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アニメ『Sonny Boy』は“わかりやすさ”の逆を行く。大西沙織さんと悠木碧さんにインタビュー

2021.09.30 <PASH! PLUS>

 さわやかな映像と音楽、そして謎が謎を呼ぶミステリアスな物語が注目を集める夏アニメ『Sonny Boy』。キャスト陣はこの作品とどのように向き合い、キャラクターを捉えているのか。

 本記事では、PASH!9月号に掲載された、希役・大西沙織さんと瑞穂役・悠木碧さんへのインタビューの一部を特別に掲載します!

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――まずは、本作の物語への印象を教えてください。

悠木 一言で言うと「難解かつ混沌」ですね(笑)。

大西 そうですね、ここまで現場のみんなで考察し合いながらアフレコをする作品は初めてでした。私たち声優の仕事って、台本から行間を読み込み、観ている皆さんがわかりやすいように表現することなのですが…まったくわからないという(笑)。

悠木 そう、かみ砕き方がわからなかった。どこを到達地点として作られているのか想像がつかないし、夏目真悟監督もあえて詳しく教えようとしないし。今回、オーディションではなく指名で役をいただいたのですが、1話の台本を読んだときはわからなさすぎて、自分が忘れているだけでオーディションを受けたのか? という気になっちゃいました。思わず「オーディション資料をもらっていいですか?」と聞いてしまったくらいです。原作もないから、とにかく何かヒントになるものがほしくて(笑)。

大西 私も「希という役です」と聞いてはいたんですけど、当初は彼女の姿かたちも知らなかったんですよ。イントロダクションも何もなく、台本一冊だけがすべて。なんだかすごい作品だなと思いましたね。

 ストーリー的にも、「学校にいた生徒たちが漂流して、謎の世界に来てしまった」という大まかなベースはあるものの、その核心に触れずに生徒たち個々のドラマや関係性にフォーカスを当てたお話も多くて。肝心なところがわからないまま物語が進んでいくのが、不思議な感じでした。

悠木 最近のエンターテインメントって、「パッと見てわかる」というのが主流だと思うんですよ。起承転結の“結”だけで面白い、みたいな。私自身もよくそういうエンタメを摂取していますけど、そんな現代だからこそ、起承転結すべてで謎かけしてくるこの作品はすごいなと感じますね。クリエイターが自由に作った作品という感じがすごくする。

大西 1話のアフレコ後に夏目監督とお話ししたんですけど、「今まであまりやったことがない、でも自分のやりたかったことに挑戦させてもらっている作品だ」とおっしゃっていて、すごく伸び伸び作られているんだなと感じました。キャッチーでポップというわけではないけど、だからこそ映える作品なんじゃないかと思います。

――ストーリーも制作過程も、「わかりやすさ」とは真逆を行く作品ですね。

悠木 そうなんです。だからお芝居も、今回は色を落として、なるべく“生っぽさ”を出すのがこの作品らしさなのかなと考えていました。「かわいい」を表現するのにも、「愛でたくなるようなキュートさ」ではなく、「その人からにじみ出る、人間的な愛おしさ」みたいなものを、拾える人にだけ拾えるくらいのバランスで盛り付けていかないとな、と。

 そういう芝居は自分の中身が見えるから、どこまでさらけ出していいのかの加減はすごく難しかったですね。でも、なかなか挑戦する機会のないものを求められる楽しさもありました。

大西 人が多いところに行くと、人間のにおいってたまにするじゃないですか。この作品からはそんな、香水をつけてないけど香りたつ“人間の生のにおい”を感じられる気がします。

 私はこれまであまりそういう作品に出合ったり、挑戦してこなかったので、アフレコ中は不安で不安でしょうがなかったです。何度も「私、今ちゃんと希かな?」という存在確認を周りの人にして、なんとか自我を保っていましたね。

――1~4話で特に印象に残っているシーンは?

悠木 私はやっぱり、2話の瑞穂が大ゲンカするシーンが印象的ですかね。逆立っている毛が見えるようで、猫の猫たるシーンだったと思いますし、中学生らしいなと感じたんですよね。

 怒るのって疲れるから、歳を重ねれば重ねるほど、怒らなくなるじゃないですか。でも、瑞穂の感情表現は基本的に怒ることから始まるので、若いなぁ、と。共感もできるし、まぶしくもあって、怒っているのに愛しく見えるというのが印象的でした。

大西 私は1話ですね。過去回想シーン以外ではずっと学校の外の景色が真っ暗に描かれていたんですが、希と長良が落ちていくラストシーンで、急に海や空がバッと広がる。それが視覚的にすごく不思議な感覚になったんです。真っ暗な部屋から急に外に出たというような。これまで観たことないアニメ表現だと感じましたね。

悠木 私、あの真っ暗な景色に、「学生のときの視野ってこうだったな」と思ったんだよね。クラスのなかのことで手いっぱいで、窓の外の景色は授業が暇なときに眺めるだけのもので、張られているポスターと変わらない、みたいな。あの閉塞感とすごく似ているな、って。

大西 たしかに、学生のころって「学校がすべて」という感じがあったかも。怖いものも多かったですね。コンビニの前にいる高校生とか、大人になったらなんとも思わないけど、中学生のときはすごく怖かった。それもやっぱり、自分の世界が狭いからほかのことに対応できなかったからなのかな。

――おふたりの夏休みの思い出も教えてください。

悠木 子どものころは毎年、鹿児島にあったばあちゃんの家に行っていました。ばあちゃんちは庭がめちゃくちゃ広くて、そこにノラ猫がいっぱいいて。ばあちゃんはその子たちにエサをあげたり、予防接種を受けさせるために病院へ連れていったりと、お世話をしていたんですよね。

 庭の隅に落ち葉を焼く用の古い焼却炉があったんですけど、あるとき、そこからすごく香ばしいにおいがして。なんだろう?と見てみたら、猫が自分で獲ってきた蛇を焼いていたんです。で、焼き終わったらちゃんと取りにきて食べていて。たまたま焼却炉に隠しただけなのか、焼くとおいしいとわかってやっていたのかはわからないですが、猫って賢いんだなと感動した記憶があります。

大西 めちゃくちゃかわいい思い出ですね! 私は夏休みのプールの授業の思い出がありますね。夏休み中、学校は休みだけどプールの授業だけあって学校に泳ぎにいく、みたいなのありませんでした?

 小学生の私はよく、あらかじめ洋服の下に水着を着てその授業に行っていたんですよ。で、ある日、着替えのパンツを忘れてしまって……(笑)。泳ぎ終わったあと、べちょべちょの水着の上に服を着るか、ノーガードで帰るかの二択を迫られ、悩んだ末にノーガードで帰りました。スカートの裾を抑えながら一生懸命帰ったのは、今でも鮮明に覚えています。

悠木 あー! 私も経験ある!(笑)

――驚がくのエピソード、ありがとうございました。では最後に読者へメッセージを。

悠木 皆さん、今後、物語がどう進んでほしいですか? 私、すごく思うんですよ、この作品って「どういう展開を期待するかで、自分が求めているものがわかる」という心理テストみたいだなって。

 皆さんのなかにある「こういうふうに進んでくれたら気持ちいいな」という理想と、実際の物語がどのように乖離していくのかをぜひ比較していただきたいです。それって、自分が学生時代に持っていた“なりたい自分”と現実の乖離にすごく近いものだという気がしていて。そういうふうに観てもらえると、よりこの作品を楽しめるんじゃないかなと思います。

大西 私も、「来週はこうなんじゃないか」と予想しながらアフレコに臨んでいましたけど、ことごとく自分の予想にない展開が出てきて。毎週、「夏目監督の頭のなかはどうなっているんだろう?」と不思議に思っていました。

 だから、悠木さんがおっしゃったみたいに自分の理想を想像しながら楽しむのもアリですし、なんなら予想も何もせずひたすらに夏目監督ワールドを楽しむというのもいいんじゃないかなと思います。それくらい、皆さんの想像どおりにはいきませんので(笑)。引き続きお楽しみいただければと思います!

(※PASH!2021年9月号より抜粋)

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