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ツンデレ桐乃派or邪気眼厨二病な黒猫派? リヴァイ兵長など人気キャラが多数登場した平成25年のアニメを振り返る『平成アニメ備忘録』第25回

2020.07.11 <PASH! PLUS>


PASH! PLUS

 平成30年分のTVアニメを振り返る『平成アニメ備忘録』シリーズ! 今回は平成25年(2013年)のアニメを振り返ります。

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 この年は、スクールアイドルグループ“μ’s”が社会現象を巻き起こした『ラブライブ!』、日本に憧れる金髪少女・アリス&英国の暮らしに憧れる純日本人・忍のやり取りが愛おしい『きんいろモザイク』、“妖夢”と戦う異能者を描いたダークファンタジー『境界の彼方』、生命繊維で作られた“極制服”を着用するものによるバトルが熱い『キルラキル』、野球名門校でエースピッチャーを目指す少年・沢村栄純を描いた『ダイヤのA』などが登場。

 また、ツンデレ桐乃派? それとも邪気眼厨二病な黒猫派?『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』、『けいおん!』スタッフが手掛けたオリジナル作品『たまこまーけっと』、超ド田舎でのゆる~い日常に癒される『のんのんびより』、勇者に敗れた魔王が日本で働く姿を描いた『はたらく魔王さま!』、学生と軍人の遭遇から始まる群像劇『革命機ヴァルヴレイヴ』などが放送されました。

 今回は、数ある平成25年に放送されたTVアニメのうち3作をご紹介します!

自由を求めて進撃し続ける少年。絶望のなかで鈍く光る希望に心が揺さぶられる『進撃の巨人』

 『進撃の巨人』は、諫山創さんによる同名漫画を原作とするTVアニメ。2013年に第1期(Season1)、2016年(Season2)にMBSほかにてアニメ化、そして今年2018年にはNHK総合テレビにて第3期(Season3)が放送され、2019年4月から続編の放送が決定しています。今年の紅白歌合戦では、本作のOP主題歌『Red Swan』(YOSHIKI feat. HYDE)が歌われるということで今から楽しみ!

 本作は、巨大な三重の壁内にて暮らす“人類”と、人類を捕食する“巨人”との闘いを描いたダークファンタジー作品。巨人の餌と化した人類は、壁外への自由と引き換えに、ひと時の安念の日々を過ごしていました。

 壁外の世界を夢見る少年エレン・イェーガーは、仮初の自由に疑念を感じながらも、ミカサ・アッカーマン、アルミン・アルレルトら幼馴染とひと時の“安念”を過ごしていました。しかし、突如現れた“超大型巨人”の出現により、エレンの壁外に出るという“夢”や“平和”、人類の“自由”は巨大な壁とともに崩れ去ってしまいます。

 その後、巨人をこの世から“駆逐”することを誓ったエレンは、ミカサ、アルミンとともに“調査兵団”への入団を希望。そこでジャン・キルシュタインやライナー・ブラウン、ベルトルト・フーバーら同期“第104期訓令兵団卒業生”、調査兵団第13第団長エルヴィン・スミス、調査兵団の分隊長であり巨人調査に心血を注ぐハンジ・ゾエ、そして“人類最強の男”と称される調査兵団兵士長リヴァイらと出会います。

 このなかでも、リヴァイ兵長の人気はアニメ業界にとどまらず、ファッション誌や女性誌、一般メディアにて特集が組まれるほど。最近だと洗剤の“アタック”とコラボした商品が発売されたのですが、ネット通販・店頭ともに売り切れ続出……リヴァイ兵長の人気恐るべき……。

 そんな『進撃の巨人』は、“希望”と“絶望”の落差が色濃く描かれた作品。漫画やアニメを見ていて「こんな展開ありかよ……」と衝撃を受けた方も多いのでは。希望が訪れるとその裏には絶望があり、絶望ばかりかと思えば一筋の希望が差し込む。

 常に絶望と希望が表裏一体であり、いい意味でも悪い意味でも衝撃と裏切りをもたらしてくれる。平常心で『進撃の巨人』読める人いたら本当に尊敬します。漫画で展開を知っているはずなのに、アニメで「そんな展開ありかよ!」と独り言ちてしまうのが筆者。話がそれました。

 “絶望と希望”の描写だけでなく、繊細な人物描写も見どころ。エレンは常に自由を求めて進撃し、その過程で悩み、迷い、苦渋を味わうことになります。作中、リヴァイはエレンに「選べ」と促すのですが、その選択が決して正しいものばかりではないことも。

 選択し、箱を開けてみなければ決して答えは分からない。例えその答えが正しいものであったとしても、その次の選択が正しいものとは限らない。時にこの展開が心苦しいこともあるのですが、それでも進み続けるエレンたちを見ていると、自分も見続けようと思わされるのです。

 また、アニメならでの『進撃の巨人』の見どころは、立体起動による移動・戦闘シーン。そして『進撃の巨人』は屈指の声優陣が勢ぞろいしており、漫画で読んでいた時以上の感情が動かされること多々の名作です。

京アニが描く男性キャラクターが話題に! 友情&映像&筋肉が美しい『Free!』

 『Free!』は、おおじこうじさんによる小説『ハイ☆スピード!』を原案とするTVアニメ。2013年にTVアニメ化されると、2015年、2017年には劇場版が公開されました。

 本作のアニメーション制作を担当したのは京都アニメーション。『涼宮ハルヒの憂鬱』や『けいおん!』、『氷菓』なども手掛けており、美少女アニメのクオリティはピカイチ! それだけに「次の京アニは何だろう?」と毎回多くの注目を集めるアニメーション制作会社なのですが、『Free!』を手掛けることが発表されたときには「京アニがイケメンアニメやるのか!」と多くの話題を集めていました。

 2013年1番と言っても過言ではないほどに女性ファン人気が高まった本作ですが、京アニが描く瑞々しい人物描写、酸いも甘いも嚙み分けた個性豊かなキャラクターたち、美しすぎる水エフェクト、ディテールにまでこだわりを感じる筋肉美……数々の魅力的な描写で男性ファンからの人気も高かったように感じます。当時、美少女アニメしか見ないと断言していた先輩(男性)が、『Free!』にずぶずぶにはまり「まこちゃん(橘 真琴)が最高なんだよなぁ……」とこぼしていたことは記憶に新しい。

 本作の見どころは上記のように人物描写、美しい描写、筋肉美……など数多く存在するのですが、筆者的には“挫折からの復活”が見どころだとアピールしたい。

 小学校のスイミングクラブで優勝して以降、水泳から遠ざかっていた七瀬 遙、橘 真琴、葉月 渚。小学校時代に通っていたスイミングクラブが取り壊されることを知り、タイムカプセルで埋めた優勝トロフィーを掘り起こしに学校に侵入すると、同じクラブだった松岡 凛と再開します。

 小学校時代は明るく社交的だった凛ですが、水泳に挫折したことでどこか陰のある人間に。遙たちを困惑させました。その後、遙たちは高校で水泳部を創部。陸上部から竜ヶ崎 怜と、凛の妹の松岡 江をマネージャーに迎え入れ、大会出場を目指すことになります。そして、遙たちが水泳部を創部したことを聞きつけた凛も、編入先の鮫柄学園への入部…。

 様々な理由があり、一度水泳から離れた少年たちが、再び新たな気持ちで水泳の世界に飛び込んでいくまでの姿だけでぐっとくるものがあります。しかし、そこで“ただ上手くいく”わけじゃないのが『Free!』。

 特訓に特訓を重ね、挑んだ大会で思うような結果を出せず打ちひしがれる、かつてのライバルとの力の差を見せつけられる、広い世界に出たことで自分より上をいく人物が現れる……主人公たちは数々の挫折を味わうことになります。そこで、苦しみ、悩み、葛藤し、その苦渋を噛み締めて練習に励み、その先のステージを目指して泳ぎ続ける。青春ストーリーの王道を貫く展開はシンプルにワクワクできるし、彼らが挫折を味わうことで同じ目線・気持ちを分かち合える楽しさもあります。

 スポーツ作品である以上、“勝ち負け”は切り離せないものなのですが、『Free!』ではそれ以上に“水泳を楽しむ”という思いが描かれていることも魅力的。仲間やライバルとともに“泳げることが楽しい”という純真な気持ちを見ていると、胸がすっと軽くなるのです。

ヒーメヒメヒメが癖になる? 自転車競技を強烈な個性と共に描いた『弱虫ペダル』

 『弱虫ペダル』は、渡辺 航さんによる同名漫画を原作とするTVアニメ。2013年に第1期が放送されて以降、2014年、2017年、2018年にかけて放送されました。

 本作は、自転車競技を題材にしたスポーツ作品。主人公・小野田坂道は、アニメやゲームを愛するオタクな1年生。中学校では友達ができず、高校では友達を作ろうと漫画研究部に入ろうとするも、部員数が足らず休部状態であることを知ります。

 そんな時、同級生の今泉俊輔、鳴子章吉と出会った坂道。中学校から自転車競技で活躍していた2人と出会い、“自転車で早く走ること”の楽しさを知った坂道は、彼らとともに自転車競技部への入部を決めます。

 自転車競技は初心者な坂道でしたが、小学生のときから愛車のママチャリで秋葉原まで通っていたことで、上り坂に強い“クライマー”としての基礎能力が鍛えられていたことが判明。先輩部員でクライマーとして活躍する巻島裕介の指導を受け、坂道はクライマーとしての才能を開花させていくのです。オタクの可能性を見出してくれてありがとう。

 本作は、個性豊か(豊かすぎる)なキャラクターが数多く登場。坂道は歌うと早くなる特性を持っており、緊迫した試合中でもアニメ『ラブ☆ヒメ』のOP主題歌を「ヒーメヒメヒメ」と歌いだすことも(坂道を演じる山下大輝さんの歌声がクセになるのでぜひとも漫画派の方でもアニメ版を聴いてみてほしい)(ちなみに田村ゆかりさんが歌っているver.もある)。

 また、巻島は自転車をものすごく傾けながら走ることで“頂上の蜘蛛男(ピークスパイダー)”の異名を持ち、3年の田所 迅はふくよかな体形ながらも異常な早さを発揮する“暴走の肉弾頭”なる技を持っています。見た目で油断したらいけないね。

 また、筋肉を開放してスピードアップする御堂筋 翔、落車ギリギリの荒々しい走りで抜きされるほどの反射神経を持つ荒北靖友、「ボク自身が筋肉になるんですよ!」「アブアブ」などシュールな名言を持つ泉田塔一郎などなど……強烈な個性を持つキャラクターが多く、緊迫した試合中ながらも思わずクスリときてしまうことも。

 しかし、本作の真骨頂は“自転車競技ならではの厳しい展開”にあります。足がもげそうになるほどに苦しくとも先に待つ仲間やライバルを思いそれでもこぎ続ける。勝利のためにはチームメイトを切り捨てることを選択する必要もある。

 ライバルとの鎬を削りあうような抜きあい。ゴール目前では全ての余力を使い切るかのような全力勝負で走りぬく。時に厳しい展開に苦しみながらも、ゴールの瞬間まで駆け抜ける彼らの姿にきっと胸が熱くなります。

平成25年の日本はどうだった?

 ちなみに平成25年の日本では、林 修さんの「今でしょ!」や連続テレビ小説『あまちゃん』の「じぇじぇじぇ」、TBS系ドラマ『半沢直樹』の「倍返し」が流行語にノミネートされました。およそ5年前の出来事ですが、今でも現役の言葉たちですよね。今でしょ!

 次回の『平成アニメ備忘録』をお楽しみに!

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