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オーイシマサヨシ&Tom-H@ck、NEWALBUM「REUNION」は「“2年間の活動の結晶”のようなアルバムに」【インタビュー】

2020.09.03 <PASH! PLUS>


PASH! PLUS

 『ダイヤのA』『オーバーロード』『SSSS.GRIDMAN』など人気アニメの主題歌などを担当する、アニソンシンガー“オーイシマサヨシ”と、サウンドクリエイター“Tom-H@ck”から成る実力派デジタル・ロック・ユニット「OxT(オクト)」が、9月10日(木)にNEWALBUM「REUNION」を発売する。

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 OxTが2年ぶりに発売する本アルバムには、大ヒット曲「UNION」のほか、Tom-H@ckが内田真礼に楽曲提供した「鼓動エスカレーション」、大石昌良が三森すずこに楽曲提供した「チャンス!」を、それぞれ“OxTver”として新録したものを収録。さらに、電光超人グリッドマンのEDテーマ「もっと君を知れば」のカバー、アルバムの表題曲となる新曲「REUNION」、また過去のシングル3曲もアレンジや新たにミックスし直すなど、盛りだくさんの内容となっている。

 この度、OxTの2人に、このNEWALBUMについてインタビュー。「2年間の活動の結晶のようなアルバムになった」という、この「REUNION」の聴きどころ、2人がお気に入りだという楽曲を直撃! さらに『ダイヤのA』の楽曲制作秘話など、貴重な話もたっぷりと伺った。

OxTインタビュー

――NEWALBUM「REUNION」がとうとう発売されます。どのようなアルバムに仕上がったか、率直な感想をお願いします。

オーイシマサヨシ(以下:オーイシ):前アルバムをリリースしてから2年の間、新曲を出したり、イベントに参加したりと色々活動している中で、ふと「あ、こんなに曲貯まってたんだ」と気が付きまして(笑)。しかも、集めてみたら良い曲ばかりだったので、全部集めてアルバムにしちゃおう! ということになりました。“この2年間の活動の結晶”のようなアルバムになったと思います。

Tom-H@ck(以下:Tom):右に同じです!

オーイシ:このコメント、お決まりなんです。これがいつもの流れなんです。

Tom:その通りなんだもん(笑)。過去に出した曲も、最近の音楽性に合わせてサウンドリアレンジしているので、「これを聴くと最新のOxTの音楽性がわかる」というアルバムになっています。さらに、初回限定盤特典DVDには、昨年Shibuya WWWで行った「OxTの日 2019 IN TOKYO」の模様が収録されているので、まるでベストアルバムのようになりましたね。

――1曲目はピアノ調のOverture。そして2曲目から「UNION」に続き、そこから疾走感のある曲が続きます。この曲順にした意味などはあるのでしょうか?

オーイシ:実は、最初から「UNION」を2曲目に入れるということは決めていたんです。この2年間の中で、「UNION」を出したおかげでイベントや番組に呼ばれるということもあって、この曲のおかげで僕たちを知ってくださる方も増えましたし。タイトルが「REUNION」という、「UNION」の冠をかぶったアルバムになるので、気持ちよく「UNION」に入れるような流れにしたかったんです。

――最後に『ダイヤのA』のエンディングが続くというのも、とてもエモーショナルだと思いました。

オーイシ:僕は『ゴールデンアフタースクール』が大好きなんです。自分で作ったからか、思い入れのある楽曲になっていて。そこからTomくんが作った「Everlasting Dream」に続くという流れが、自分の中で「最高にエモい!」と思いました。

Tom:『ダイヤのA』のあのグラウンドとか、夕日が沈みゆく感じが浮かんでくるよね。

――NEWALBUMのタイトルにもなっている「REUNION」。これは、どのような曲ですか?

オーイシ:タイトルからもわかるように、ヒット曲にもなった「UNION」から派生した楽曲です。また、REUNIONは「再結成・再集合」という意味があるのですが、OxTの活動は毎日顔を合わせることもあれば、月1回しか顔を合わせないこともあって。ある意味、再集合・再結成を繰り返しているユニットだと感じたので、この「REUNION」というタイトルで、この2年の結晶になる曲を作りました。

Tom:「UNION」が近年のOxTの代表曲になっているので、その「UNION」へのリスペクトを残した楽曲になりました。なので、コード進行やメロディーはかなり似せています。聴く人が聴けば「似てるけど違う」という絶妙な感じを楽しんでいただけると思います。

――本アルバムにはその「UNION」や「REUNION」のほか、新曲や過去シングルを新録した楽曲も収録されています。その中で“お気に入りの1曲”を教えてください。

Tom:これは……2人とも一致するでしょうね!

オーイシ:えっ本当!? それ言われたらちょっと緊張してきた(笑)

Tom:せーので指差そう! せーの!

――オーイシさんが『チャンス!』。Tomさんが『Tears of a Genius』ですね(笑)。

2人:違った(爆笑)

オーイシ:良かった! 一致したら、1曲しか紹介できないですしね。2曲紹介できる幸せ!

Tom:物は言いようだなぁ。

――オーイシさんが『チャンス!』を選ばれた理由を教えてもらえますか?

オーイシ:「チャンス!」は、僕が三森すずこさんに提供した楽曲なんです。僕は以前「仮歌」というカバーアルバムをリリースさせていただいたのですが、それは僕が提供した楽曲をそのままセルフカバーした曲を収録しました。しかし今回は、僕のキーに合わせて、さらにバックの音楽も“OxTver”としてリアレンジするという新たな挑戦を行いました。好きにアレンジして好きに歌わせてもらった結果、「好きの塊」みたいな曲になりましたね。

――Tomさんが「チャンス!」の次に収録されている「Tears of a Genius」を選ばれた理由は?

Tom:僕も「チャンス!」が大好きなんですよ。最初から最後まで気持ちよく聞けるアレンジになっていて、オーイシさんの歌声も素晴らしい。その後に「Tears of a Genius」が入るという曲順も気に入っています。また、実はこの「Tears of a Genius」はバックの音楽はアレンジしているものの、オーイシさんの歌声はあえて昔録ったもののまま使用しているんです。それなのに、歌も新しく録ったかと思うくらいマッチしていて、音楽的完成度の高い1曲となりました。OxTの中ではかなり珍しい曲になったんじゃないかな。

――「チャンス!」や「鼓動エスカレーション」で、オーイシさんが「OxTver」として明確に歌い方に違いを出した部分はあるのでしょうか?

オーイシ:「チャンス!」も「鼓動エスカレーション」も、ただの“カバー”という名目だったら僕は歌えなかったと思います。アレンジを変えて、歌のキーも僕に合わせもらったので、いわゆる「オーダーメイドのスーツを作ってもらった」という感じ。また、「『ダイヤのA』のエンディングだったから歌えた」ということも、とても大きな要因になっています。僕らが『ダイヤのA』の主題歌を担当してもう7年ほどになるのですが、作品の雰囲気をわかってそれをトレースできたからこそ、「OxTが歌ったらこうなる」というのを楽曲ですぐに表現できた。『ダイヤのA』の力を借りて披露できた2曲になりました。

――おそらく、提供曲を制作する場合、歌い手のことを考えて作られていると思います。それを今回「OxTver」にするという制作過程で苦労した点などはあるのでしょうか?

Tom:僕もオーイシさんも、作家アーティストとして色が濃い方だと思うんです。その色濃い者たちが色濃く塗り直した曲なので「俺たちの色になるよね」という感じ(笑)。あまり苦労したことはなかったかもしれませんね。キーも演奏方法も僕たちに合わせた「OxTの曲になった」というのは、聴いていただけたらすぐにわかると思います。

オーイシ:……左に同じですね。

Tom:冒頭の流れと一緒! それに、あんまり「左に同じ」って使わないし(笑)!

オーイシ:今の座りの位置関係で(笑)。もちろん、内田真礼さん、三森すずこさんへのリスペクトも残しつつ、あれが本家としたら、僕たちの曲は“分家”みたいな感覚で作らせていただきました。このようなチャレンジは今までしてこなかったので、苦労したより「楽しかった」という思いの方が大きいです。

――具体的に違いを出した点などはあるのでしょうか?

オーイシ:「鼓動エスカレーション」の真礼さんは、どこを切り取ってもかわいくて、どこ聴いても真礼さんの笑顔が浮かぶじゃないですか。僕は、そのかわいさにはどうしても勝てない……(笑)。なので、男性ボーカルとしてできる“熱さ”や“エモさ”を歌に乗せようと意識しましたね。……僕もかわいくしようと思ったらできたんですけどね! 「チャンス!」の方も、男っぽくするということは意識しました。キーも下げて、バンドサウンドで固めた結果、すごくロックな1曲に仕上がりました。

――「『ダイヤのA』といえばOxT」というイメージが定着していると思います。改めて、この『ダイヤのA』の楽曲を制作する上で心掛けていることなどを聞かせてください。

オーイシ:仲間が集まって何かを成し遂げようとするポジティブなエネルギーを忘れないことですかね。「この曲を聴いたら元気が出る」「エネルギーがあふれる」という、プラスの力になることを意識して楽曲を作るようにしています。先日、愛媛の友人に「Go EXCEED!!を聴いて高速走っていたら、スピード出し過ぎた」って言われてめちゃくちゃ怒ったんですけど(笑)

Tom:(笑)

オーイシ:そこまで勢い付いちゃったらダメですけど、1日のエネルギーやエンジンになるというポジティブな要素がある楽曲にしようと心掛けています。

Tom:“血となり肉となる”楽曲ということを意識しています。言い方は色々あるとは思うのですが「人間くさい」というか……。世の中にはたくさん音楽があって、エレクトリックのような機械的な楽曲もあるじゃないですか。でも『ダイヤのA』に関しては、そうではない、人間の血が通っている感じを、メロディーを通して表現しようとしています。また、機械音を使わず、生楽器で演奏しているというのもこだわっているポイントです。

――いつも、作品のどこを見て楽曲を作っているのでしょうか?

オーイシ:これは、わからないんだよなぁ~。

Tom:「どこ」というよりも「全部」と言った方が良いのかも。ストーリー、キャラクター、雰囲気、全てですね。でも毎回思うのですが、台本や資料を読んで作品の雰囲気を理解したつもりでも、完成版を見ると「想像と違った!」となることが多々ありますね。それでも、自分の作った曲がまた違う意味でマッチしていて、違う形として成り立っていることがあります。なので、作品に“匂い”みたいなものがあって、それを感じ取っているのかもしれないですね。

オーイシ:匂い……あるよね~!

Tom:本当に思ってる(笑)!? オーイシさんはどうやって曲を作ってるの?

オーイシ:僕はいただいた資料を読んだ後、一寝かしさせることが多いかもしれません。その寝かせている間に、頭の中でメロディーや言葉になっていきます。僕的には、一番情報量を持っているのは、文字じゃなくて絵な気がしています。台本じゃなくて、キャラクターデザイン。作品の雰囲気・匂い・風みたいなものに一番繋がっている。絵ほど語り掛けてくるものはないと思います。

――10月開催の「P’s LIVE! -Boys Side-」への出演も決まっています。久しぶりのライブ出演だと思いますが、意気込みを聞かせてください。

オーイシ:配信ライブじゃないライブ、さらにOxTとしてのライブは久しぶりなので、10月をとても楽しみにしているんです。有人のライブは本当に久しぶりなので、どんな曲を披露しようか、パフォーマンスはどうしようかなど、今考え中ですが、僕自身もワクワクしていますね。

Tom:僕は、 MCの掛け合いが不安です……。どういうスピード感でやってたっけ? 演奏に関しては普段から色々触っているからわかりますけど、MCの掛け合いはしばらくやっていないので、心配です。リハビリが必要ですね。

オーイシ:それ用にスタジオ用意した方が良いかもしれませんね。

Tom:MC練習用のスタジオね(笑)! 5時間くらい確保しようか。

――今のインタビューのやり取りを見ていると、なんの心配もないように感じますが……

Tom:いやいや、僕たちの中ではこれは20点ですよ。

オーイシ:え!? 僕にとっては120点だと思ったのになあ。

Tom:どうしたの!? この自粛期間でハードルが下がってるんじゃない? 俺たちまだまだ上を目指せるよ(笑)!

――今、新型コロナウイルスで大変な状況の中、OxTの曲に元気づけられている人はたくさんいると思います。このような情勢の中、OxTのお2人が思う、音楽の可能性についてお聞かせいただけますか。

オーイシ:配信ライブは生ライブには勝てないと言われていますが、配信ライブだけにある楽しみ方は存在すると思っています。例えば、生のライブで僕が歌っている最中に「こいつ歌うめー!」って言う人いないじゃないですか。配信ライブだと、コメント欄に「口からCD音源!」「歌うますぎ!」みたいなコメントがズラッと並んで、すぐに感想を見ることができるんですよ。歌い手として、それってすごい力になるんですよね。面白いもので、僕らもですがお客さんも「配信ライブ玄人」っぽくなってきて(笑)、どういう風に楽しんだら良いかわかっているんですよね。この場面ではこういうチャット打ったら面白いとか、新しいコール&レスポンスができてきている気がします。この状況で改めて思ったのが「エンタメがなくなることは絶対にない」ということ。楽しもうと思う心がある限り、「退屈から救ってよ」という気持ちがある限り、エンタメはなくならないと思いました。

Tom:コメント面白いよね! 現代はSNSが発達していて、感想や気持ちを共有する場所がたくさんあるんですよ。僕は昔から、何かを見た時に「同じものを見た人は、どういう風に思っているのかな」と考えるようにしていて。でも現代って、音楽は日常に当たり前にありすぎて、ライトなものになってしまっている気がしていました。でも、コロナの影響で、音楽が持っていたパワーの形がまた復活している感じがします。「同じ曲を聴いて、誰かもパワーをもらっている」と共感して、強くなる。

オーイシ:俺が仕事で凹んだ時に、帰りの車で槇原敬之さんの「どんな時も」を大声で歌うのと似てるね。

Tom:そう! 音楽のすごさが改めて見直される時期なのだと思いました。

――ありがとうございます。最後に、改めてアルバム聴きどころと、ファンに向けてメッセージをお願いします。

オーイシ:初回限定盤にDVDが封入されるのですが、OxTがこの7年間で築き上げてきた軌跡みたいなものが詰まったベストアルバムのようなDVDに仕上がっています。これを見ると、OxTのすべてがわかってしまう! ぜひこちらもチェックしていただきたいです。

Tom:冒頭でも言った通り、このアルバムを聴くと、最新のOxTの音楽性がわかります。僕は音楽にも人柄・関係性が現れると思っているのですが、OxTの関係性も垣間見えるかもしれませんね。そういう意味でも、「今のOxTはこうだよ!」という要素を詰め込んだので、色々想像・妄想を広げて楽しんでいただけたら嬉しいです。

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(取材・文/米田果織)

リリース情報

■NEW ALBUM 「REUNION」
アーティスト:OxT (オーイシマサヨシ×Tom-H@ck)
発売日:2020年9月10日(木)

【初回限定盤(CD+DVD)】¥4,500+税 三方背スリーブケース仕様
【通常盤(CD ONLY)】¥3,000+税

【CD収録内容】
M1.Overture
M2.UNION
M3.鼓動エスカレーション(OxT ver.)
M4.チャンス!(OxT ver.)
M5.Tears of a Genius(Ballad ver)
M6.O vs T #2
M7.Number One(New Mix Ver.)
M8.Be the Best! Be the Blue!(Album ver.)
M9.HOME GROUND
M10.REUNION
M11.もっと君を知れば
M12.ゴールデンアフタースクール
M13.Everlasting Dream

【DVD収録内容】
OxTの日 2019 IN TOKYO
1.Go EXCEED!!
2.トークパート
3.Clattanoia
4.GO CRY GO
5.STRIDER’ HIGH
6.ゴールデンアフタースクール
7.UNION
8.O vs T
9.君じゃなきゃダメみたい 

特設サイト:https://oxt.ponycanyon.co.jp/

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