白井悠介、山での出会いで暴走!?日本百名山の完登が夢な32歳エディターになりきる『しらいむコーデ～ミント味～』第5回

　声優・白井悠介さんが毎回、さまざまなキャラクターを演じながら色々なジャンルのグリーンファッションを披露する連載『しらいむコーデ～ミント味～』の第5回が、PASH!9月号にて公開。この度、PASH!PLUSでもショートストーリーとともに魅せる心ときめく表情満載のグラビアを紹介します。

■今回のしらいむ
伊藤緑朗（いとう　ろくろう）　32歳／エディター
山と自然が好きで、日本百名山の完登が夢。山の素晴らしさを伝えたくて山登り雑誌の編集部で仕事をしている。普段は冷静な性格だが、山に登るとテンションが上がって早とちりが増える。

ストーリー

「よろしくお願いしまーす♪」
　元気いっぱいの新人3人を引き連れ研修を兼ねて登山へ行くことになった。3人とも本格的な登山は初めてだそうだ。今回は大変そうだぞ…。伊藤は3人を見てそう思った。3人とも日頃から運動をしている気配はないし、衣服や持ち物も軽装だ。きっと登山は初心者だろう。

「このあたりは、水はけが悪くて地面が滑るので注意してくださいねー」
「わっ、ホ ントだ。すごい滑る」「きゃっ！」
ひとりが足を滑らせた。危ない！　伊藤は転びそうになった唯一の女性新人の腕をつかむ。 両足をふんばり、全身に力を込めて腕を引き寄せる。彼女は体勢を立て直した。ふぅ。どうにか転倒はふせげた。

「ありがとうございます」
「バランスを崩しそうなときは、地面に手をついて進んでもいいですよ」
どんなに苦しい山登りでも、終わってしまえばいい思い出になる。だけど、ケガをしたら台なしだ。

3人には、キツかったけど最高だったと思える登山を経験してほしい。 最初はぎごちなかった新人たちの足取りも、途中からペースが上がってきた。登る感覚に慣れてきたようだ。 山頂まで、あと一息だ。…でも、無理は禁物！

「このあたりで休憩にしましょう。視界が開けて見晴らしがいいですよ」
景色もいいし、鳥の鳴き声も聞こえる。足元には高山植物が花を咲かせている。 水分補給が終わったら、新人たちの息が整うまで、伊藤は山について話をした。

「ふふっ、伊藤さんは、本当に山が好きなんですね」
さっき転びかけた彼女がおかしそうに笑った。

「すみません、一方的に話しすぎちゃいましたか？」
「いえ、知らないことばかりで勉強になりました。もっといろいろ聞きたいです」
3人とも楽しそうに話を聞いていたけれど、転びかけた彼女は特に熱心に山の話を聞いてくれた。しかも、目がキラキラ輝いている。

もしかして…？　危ないところを助けられたり、いろんなことを教わったりして、伊藤の醸し出す大人の魅力に彼女はときめいているのかもしれない。…まあ、悪い気はしないな。つーか、普通に 嬉しい！　山頂に着き、昼食タイム。伊藤が岩に座って休んでいると、例の彼女がとなりにやってきた。

「伊藤さんが担当で 本当に良かったです」
「楽しんでもらえて、俺も嬉しいよ！」
「また、お願いしてもいいですか？」
「そんなに気に入ってくれたんですね！」
「はい、だって、伊藤さんってお父さんみたいに…」

えっ、お父さん!?　たしかに、年は少し離れてるけど…。いくらなんでもお父さんは…。
「せめて、お兄ちゃんと言ってくれー」
言ってくれー、言ってくれー、言って……。 伊藤の叫びは、やまびこになって反響した。

「お父さんみたいに頼りがいがあって素敵だ、って言ったんだけどな…」
ちょっとファザコン気味な女子の最上級のホメ言葉だったのに、 その意味に気づかず、ショックを受ける伊藤であった。

（※PASH!2020年9月号より抜粋）

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PASH!(パッシュ)2020年 09月号[A3&魔道祖師]

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