interview

TVアニメ『王様ランキング』は手話話者にも取材しボッジを逃げずに描く。制作陣のこだわりについて聞いてみた!

2021.12.01 <PASH! PLUS>


PASH! PLUS

 PASH!11月号に掲載された、TVアニメ『王様ランキング』シリーズ構成・岸本卓さん&アニメーションプロデューサー・岡田麻衣子さんインタビューの一部をお届けします。

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シリーズ構成・岸本卓さん&アニメーションプロデューサー・岡田麻衣子さんインタビュー

――おふたりは原作コミックにどんな魅力を感じられましたか?

岡田 今流行りの絵とはタッチが異なり好みは分かれると思うのですが、読み進めるとそれとは違う魅力が詰まっていて、これはアニメ化したい!と思いました。アニメを作るって本当に大変なことで、人生において何本参加できるだろうかと思うんです。そのなかで何を作りたいか、何を残すべきかと考えたときに、『王様ランキング』は残したい作品だなと思いました。

岸本 最初に原作を読んだとき、子供向けの作品なのかな?と思ったんですよ。でも読んでいくと、何だか様子が変だぞ? と。あんなにほのぼのした童話のような絵柄に対して、物語はどんどんシリアスになっていくじゃないですか。これをアニメにしたら、しかもWIT STUDIOで作ったらどう化けるの? もしかして当たるんじゃない? ……よし、仕事受けとくか! みたいな(笑)。

一同 (笑)。

岸本 チームとして何が起こるか分からない感じが面白そうだったし、これまでやったことのないタイプの原作だったので新鮮な気持ちでお仕事できるなと受けさせていただきました。

岡田 それに、お子さんからのプッシュもあったんですよね?

岸本 そうそう、子供が「絶対やりなよ!」と。というか、うちの子供もカミさんもいただいた原作をすごく熱心に読み始めて、それを見て読者の幅が広い作品だなと思いました。

岡田 嬉しいです。岸本さんとご一緒するのは本作が初めてですが、すごくやってもらいたかったんです。

岸本 自分で言うのも変ですが、僕は作家的か職人的かでいうと職人的なライターです。自分のやりたいことを積極的に盛り込んでいくというよりは、原作の魅力をどう引き出すかとか、監督がやりたいことをどう実現するかに注力するタイプ。だから本作の八田(洋介)監督とも、相性は良かったかなと思います。

岡田 はい、ピッタリでした。

――原作の十日草輔先生からはどんなお話がありましたか?

岸本 シナリオに関しても絵コンテに関しても、「思う存分、好きなようにやってください」とおっしゃっていただきました。僕らをプロとして認めてくれて、ああしろこうしろじゃなく、任せたからには任せますというスタンスでとてもありがたかったです。

岡田 アニメチームとしては大変やりやすかったです。こちらで解釈が分かれたコマがあればきちんと質問に回答してくださるし、アニメ独自の膨らませ方も容認してくださいました。

――では主人公・ボッジの魅力は?

岸本 やはり挫けなさですかね。健気さとも言える、どれだけハンデを負っていても、どれだけ辛い目に遭っても常にニコニコしていて、挫けないところ。

岡田 そうですね。まっすぐ育っているのがスゴいですよね。

岸本 街の人々が、ボッジを差別的に扱うシーンのセリフの扱いについては、シナリオ会議でも白熱しました。僕としては物語上必要だと思ったから書いたんですが、「原作にない差別的な表現は避けたほうがいいのではないか」という意見が出て。それに対して「原作にあるものはそのまま表現するけど、アニメチームとしては避けて通るというのは少し違うのでは」と僕が熱くなったりして。

岡田 それならどうしてこの作品をアニメ化に選んだのか。アニメとして表現することはちゃんと表現して、向き合って、ボッジがどうしていくのかしっかり見なければと思います。本作の手話シーンは手話話者の方々に実際に演技していただいて、それを撮影し、作画に使わせていただいています。そういう部分はできる限りちゃんと伝えなきゃ、という想いがあります。

岸本 あの頃はまだコロナ禍じゃなかったから、そのあと飲みに行ったよね(笑)。僕はシナリオ会議でギスギスしたら、なるべくその後飲みに行くようにしているんです。その日のうちに腹を割って話し合ってお互い納得しておかないと、後が辛くなっていきますから。シナリオ会議って僕が書いた脚本にみんながとやかく言う場だから、ギスギスしてると自分が辛い!(笑)

岡田 岸本さんは会議で空気が重くならないようにされているし、どんな意見も聞いてくださるので、揉みがいもあっていいシナリオができます。

岸本 誰かのアイディアでシナリオが良くなったとして、クレジットされるのは僕ですから。これはお得な話ですよ!(笑) そうやって心を開いていかないと、なんで直さなきゃいけないの? と辛くなってしまう。ちょっとでも良い点があったら取り入れて、「俺の手柄~!」と考えれば、気持ちよく仕事ができます(笑)。

岡田 岸本さんは脚本家としての切り返しや引き出しが多才で、いつも勉強になります。ご一緒できて楽しいです。

岸本 だってさ。ここしっかり書いといて!(笑)

――最後に一言お願いします!

岡田 キャラクターデザインを野崎あつこさんが務めてくださったことも、WIT STUDIOとして本作を手掛けられる大きなポイントだと思っています。ボッジやカゲたちの動きに野崎さんがすごくこだわってくださっているので、細かい動きまでご注目ください。私としても毎話すごく楽しみながら制作に携わっている作品ですので、みなさんにも楽しんでいただけたら嬉しいです。

岸本 ボッジやカゲたちが、笑って、泣いて、走って、躍動する映像をただただ体験していただきたいです。とにもかくにもぜひ、TVアニメ『王様ランキング』をご覧ください!

(PASH!2021年11月号より抜粋)

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