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平成26年はどんなアニメにハマった?『ニセコイ』『ごちうさ』『少年ハリウッド』など平成のアニメを振り替える『平成アニメ備忘録』第26回

2020.07.12 <PASH! PLUS>

 平成30年分のTVアニメを振り返る『平成アニメ備忘録』シリーズ! 今回は平成26年(2014年)のアニメを振り返ります。

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 この年は、平成の必殺仕事人(美少女)!「葬る」が口癖の殺し屋・アカメを描いたダークファンタジー『アカメが斬る!』、ピアニストの少年とヴァイオリニストの少女が一つの嘘に悩み、救われる『四月は君の嘘』、人気少女漫画の作者が高校生男子!? 劇中漫画はプロの漫画家が手掛けている『月刊少女野崎くん』、人の姿ながらも人肉を食らう“喰種”を描いたダークファンタジー『東京喰種トーキョーグール』、ケモ耳の自称イケメン“コックリさん”との非日常系モフモフコメディ『繰繰れ! コックリさん』が放送。

 また、“ニセ”の恋人同士になった高校生男子と女子を描いた超王道ラブストーリー『ニセコイ』、「もんげー!」老若男女問わず人気を集めた『妖怪ウォッチ』、スタイリッシュすぎよお兄様! 魔法バトル描写が格好良すぎる『魔法科高校の劣等生』、バレーボールを題材にした“劇的青春”作品『ハイキュー!!』、喫茶ラビットハウスでゆるっと働く少女たちを描いた『ご注文はうさぎですか?』。

 舞台は幕末、“Rock”で革命を起こす志士たちの歌が熱い『幕末Rock』、こんな地獄だったらあり!? どSな補佐官を中心に地獄の日常を描いた『鬼灯の冷徹』、A-1 Pictures・TROYCA共同制作によるオリジナルロボットアニメ『アルドノア・ゼロ』などがTVアニメ化されました。

 今回は、数ある平成26年に放送されたTVアニメのう3作をご紹介します!

夢を追うって辛くて楽しい! アニメ業界で働く5人の少女を描いた『SHIROBAKO』

 『SHIROBAKO』は、『侵略!?イカ娘』や『よんでますよ、アザゼルさん。』などの水島 努監督×『AngelBeats!』や『花咲くいろは』などの“P.A.WORKS”が手掛けるオリジナルテレビアニメ作品。2014年から2015年にかけてTVアニメ放送されました。

 本作は「アニメーション業界の今か、ここにある」というキャッチコピーの通り、アニメ業界の日常を描いた群像劇。タイトルの『SHIROBAKO』とは、制作会社が納品する白い箱に入ったビデオテープを意味しており、アニメ制作会社が“アニメを完成させるまで”を描いた作品です。

 高校のアニメーション同好会に所属していた宮森あおい、安原絵麻、坂木しずか、藤堂美沙、今井みどりの5人は、いつか商業アニメーションを制作することを夢見ていました。その2年後、アニメーション制作会社“武蔵野アニメーション”に就職したあおいは、会社としては7年ぶりとなる元請け作品『えくそだすっ!』の制作進行を担当することになり、忙しない日々を送っていました。

 仕事にも慣れ、進行も順調に思えた矢先、原画が足りない、スタッフが過労で倒れる、絵コンテが上がってこない、仕事を増やす監督……などなどトラブルが続出。この字面を見ているだけでも「しんどすぎる」と思ってしまうところですが、それでもあおいは、先輩スタッフや仲間に助けられながら制作進行の役目を全うしようと奮闘していきます。

 一方、同好会メンバーたちも念願のアニメ業界に就職することができるも、挫折や苦労の日々を送っていました。絵麻はアニメーターの原画マンになるも壁を感じ、しずかは声優を目指すも役に手が届かず涙をのみこみ、3Dクリエイターを目指す美沙は自分が作りたいものとのギャップに苦悶し、脚本家を目指すみどりは脚本家として活動することへの焦りを感じていました。それでも、同好会メンバーと“一緒にアニメーションを作りたい”という夢に向けて、悩み、苦しみながらもアニメーションに携わり続けます。

 アニメ制作の裏話×夢追う女の子たちの姿を描いた『SHIROBAKO』。決して華やかではないアニメ制作の裏側、一見ブラックにも思える労働環境、理想とのギャップに苦悶し挫折する登場人物たち、それでも信念を持って夢を追う姿は、“友情・努力・勝利”が描かれる『週刊少年ジャンプ』の世界観のよう。

 バトル展開こそないものの、ひたむきに夢追いかけ、時のボロボロになる彼女たちは、自身の夢を追いかけながらも、ファンに良いアニメを届けるために日々戦っているのです。この姿にぐっとこないわけがない。

 本作には、彼女たち以外にもアニメに命を懸けるキャラクターが数多く登場しており、“アニメがどうやって私たちに届けられているのか”を知ることができます。『SHIROBAKO』を見た後筆者は、「アニメができあがるって当たり前じゃないんだな」と感慨深くなりました。ひょっとするとアニメを見る視点が変わるかもしれないアニメ、それが『SHIROBAKO』。です。

“アイドル”だって“人間”なんだ。アイドルを夢見る少年たちに心捕まれた『少年ハリウッド -HOLLY STAGE FOR 49-』

 『少年ハリウッド -HOLLY STAGE FOR 49-』は、橋口いくよさんの同名小説を原作とするアイドル作品。2014年にTVアニメ第1期、翌年2015年に第2期が放送されました。

 本作は、橋口いくよさんの小説『原宿ガール』を原案に、女性アイドル設定を男性アイドルに置き換え、橋口さん自らが新たに書き下ろした作品です。2013年に“アニメ×小説×リアル”プロジェクトが掲げられ、2014年にTVアニメ化、同年“ZEN THE HOLLYWOOD(ぜんハリ)”なるリアルアイドルが誕生。小説、アニメ、リアルアイドルが連動する作品として本格的に始動しました。

 TVアニメ版『少年ハリウッド』は、小説の15年後を舞台に描かれたオリジナルストーリー。原宿にある劇場“ハリウッド東京”で活動するアイドルユニット“少年ハリウッド”のメンバーとなった風見 颯、甘木生馬、佐伯希星、富井大樹、舞山 春ら10代の5人が“アイドルとして活動すること”に苦悩しつつも、成長していく姿が描かれています。

 監督はTVアニメ『好きっていいなよ。』のシリーズディレクターを務めた黒柳トシマサさん、アニメ制作はTVアニメ『DIABOLIK LOVERS』、『キューティクル探偵因幡』のゼクシズ、シリーズ構成は原作者の橋口いくよさんが担当しています。

 本作は、アイドルたちが輝く姿だけでなく、泥臭い姿や苦悶する姿までもを描いた“アイドルがアイドルでない瞬間”を描いた作品。ステージ上では“偶像”として輝きを発しているアイドルたちが、ステージを降りれば“普通のことで悩む人間”である……そんな姿に愛おしさを感じてしまいます。

 “少年ハリウッド”としてデビューすることが決まった第1話では、“自己紹介の特訓”をするシーンが描かれるのですが、これが何とも恥ずかしい。「君の宇宙は、僕の宇宙。僕の宇宙は、君の宇宙。つまり僕は君に夢中!」、「笑顔でキュン! 怒りんぼにシュン」などなど……アイドルとファンのコール&レスポンスには欠かせない自己紹介を練習するのですが、10代の彼らにとっては超恥ずかしいものです。

 ステージ上ではアドレナリンが上がっている&ファンが居るので何の気なしで言えるかもしれませんが、冷静な状態で練習するには恥ずかしいものです。最初は恥ずかしがる彼らも、次第に“アイドル”として輝くために全力で取り組みだします。

 こうしたステージ下からは見えないアイドルたちの苦悶や葛藤、努力が垣間見えるのが本作ならではの見どころ。単なる“アイドルアニメ”というよりは、アイドルになろうとする青年たちを生々しく描いた“ヒューマンドラマ”としても楽しめる作品です。

 “少年ハリウッド”はTVアニメのなかにしか存在しないアイドルなのですが、アニメを1話、2話と見進めるうちに「この子たちを応援したい」と気持ちが動かされてしまう……まるで3次元のアイドルを応援しているかのような気持ちになる作品でした。“少年ハリウッド”は実在する(矛盾)。

 また、アイドルだけでなく、アイドルを応援するファンの姿を描かれているのですが、“連絡先を教えるファン”がいれば、「握手できないくらい人気になってほしい」と願うファンなど、思わず「うっわリアル」と思うほどにファン心理が描かれています。

 とくに「人気になってほしい」という気持ちは、頭では理解できるけれど、実際に遠くにいってしまうと心のどこかに風が吹く感覚ありますよね。そんなファン心理までもを描いたリアルなストーリーに、時に胸が苦しむことがあるのですが、見終えると充足感でいっぱいになるんですよね。

 アイドルがアイドルたろうとする姿を描いた『少年ハリウッド』。筆者としては最終回(26話)を見てほしいです。なんと、手描きのライブシーンだけで構成されているんです。すごすぎる。

シャフトが描く“カゲロウプロジェクト”! 独特な世界観×スタイリッシュな作画が魅力の『メカクシティアクターズ』

 『メカクシティアクターズ』は、じん(自然の敵P)によるマルチメディアプロジェクト“カゲロウプロジェクト”から誕生したTVアニメ。2014年にTVアニメ化され、『化物語』や『魔法少女まどか☆マギカ』などを手掛けたシャフトがアニメーション制作を、監督を同タイトルなどを手掛けた新房昭之監督が手掛けています。

 “カゲロウプロジェクト”は、2011年にニコニコ動画に投稿された『人造エネミー』という楽曲から始まりました。その後、プロジェクトの指導者じんさんは、長期的な物語を作成すべく、登場人物たちが所属する“メカクシ団”を設定。『メカクシコード』、『 ヘッドフォンアクター』などの楽曲を続々と発表し、多くのファンを引き込みました。

 なかでも第3作目となる『カゲロウデイズ』は、“救いたい少年”と“救えなかった少女”を描いた歌詞、繰り返す8月15日、変わることなく降り注ぐ“陽炎”など、唯一無二な歌詞が作り出す世界観、ストーリー性が話題になり様々な考察が生み出されました。また、再生回数も100万回以上を記録しています。

 そんな多くのファンを惹きつける“カゲロウプロジェクト”から誕生した初のアニメ作品が『メカクシティアクターズ』。秘密結社“メカクシ団”が活躍する物語で、メンバーは“目を隠す”、“目を盗む”、“目を欺く”、“目を合わせる”など“目”に関する能力を所有しています。各話のタイトルはじんさんが発表した楽曲名がつけられており、各挿入歌も同タイトルが使用されている “カゲロウプロジェクト”ファンにはたまらない内容になっていました。

 本作は、“カゲロウプロジェクト”が持つ独特な世界観が、1話ごとに濃密に描かれています。ものすごいスピード感と情報量で進んでいくので、初見ではその世界観に息を飲まれてしまうかも。1話、2話と話が進んでいくごとに、気付けば“カゲロウプロジェクト”が持つ世界観に飲まれてしまうはずです。

 また、本作は「これぞシャフト!」と言わんばかりのスタイリッシュな作画が見どころ。個性豊かなキャラクターたちが、アニメーションで動き出すことで、そのキャラクターが持つ個性がより濃厚に描かれていきます。『メカクシティアクターズ』や“カゲロウプロジェクト”を知らない方でも、「シャフトの作画が好き!」という方はぜひともチェックしてみてはいかがでしょうか?

平成26年の日本はどうだった?

 ちなみに平成26年の日本では、長寿バラエティ番組『森田一義アワー 笑っていいとも!』が放送終了しました。最終回では、総合司会のタモリさんに加え、明石家さんまさん、とんねるずさん、ダウンタウンさん、ウッチャンナンチャンさん、爆笑問題さん、ナインティナインさん、笑福亭鶴瓶さんらが登場したことで話題に。この連載を始めてから時間の流れに驚くことはしばしばあったのですが、『笑っていいとも!』が終わって4年も経っていることは1、2を争うレベルで驚きました。

 また、日本エレキテル連合の「ダメよ〜ダメダメ」や『アナと雪の女王』の「ありのままで」、「壁ドン」、「妖怪ウォッチ」などが流行語にノミネートされたのもこの年の出来事です。

 次回の『平成アニメ備忘録』をお楽しみに!