、アニメ映画初主演となった松本さんが感じた「アフレコの難しさ」、それに対する大谷さんからの「声優としての話」などを聞いた。

松本穂香&大谷育江インタビュー

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――すでに完成版を観られたとお聞きしました。ぜひ感想をお聞きしたいです。

松本:作品前半のワクワクドキドキする感じから、後半の人間の本質に触れる生々しい部分とのギャップにとても驚きました。ファンタジーかと思いきや、リアルにも感じられるシーンもあり、いろんな角度から楽しめる映画だと感じました。あと、大谷さんの演じるギーモンがすごくかわいい! ずっと「ギーモンかわいい~」と言いながら観ていました(笑)。

大谷:わぁ嬉しい!

松本:「どのキャラクターが好きですか?」とインタビューで質問されたら、絶対に「ギーモンです!」と答えています(笑)。

――大谷さんはいかがですか?

大谷:松本さんがおっしゃった通り、幻想的な部分とリアルな部分が「別のもの」にはなっていない。池袋という現実にも存在する場所で、知っている街並みの中に、見たことがないような生き物、描写が出てくるという、現実とファンタジーが上手く融合している作品だと感じました。日常の中に「もしかしたら、こんなことが起こるかも?」と思わせてくれるような、少し「身近なこと」に感じさせてくれるような作品に仕上がっていると思いましたね。

――松本さんは、本作でアニメ映画初主演。アフレコで感じたことを教えてください。

松本:正直、すごく苦戦しました。慣れない現場な上に、慣れないこともたくさんした記憶があります。寝転んで話すシーンでも、立ったまま演じなきゃいけない……声優として活躍されている方だったらサラッとできてしまうようなことなんだと思いますけど、難しかったですね。

大谷:いや、澪のシーンは表現が難しいところが多かったと思いますよ。

松本:えっ本当ですか? 

大谷:寝ころびながらとか、猛ダッシュとか、体はマイクの前に立ったまま、マイクから外れないように演じるって、日常生活では使わない感覚ですよね。そこを脳からの指令で体をだます。リアルな表現にするにはとても集中力のいる難しい作業なんです。

――今回のアフレコは、松本さんは大谷さんら他キャストと別撮りだったとお聞きしました。悩んだ時、どういった対処を取られたのでしょうか?

松本:悩んだ時は、監督に「どうしたら良いですか?」と聞くようにしていました。そうすると、「じゃあ1度ソファに寝転んでみたらいいんじゃない?」など色々とアドバイスをいただけて。撮る前に実際にやってみて、「感覚を掴めた」と思ったら収録する、というスタイルを取ってくださいました。

――劇中、特に一番苦労したシーンは?

松本:落ちるシーンですね。こんなに長い時間叫んだことも、落ちたこともないですし(笑)。“落ちる”という感覚もわからなくて、監督がイメージを伝えてくれたりもするのですが、このシーンだけは想像力を膨らませて演じることしかできなかったです。ただ、その中でも監督からの一言だけで演技が変わったりしたので、「声のお芝居って奥が深い」と感じました。

――先ほど、大谷さんも「澪は難しいシーンが多かった」と言っていました。それは、例えばどんなところでしょうか?

大谷:シーンもそうなのですが、キャラクターの作り方としても難しかったのではないかと思いました。澪は、“THE・ヒロイン”という子でもなく、周りをリードしていく“THE・主人公”でもない。奥手ですぐ諦めてしまう部分がある、他作品だったらヒロインの友達として登場しそうなキャラクター。今回、そんなポジションのキャラクターが主人公ということで、変に役を作り過ぎてしまったら、視聴者に受け入れられないのではないかと。でも、松本さんはそんなキャラクターをあくまでも等身大に、違和感なくかわいらしく演じられていて、本当に魅力的でした。見ていて応援したくなるヒロインに仕上がったと感じましたね。

松本:ありがたいお言葉…! 光栄です。

――そんな大谷さんにとっても、ギーモンは山寺宏一さんと2人1役という、声優として今までにないキャラクターだったのではないでしょうか?

大谷:山寺さんと数々の作品で共演したことはあったのですが、まさか同一人物を演じる日がくるとは(笑)。山寺さん自身がかわいらしいキャラクターを演じることができる方なので、それをあえて私と2人1役ということだったので「私はどんなものを求められているんだろう?」とすごく悩みましたね。

――大谷さんと山寺さんの2人1役というのは、視聴者にとっても「どうなるんだろう?」と気になるポイントになっていると思います。

大谷:ギーモンというキャラクターは、本来は山寺さんの声。澪に「おやじ」と言われたことで彼の意思で私の声に変えるんです。なので、演じる際「ソウルはおやじとしてやった方がいいのかな?」とか色々と悩みました(笑)。でも、最終的には振り切って、澪の望む「かわいい」というところにシフトしました。

――確かに、役割としても謎が多いキャラクターでしたしね。

大谷:そうなんです。そもそも誰なのか、何のために存在しているのか、すべてが謎に包まれているキャラクターだったので。澪には“ガイド”と名乗っているけど、菊ちゃんにとってはどういう立場なんだろうかなど、演じる上で色々と考えさせられました。

――大谷さんは、すべてをわかった上で演じていたわけではないのですか?

大谷:ネタバレになってしまうので、あまり多くは語れませんが……ギーモンの役割はちゃんとあって。でもギーモンがすべてを知っているわけではないんですよ。なので、物語が進むにつれてわかっていくこと、そして澪との交流で知ることがあったからこそギーモンも成長していく姿が、後半で描かれています。

――なるほど。ここまでキャラクターを掴む上での難しさなどをお聞きしましたが、松本さんはアフレコでの役の演じ方について、何か大谷さんに聞いてみたいことはありますか?

松本:休憩を挟んでしまうと、自分では澪を演じているつもりでも、監督に「ちょっと抜けてるな」「澪のテンションじゃないな」と言われてしまう場面がありました。声だけでキャラクターを表現するとなると、声の出し方やテンションが違うだけで、まったく違う人に見えてしまうということがわかったんです。大谷さんはたくさんのキャラクターを演じていますが、色んな役をやっていると、また同じ役に戻ることが難しく感じたりしませんか?

大谷:私も昔はありました。ですが、その役の“声”を覚えるというよりは、“人生感”を掴むように意識を変えたところ、あまりそういったことがなくなったように感じます。台本にないシチュエーションだったとしても、「この子だったらこう答えるだろうな」というものが自分の中に落ちていれば、すぐにその役に入り込めるという感じ……。

松本:なんだか、わかる気がします。ドラマなどでお芝居をするときでも、その役の“本質”を掴んでキャラクターを作ることは大事なことだと思っています。

大谷:でも、休憩を挟んだり日を空けてしまうとその感覚を思い出すのに時間がかかってしまうことも……あるあるです(笑)。

松本:普段のお芝居で出している声のトーンと、また違うトーンでのお芝居だったので、そこへの“持って行き方”が難しかったですね。自分でも、どの声でやっていたのかわからなくなってしまって。

大谷:でも出来上がりはバッチリでしたね♪

――違うフィールドで大活躍しているお2人。本作で初共演だと思いますが、どのような印象を抱いていたか、また今回の共演を通じての印象を教えていただけますか?

大谷:私が松本さんを初めて知ったのは、『ひよっこ』(2017年度上半期放送のNHK「連続テレビ小説」)。食いしん坊でマイペースな青天目澄子(なばため すみこ)役をやっていらして、「元気で食べ物が好きな人」という面白い子イメージがありました(笑)。今回、そんな澄子とはずいぶん違う性格の澪を演じるということで、「どんな感じになるんだろうな」と気になっていたので、また違う一面が見られてとても嬉しかったです。ドラマを見ても思ったのですが、ナチュラルな演技が魅力的。「演じてます!」というキャラ作りではなく、すごく自然に演じるのが松本さんのお芝居なんだなと思いました。

松本:ありがとうございます……! 私は、やはり『ポケットモンスター』のピカチュウの印象が強いかもしれません。8個上に兄がいるのですが、ずっと一緒にTVアニメを観ていたし、DSでゲームもしていました。あとは、『ONE PIECE』のチョッパーもかわいくて大好きです。大谷さんの声はかわいすぎて、聞いていると胸がキュンキュンしてしまいます(笑)。

大谷:こちらこそありがとうございます! 明日からも頑張れます(笑)。

――最後に、映画を楽しみにしている皆さんへ、メッセージをお願いします。

松本:私が演じた澪は、努力や面倒なことが苦手で、自分に自信がなく諦めやすい性格。私自身も自分に自信が持てず、学生時代に色んなことをすぐに投げ出してしまっていたのですが、今「好きだから」という理由でお仕事を続けられています。澪も、好きな人がいて、好きなものがあって、そのために頑張っている。「変わる」というよりは、自分の中にもともとあった「好き」に気付いて色々な困難に立ち向かっていくというお話になっているので、ぜひこの映画を観て、自分の中にある「何か」に気付いて頑張る源になってくれたら嬉しいです。

大谷:ファンタジー作品なのに、「ありえない物語」にはなっていなくて、池袋という身近にある街並みで繰り広げられる“夢”のようなストーリーになっています。今、新型コロナウイルスの影響でさまざまなエンタメがストップして、辛い状況が続いていますが、この映画をみて勇気や力に変えていける手助けになれれば嬉しいです。

――ありがとうございました!

(取材・文/米田果織)

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応募期間:2020年12月2日(水)~12月9日(水)23:59

作品概要

■映画『君は彼方』
2020年11月27日(金)より全国ロードショー

【スタッフ】
監督・脚本・原作:瀬名快伸
制作:デジタルネットワークアニメーション
企画:CUCURI
配給:エレファントハウス、ラビットハウス

【出演】
松本穂香
瀬戸利樹
土屋アンナ
早見沙織
山寺宏一
大谷育江
木本武宏(TKO)
小倉唯
仙道敦子
竹中直人
夏木マリ
  
主題歌:『瞬間ドラマチック』/saji(キングレコード)

公式サイト:https://www.kimikana.jp/
公式Twitter:https://twitter.com/kimikana_movie

©「君は彼方」製作委員会 

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