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『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門』五ェ門役・浪川大輔インタビュー

2017.02.03 <PASH! PLUS>


PASH! PLUS

浪川「演技も映像も、五ェ門の内なるものをどう表現するかにこだわりました」

小池 健監督の『LUPIN THE IIIRD』シリーズ第2弾『血煙の石川五ェ門』は、若き日の孤高の剣士・石川五ェ門が、最強の男へと覚醒する瞬間を描いています。PASH! PLUSでは、石川五ェ門役の浪川大輔さんを直撃取材し、本作の見どころから五ェ門を演じることへの想いなど、たくさんお話を伺いました!! 

浪川大輔が思う
石川五ェ門の魅力とは?

──最初に本作の見どころを教えてください。
 まずテイストなんですけど、昔からの『ルパン(三世)』ファンは本作のテイストが堪らないと思います。最近のTVスペシャルなどがお好きな方は、かなりテイストが違いバイオレンスなところが多いので、びっくりするかもしれません。
 今回描かれているのは“五ェ門の挫折と覚醒”ですが、僕は最初このテーマをどう見せていくのかなって思っていたんです。というのも、五ェ門が負けるっていうイメージがあまりなかったので。でも今回、五ェ門は本当にあっさりと負けます。そして苦悩します。そういったところを日本の美学ではないですけど、表に出さずにどんな表現になっているかをじっくり観ていただけると嬉しいです。
 それと、挫折をどのように乗り越えるかも見どころのひとつです。強い敵が現れたときに、仲間が増えたから勝てる、大きな力を手に入れたから勝てるというのでなく、五ェ門は自分自身に克つことで活路を見出します。そういった展開は最近あまりなかったので、新鮮に感じる方もいるのではないでしょうか。
 若いころの五ェ門がどんなだったのかも見どころです。当時の五ェ門は、自分が未熟だと分かってないと思うんです。周りに「あいつ若いな」「未熟だな」って思われているだけで、五ェ門自身は自分なりにパーフェクトだと思って生きていたと思う。なので、そういった“若気の至り”みたいなものも感じてもらえればと思います。

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──PASH! PLUSは女性読者が多い情報サイトですが、女性にオススメな観方を教えてください。
 女性でもこういったテイストがお好きな方がいると思いますが、面白さが分かりづらいと感じる方もいると思います。そういう方はぜひ、「へえ、男の人ってそういうところに燃えるんだ」とか「男ってそんなこと考えるんだ」といった新たな発見の場として楽しんでいただければと。
 観方は自由です。「ふ~ん、そういうこともあるんだ」と思ってご覧になるライトな観方、五ェ門の生き様を真摯に受け止めるヘビーな観方、どちらの観方もできる作品なので、ぜひ自由に楽しんでほしいですね。

──浪川さんは、五ェ門の魅力はどこにあるとと思いますか?
 五ェ門を演じるようになって、いろいろな仕事仲間の女性から「以前から五ェ門のファンなんです」って言われ、女性人気が高いことにちょっとびっくりしています。
 その人たちに五ェ門の魅力を聞くと、彼はシャイな部分がかわいいと。でもそれだけじゃなくて、キメるところはキメるヒーロー的なところもあるんですよね。そして、余計なことを言わない。そういったところが魅力なんだと思います。
 最初は取っつきにくいかもしれませんが、話すと意外にしっかり答えてくれるから、実はいいヤツなんだと思う女性は多いと思います。また本作では“自分が決めたことはやり遂げる”っていうテーマもあるんですけど、そういうひたむきな姿は魅力的に映るんじゃないでしょうか。
 一方で五ェ門って“だめんず”な面もあって、それはそれで惹かれるところかも。今回なんか、自分を用心棒として雇ってくれたボスを本編開始8分で殺されてますし(笑)。でもそのあと、自分のせいにするところがかっこいい。だいたい言い訳するじゃないですか? 男って(笑)。「いや、なんか体調悪くって」とか(笑)。五ェ門はそんな言い訳を一切しません。ここは魅力ですよ。

──言い訳をしないのは、難しいですからね。
 僕も失敗したときは、言い訳から入ります。何も言われてないのに、言い訳したりしますし(笑)。
 あと痛がらないところも男前だと。斬られたら、すごい痛いと思いますよ。最後の闘いで受けた傷なんか、3週間はカサブタ取れませんから。

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──あの傷は、そんなもんじゃないと思いますが(笑)。
 (笑)。でも一切「痛い」って言わない。傷口を見もしない。痛みに強い。男はだいたい痛みに弱いですから、そう考えると五ェ門のかっこよさ、半端ないッス!

「五ェ門は泣かない。でも心で泣きます」って
それ、どうやって音にするんだ!?

──収録現場はどんな雰囲気でしたか?
 いつもルパン(三世)の栗田(貫一)さん、次元(大介)の(小林)清志さんお2人はムードメーカーで、山寺(宏一、銭形警部役)さんも含めホントにみなさん明るくて。こんなにスタイリッシュで業の深い作品なのに、現場は和やかなんですよ(笑)。
 あと今回は、声が低くて、ごつくて、柄の悪い人たちが大勢集まっているのはここだけじゃないかってくらい男臭い人たちが集まりました。迫力ある男だらけのスタジオだったことが印象に残っています。

──今回、若い五ェ門を演じるために工夫されたことは?
 今回の場合、「若い五ェ門ですから、じゃあ浪川さん、若く演じてください」ということにはならないんです。若くてもすでに五ェ門は相当な手練れなので、落ち着いているという点では基本的にこれまでと同じです。ただ、守るべきものが守れなかったり自分の予想に反したときなど「あれっ?」って動揺してしまう、結果が伴わないから「若いな」って言われる、そういった不安定な部分があることを念頭に置いて演じました。

──本作まで五ェ門を演じてきて、大変だと感じているところは?
 僕は、セリフに感情を乗せていかないのが五ェ門だと思っているんです。
 それと、彼だっていろんなことを思うんだろうけど、いろいろ思った末の最後の言葉しか言わない。途中で考えが変わったりしても表には出しません。演じる側としては、結果だけでなくその途中の変化を理解していかないとふさわしい演技ができないので、そういう点が難しいところですね。
 五ェ門は、ほかの『ルパン』シリーズでも突然出てきたりしますが、僕は彼がそれまで何をやっていたかをいつも考えています。それと、登場したときどんな状態なのかも意識しています。急いで来たのか、それとも相手がここに来るってわかって待っていたのかなども考えないと、ちゃんとした演技ができないので。

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──セリフが少ないと、演じるのが難しいですか?
 ルパンみたいに饒舌なのも、もちろん大変だと思います。僕としてはセリフの量というよりも、会話のリズムを崩したくないっていうのがあるんです。次元もかなりしゃべるじゃないですか? 2人の掛け合いのなかに入るときは、そのリズムや流れが途切れないよう意識しています。
 五ェ門って、だいたいそういうときは端っこにいて、片目を開けてなんとなく聞いている。そしてひと言「何?」とか言うわけですけど、そこでリズムを止めず、そのあともルパンが「だから五ェ門もさあ…」と入れるような「何?」にしなければいけない。そのへんは、これまで作ってきた五ェ門のイメージを傷つけないために気を遣うところですね。

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──なるほど。では収録時、スタッフさんとのやりとりで印象的だったことは?
 一部のセリフを何パターンも録ったんです。それが大変だったし印象に残っています。
 例えば、五ェ門が覚醒したのち敵と対決する際の「来い」というひと言。この「来い」は、覚醒したから、強いから、「いつでも来い!」というニュアンスではないんです。自分には倒せる自信があるからの「来い!」でもない。じゃあどんな「来い」なんですか?って感じになりますよね(笑)。
 収録時、小池(健)監督からは「五ェ門は覚醒して、感じたら意識する前に体が反応するまでに感覚が研ぎ澄まされています。なので、『来るなら来てください。その代わり斬ってしまいますけど』という意味の『来い』にしてください」と言われて。そのときは「確かにそうですね」と言ったんですけど、実際それを表現するのはなかなか難しかったですね。

──ひとつのセリフで、何パターンぐらい録ったのでしょうか?
 正確には覚えていませんが、とにかく何パターンも録りました。監督や清水(洋史、音響監督)さんから「今のちょっとやり過ぎですかね?」とか、「もうちょい気合いが入ったほうがいいんじゃないですか?」とか、言い方は丁寧なんですけどホント指示が(笑)。
 でも、それくらい五ェ門の内なるものをどう表現していくかってことにこだわってくれているんだとも感じました。息ひとつにしても、五ェ門にとっては大事なので。

──セリフが少ない分、ひとつひとつの言葉に重みがあるわけですね。
 嗚咽ひとつにしてもそう。泣いた感じで演技したら、「浪川さん、なんで泣いたんですか?」って聞いてくるんです。「悔しいときって泣くじゃないですか?」と答えると、「いや、五ェ門は泣かない。でも心で泣きます」とか。どういうことなんだ!?(笑)。どうやって音にするんだ、それ!みたいな(笑)。
 あと今回、斬るときに「きえーっ!」と言うか言わないかで話し合ったりしています。五ェ門って今まで飛行機などいろんな物を斬ってますが(笑)、そのときたいてい「きえーっ!」と叫んでいるんですよ。で、今回どうしよう?となったときに、僕は「ないと思います」って言ったんです。今回、五ェ門の内なるものから出てくる言葉は「きえーっ!」じゃないと感じたので。こういった感じで、ひとつひとつのセリフを丁寧に吟味して収録していったんです。

──それでは最後に、PASH! PLUS読者にメッセージをお願いします。
 『ルパン』は知ってるけど劇場まで行くのはちょっと…、と思っている方もいらっしゃると思います。
 『血煙の石川五ェ門』は、今、流行っているアニメとはかなりテイストの違うものですけど、こういう作品も作られていることを、ぜひ多くの人に知ってもらいたいと思っています。
 スタッフ、キャスト一同、本当に丁寧に作りました。今回は、男同士の戦いであったり一生懸命な男たちの姿がしっかりと描かれているので、ぜひこのかっこいい男たちを観にきていただければと思います。よろしくお願いします!

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DATA
LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門

 

ROAD SHOW:2017年2月4日(土)
 新宿バルト9ほかにて4週間限定全国公開(PG12)

HP:http://goemon-ishikawa.com/
CAST:
 ルパン三世=栗田貫一
 次元大介=小林清志
 石川五ェ門=浪川大輔
 峰 不二子=沢城みゆき
 銭形警部=山寺宏一

STAFF:
 原作=モンキー・パンチ
 監督・演出=小池 健
 企画=加藤州平、加藤良太
 脚本=高橋悠也
 クリエイティブ・アドバイサー=石井克人
 音楽=ジェイムス下地
 キャラクターデザイン・メカニックデザイン・作画監督=小池 健
 美術監督=田村せいき、金森たみ子、村本奈津江
 ビジュアルコーディネーター=斎藤裕子
 色彩設計=茂木孝浩
 タイトルデザイン=関口修男
 デザインワークス=山下敏幸
 音響監督=清水洋史
 撮影監督=田沢二郎
 編集=笠原義宏
 プロデューサー=浄園 祐
 アニメーション制作=テレコム・アニメーションフィルム
 製作・著作=トムス・エンタテインメント

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