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【アニメ『時光代理人』GW企画】作品のテーマは“癒やし”。リ監督に今だからできる話を聞いてみた!

2022.05.09 <PASH! PLUS>

 2021年4月よりbilibili動画にて配信され、わずか4カ月で世界での総再生回数1.6億回を突破したオリジナルアニメーション『時光代理人 -LINK CLICK-』

 本記事では『PASH!』5月号に掲載された監督・脚本 リ・ハオリンさんへのインタビューの一部を特別に掲載します!

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監督・脚本 リ・ハオリンさんインタビュー

「重要なテーマのひとつとなっていたのが“癒やし”でした」

 中国アニメーション界で知名度が高いひとりとして、今熱い注目を集めるリ監督。アニメスタジオ「絵梦」の代表取締役も務めながら、2020年には『天官賜福』の監督も担いクリエイターとしても活躍している人物です。

 「中国語で“時間”を表す“時光”から、ふたりの名前を付けました」と語ってくれたリ監督に、制作時の裏話までとことん直撃! ファン必読のインタビューをお届けします。

 

トキとヒカルのふたりはセットで生まれました

――オリジナルアニメーションである『時光代理人 -LINK CLICK-』はどのように誕生したのでしょうか?

 これにはあるエピソードがあります。私が実家で昔の写真を眺めていた際に、「写真のなかにいる自分」と「写真を見ている今の自分」という、ふたつの時間軸があることに気づきました。その時間の差異が面白いなと感じ、写真をとおして過去と現在の違う時間軸の話を描いてみたらどうだろう?という発想から生まれたのが本作です。

――作品で描きたかったテーマは?

 写真とは嬉しかったり楽しかったりした時間だからこそ撮影されたものであり、すなわちそこに写っているのは癒やされた瞬間だと思います。そしてそうした写真を見ているときというのは、楽しかった過去に比べて今何かしらの後悔を抱えていたり、過去でああすればよかったと挽回したい気持ちがあったりして、そんな自分を癒やしたいと思いながら眺めていることが多いんです。それならもしも過去に戻れるチャンスがあったとして、その人は一体何をするのか? 写真を見て過去を振り返る人々の感情を描きたいなと考えました。

――メインキャラクターの誕生秘話についても教えてください。

 トキとヒカルの主人公ふたりは、セットで生まれました。本作は過去に戻って行動する物語ですが、タイムスリップもできるし過去も変えられるキャラクターを作ってしまうと、あまりにも大きな能力になってしまって物語が動かしにくかったんです。そこでふたりのキャラクターにそれぞれ能力を与えようと考え、彼らが誕生しました。

――具体的にトキはどんな人物として作られたのでしょう?

 トキは実際に過去へタイムスリップして行動することからも、能動的で、情熱のある人です。いざという場面ではしっかり行動しますし、依頼も強烈な正義感をもって遂行し、人々を助けようとします。どちらかというと良くも悪くも若者らしいところもあり、ダラッとした雰囲気も入れることでリアリティを持たせ、若者が共感しやすいキャラクターにしました。そういった彼の情熱や正義感と、若者らしさを同時に表現できるといいなと考えました。

――ではヒカルについては?

 トキに対して、ヒカルは写真が撮られた瞬間の観察者という形で、すべてを把握する立場にいます。そのためキャラクターとしては、冷静で慎重な性格になりました。また物語の後半でトキが両親の失踪後、暗い時期を過ごしていたことが明かされますが、ヒカルに出会ったことでそこから立ち直ります。だからヒカルの名前には、トキの人生に射した“光”という意味もあります。なおヒカルの年齢や血液型を明かしていないのは、今後の物語にも繋がってきますので、楽しみにしていてください!

オシャレな画作りにおけるふたりのキーパーソン

――オシャレな画面作りも魅力的な本作ですが、画作りの面ではどんなことにこだわられましたか?

 おっしゃるとおり、まず大前提にあったのが「オシャレで若者向けの画面を作りたい」ということでした。そのためには、オシャレな画作りに適したクリエイターを探さなければいけません。そこで今回キーパーソンとなったのが、INPLICKさんと美術監督の丹治 匠さんのお二方です。まずINPLICKさんのキャラクターデザインで、ある程度画面のデザインが決まりました。キャラデザインが決まったら美術も必要になりますので、もうひとりのキーパーソンである丹治さんにオファーしました。

 丹治さんは本当にスゴい方で、新海 誠監督作品に携わられていることからも分かるとおり、大変美しい画面が作れるうえに、絵本のようなスタイルも描かれる方です。丹治さんには、「よくあるメジャーアニメ的なものではなく、絵本のようなデザインの画面に合わせられる美術をお願いしたい」と相談しました。加えて色彩設計・のぼりはるこさんも、キャラクターと美術を統合させるうえで重要な役割を担ってくださっています。

――本作は主題歌や挿入歌、劇伴といった音楽も素晴らしいです。音楽面ではどんなことにこだわられましたか?

 この作品の重要なテーマのひとつ、それは“癒やし”でした。もしかするとサスペンスに見えているかもしれないのですが(笑)、物語を通じて視聴者の方々を癒やしたいと考えていたんです。そうなったときに頭に浮かんだのが、(『秒速5センチメートル』や『雲の向こう、約束の場所』などで新海監督作品に参加している)天門さんでした。天門さんは雰囲気が良くて、時に泣かせるような癒やしの音楽を作られる方です。

――確かに素晴らしかったです。また劇伴は癒やし系以外にも、今時でオシャレな曲が多かったのが印象的です。

 そうですね。“癒やし”というテーマに加え、やはりスタイリッシュで若者向けな作品作りを目指していたので、ポップジャズやローファイ・ヒップホップの音楽も入れたいなと考えていました。ただ天門さんご自身はあまりそういったスタイルを作られた経験がなく、その問題をクリアしようとやりとりしながら、天門さんご自身もチャレンジしてくださっています。多岐に渡るジャンルの曲を取り入れたことで、音楽もまた本作における大きな役割を果たしてくれたかなと思っています。

アニメーションには国境を越える力がある

――監督が特に思い入れのあるエピソードを挙げるならどこでしょう?

 第3~5話の地震の物語です。タイムスリップものの作品の多くが、「過去に戻っても、過去を改変してはいけない」という題材ですよね。それならあえて「過去に戻って過去を変えたとしても、未来は結局変わらない」という可能性はあるかな? という発想が、本作が生まれたきっかけのひとつでもありました。

 例えば、ある時点で大きな災害や事件が起こることで、それ以前の時間がどう変わったとしても、結局その災害や事件自体が変わらない限りはすべてリセットされてしまい、未来は変わらない――そういう物語を表現してみたいなと思ったんです。

 こうしてできた第3~5話のエピソードは、タイムスリップという題材に対する自分なりの発想や答え、可能性のひとつを示せたのではないかなと思っています。もちろんそれだけでなく、家族愛のエピソードでもありますので、そこも楽しんでいただければ嬉しいです。

――最後に日本のファンへ、メッセージをお願いします!

 『時光代理人 -LINK CLICK-』を全話ご覧いただき、誠にありがとうございました。第1期のラストにみなさん懸念を抱かれていると思いますが(笑)、第2期も絶賛制作中です! 必ずまたみなさんとお会いできればと思いますので、続きの物語もお待ちいただきながら、引き続き応援いただけましたら嬉しいです。

OP映像の制作秘話

 OPにはフィンガータットの動きを入れていますが、これはまずオシャレな映像作りという大テーマがあったのに加え、とある映画からインスピレーションを受けたという背景があります。それが2006年公開のアメリカのダンス映画『ステップ・アップ』です。作中で出てくるダンスがすごくオシャレで、それをアニメでやってみたいと考えていました。

 また、両手の親指と人差し指で四角を作り、カメラのフレームに見立てる仕草がありますよね。それがフィンガータットに思わせる動きで、写真のモチーフにも合うなと。OP映像にはいろんな図形が飛ぶ演出がよくあると思うのですが、フィンガータットでは図形を模倣する仕草も多く、平面的でオシャレなデザインにしやすい。そうした要素を組み合わせて、今のOP映像ができました。

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思い入れ深いエピソード

 エマの物語には、特に思い入れがあります。みなさん第1話は世界観を紹介する話で、エマはこの回だけの登場だろうと思われたのではないでしょうか? しかし結末に近づくと、第1話には裏の物語があったという楽しみを用意しました。またトキは過去に戻ってエマを救おうとしますが、1度救えたとしても2度、3度……と次のタイミングが来て結局は救えない。そのうえ彼女は連続殺人犯に殺されたのかと思いきや、実は人生に絶望し自殺を選んでいたことも分かります。そういった人間の死に対する無常さも盛り込みました。

 トキはこれまで過去に戻ることで、暗いなかにも小さな希望があることを知りました。例えば地震で母親が死んだとしても、それは最愛の息子を庇った結果です。そうして希望があることを他人に伝え、救いたいという気持ちを抱いたトキは、エマにもそれを実行しました。結局エマは救われかけたにもかかわらず亡くなってしまいましたが、こうしたトキの性格やキャラクター像も描きたかった部分です。エマは今時の若者像として描いていますが、彼女のように人生に行き詰まったとしても、決して絶望しないでほしいというメッセージも込めています。

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Blu-ray&DVD vol.1&vol.2 発売中! Vol.3は5月25日発売予定

 アニメ『時光代理人 -LINK CLICK-』のBlu-ray&DVDが好評発売中です。完全生産限定版には、vol.1~3のいずれにも三方背BOX、特製ブックレット、特典映像が付属します。Vol.3は5月25日に発売予定です。

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アニメ『時光代理人 -LINK CLICK-』公式サイト
アニメ『時光代理人 -LINK CLICK-』公式Twitter
(C)bilibili/BeDream

 


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