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【アニメ『時光代理人』GW企画】黒﨑静佳プロデューサーに豊永さん&櫻井さんのキャスティングの決め手を聞いてみた

2022.05.02 <PASH! PLUS>

 2021年4月よりbilibili動画にて配信され、わずか4カ月で世界での総再生回数1.6億回を突破したオリジナルアニメーション『時光代理人 -LINK CLICK-』

 本記事では『PASH!』3月号に掲載されたアニプレックスプロデューサー・黒﨑静佳さんへのインタビューの一部を特別に掲載します!
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アニプレックスプロデューサー・黒﨑静佳さんインタビュー

「“吹き替えっぽさ”を感じさせない日本語になるよう、こだわりました」

 これまでも中国発人気アニメを日本に送り出してきた黒﨑プロデューサーを直撃。日本語吹替版を作りたい! と思うほどに惹かれた作品の魅力から、気になる翻訳作業に至るまで、裏話を存分に語っていただきました!

日本にはないアプローチに斬新な面白さを感じます

――本作の日本語吹替版制作がどのように始動したのか教えてください。

 ソニー・ミュージックのグループ内でアジアドラマなどを手掛けるソニー・ミュージックソリューションズと、これまでも『天官賜福』をはじめとする中国アニメを動かしてきて、「また何かやれるといいですね」と話していました。

 そんななか、一昨年の秋に行われたbilibili 動画の新作ラインナップ発表会で、本作のPVを観たんです。率直に斬新でとても面白そうなタイトルだと感じ、ぜひこの作品の日本語吹替版を制作しようと動き始めました。

――昨今注目を集める中国発アニメーションの魅力や強みとは何でしょう?

 個人的には中国のアニメを売っているという感覚は特になく、たまたま面白かったのが外国作品だったという感じなのですが、アニメの仕事に関わる人間の立場からすると、日本アニメとはまったく異なるアプローチで作られているところに新鮮な面白さを感じます。

 絵の観点でいえば、3Dと2Dの馴染み具合のレベルが非常に高いです。また物語の観点では、定石にはまらないシナリオ展開が面白いですね。日本のアニメの場合、約30分というフォーマットがまずあって、大体ここで展開させてBパートからそれを転がしていく……という、何となく決まったお作法があります。

 でも中国アニメはそういったストーリーテリングをまったく意識せず、面白いからこれでいいじゃん! という作り方なんですよね。本作の第1話がまさにいい例だと思うのですが、まさかラストでエマが死んでしまうとは思わないじゃないですか?

――驚きの展開でした。それに物語の始まりもスピーディーな印象です。

 助走が短いですよね。今はTVだけでなく配信アプリでもアニメを観る時代なので、日本のアニメもテンポ感を重視していて、ガッと集中して観ることができ体感時間も短い作りになっています。本作もその点で、今のユーザーにマッチしているなと思います。

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トキとヒカルに欲しかった等身大で自然なお芝居

――改めて黒﨑さんが思う本作の魅力を聞かせてください。

 一言で、とにかく面白いです!! これはオリジナルアニメの醍醐味でもありますが、毎話まったく予想が付かず次にどんな話が来るかも分からない展開に強く惹かれました。我々がアニメの仕事をしているからかもしれませんが、「こう来たらこの展開になるよね?」と大抵うっすら分かるものなんですよ。

 でも本作はそういう予測が全然できないところが面白いです。また絵の面では、キャラクターデザインも背景もとにかくオシャレなところが魅力的です。

――それではトキの魅力とは?

 見た目と内面のギャップが可愛いですよね。すごく今時な見た目と喋り方で、ゲームが趣味で、陽キャっぽくて、先のことはあまり考えていなそうな子かと思いきや、実は心が弱く繊細な部分を持っています。

 そしてその弱さを、ヒカルの前では見せてしまうところにふたりの信頼関係が見えて、誰かに心を開けるトキは素敵だなと感じます。トキみたいな子が過去を変えてはいけないと言われても、いやいや変えるでしょ! と思いますよね(笑)。

――次にヒカルの魅力は?

 ヒカルも二面性がある人物です。見た目はクールでザ・冷酷キャラな印象を受けますが、第1話ではボソッと冗談を言ったり、第2話ではトキを放ってひとりでラーメンを食べていたりと、トキの前ではお茶目な一面を見せるところが可愛いです。また物語が進んでいくと見せる、トキに対する包容力も素敵です。

――ヒカルは年齢をはじめ、ミステリアスな部分が多い人物ですよね。

 トキの性格や好きなものってすぐ挙げられると思うのですが、ヒカルについては本当に分からないことだらけなんですよね。日本のアニメでミステリアスなキャラといえばあまり喋らないくらいだと思いますが、ヒカルに関しては正真正銘パーソナリティが謎という。それも珍しくて新鮮ですし、物語の謎のひとつとして観られてしまうところもまた面白いです。ただ、トキとヒカルだったら女性受けがいいのはトキでしょうね(笑)。ヒカルは遠くから見ていたいタイプじゃないでしょうか。

――トキ役に豊永さん、ヒカル役に櫻井さんをキャスティングされた決め手についても聞かせてください。

 トキもヒカルも二面性を演じられ、かつ現代劇ですので等身大の年齢の男の子としてナチュラルなお芝居ができる方を考えていました。特にトキは当初から劇団系の方にお願いしたいと思っていて、豊永さんにオファーさせていただくことに。

 それならヒカルは声質が違う方で、トキが弱ったときに厳しくも優しく導いてくれる方がいいということで、櫻井さんを指名させていただきました。なおリン役については、可愛いけれど姉御肌でお母さんのような面も見せられる方ということで、古賀さんにお願いしています。

――収録現場でのエピソードは?

 収録は基本的に中国語の原音を聴きながら、同じ場所に声を入れて進めています。また日本のアニメでは息を入れるようなところや、日本的にはこっちのアプローチのほうがいいかもといったところに関しては、役者さんたちからも提案いただき日本語版ならではのお芝居を追加していただいています。

 豊永さんは「洋画の吹き替えと普通のアニメの中間をやっているような気分です」とおっしゃっていました。洋画の吹き替えはお芝居のアプローチまで、オリジナル版ときっちり合わせると聞きます。あとは豊永さんと櫻井さんは意外にもこれまでバディ役で組むことがなかったようなのですが、豊永さんは櫻井さんのお芝居が大好きで信奉されているとのことで、現場でも崇めていらっしゃいました(笑)。

現代劇だからこそあった翻訳作業の難しさ

――翻訳作業のお話も伺いたいです。

 日本でやっている普通のアニメとして先入観なく観ていただきたいと思っていたので、できる限り吹き替えっぽさを感じさせない言葉遣いになるようこだわっています。

 ただ素人発言のようですが、翻訳って本当に難しいんですね……(笑)。本作は現代劇のため自然な口語体にする必要があり、かつ中国語のネットスラングもたくさん出てくるので、それらを日本語の近しい言葉にするのがものすごく大変でした。

――主題歌はどちらも日本オリジナルカバー楽曲になっていますね。

 OPの印象的なタットダンスしかり、毎話不穏なイントロから入るEDしかり、楽曲はちょっと変えられないなと。そんなときにアジアで活躍できるアーティストを育てているソニー・ミュージック側から一緒にやりましょうとお声掛けいただき、日本で活動するアーティストにカバーしていただくことになりました。

 日本語版にすることで歌詞の意味も伝わりやすくなって、また違った印象を与えられたのではないでしょうか。楽曲でいうと、決めのシーンでしか使わない日本アニメと違って、本作は挿入歌も多いですよね。歌詞がキャラクターの心情やシチュエーションを代弁し、物語をうまく補強してくれています。挿入歌はそのまま使われていますので、ぜひ本編でお楽しみください。

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日本語吹替版制作の裏話

 実は中国語版では、田舎のシーンはほとんど方言。しかもほぼ毎話異なる方言が使われている上に、第3~5話は学校だと標準語で家に帰ると方言で喋っているんです。

 私自身は少ししか中国語が分からないのですが、全然知らない言葉が聴こえてきた! と思ったら方言で驚きました。日本語で方言というと大きく分けて関西弁か東北弁かという感じで、中国語版のように毎話違うものを使うのは難しく、少し訛らせたり古い言葉遣いにしたりすることで田舎らしさを表現しています。

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Blu-ray&DVD vol.1&vol.2 発売中! Vol.3は5月25日発売予定

 アニメ『時光代理人 -LINK CLICK-』のBlu-ray&DVDが好評発売中です。完全生産限定版には、vol.1~3のいずれにも三方背BOX、特製ブックレット、特典映像が付属します。Vol.3は5月25日に発売予定です。

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アニメ『時光代理人 -LINK CLICK-』公式サイト
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(C)bilibili/BeDream

 

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