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メイド喫茶で働く生徒会長に萌えた『会長はメイド様!』、池袋の群像劇『デュラララ!!』など平成のアニメを振り返る『平成アニメ備忘録』第22回

2020.06.15 <PASH! PLUS>


PASH! PLUS

 平成30年分のTVアニメを振り返る『平成アニメ備忘録』シリーズ! 今回は平成22年(2010年)のアニメを振り返ります。

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 この年は、トランペットを吹くために軍に入隊した少女を描いた『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』、刀を使わない剣士と12本の変体刀を持つ者たちの闘いを描いた『刀語』、メイド喫茶で働く生徒会長がめちゃくちゃ可愛かった『会長はメイド様!』、「颯爽登場!銀河美少年! タウバーン!」は今でも忘れらない『STAR DRIVER 輝きのタクト』が放送。

 また、嵐山歩鳥のゆる~い日常に癒された『それでも町は廻っている』、木下秀吉の性別は謎なままがいいよね『バカとテストと召喚獣』、幕末を駆け抜ける男たちの姿にときめき、涙した『薄桜鬼』、「ひもひもひもひも」……星の歌『負け犬の遠吠え』が癖になった『荒川アンダーザブリッジ』などが放送されました。

 今回は、数ある22年に放送されたTVアニメのうち3作をご紹介します!

池袋を舞台に描かれた非日常。個性豊かな人物たちの群像劇『デュラララ!!』

 『デュラララ!!』は、成田良悟による同名ライトノベルを原作とするアクション/サスペンス作品。2010年に第1期が放送、2015年~2016年に第2期が放送されました。

 物語の舞台は東京・池袋。都会の非日常に憧れる少年・竜ヶ峰帝人は、幼馴染の紀田正臣とともに“来良学園”へ入学するために上京する。上京初日、帝人は都市伝説と噂されていた“首なしライダー”を目撃したことをきっかけに、憧れていた非日常へと足を踏み入れることになります。

 帝人の前には“首なしライダー”と呼ばれる生きた都市伝説“セルティ・ストゥルルソン”や来良学園のクラスメイトであり浮世離れした美少女“園原杏里”、池袋に住む闇医者でセルティと同姓している“岸谷新羅”、新宿を拠点とする情報や“折原臨也”、「池袋最強の男」「絶対に喧嘩を売ってはいけない人間」と称される“平和島静雄”など、高校生や生きた都市伝説、闇医者、カラーギャング、ヤクザ、情報屋、殺人鬼、寿司屋など個性豊か(という言葉で表現には収まらないほど個性に溢れている)な人物が登場。

 また、池袋を拠点とするカラーギャング“ダラーズ”や同じく池袋を拠点とするカラーギャング“黄巾賊”、妖刀“罪歌”とそれに支配された人間の集団、池袋に根を下ろす“粟楠会”など、チーム(もしくは活動拠点)が存在し、それぞれがそれぞれのチームを監視、牽制、干渉しあっています。物語が進むにつれて、各チームのボスの存在が明らかになるのですがこれまたすごいよね……あんまり書くとネタバレになりそうなのであれだけど、あれだよね……。

 彼らが織りなす物語は、時に非日常、時に化け物じみ、時に恋もする。本作は、池袋を中心に蔓延る“噂(もしくは闇)”に焦点を当てつつも、噂の当人たちが普通に生き、普通に恋をし、普通に笑う姿も描かれている群像劇。

 本作を見た後は1度は池袋に行きたくなるはず。『デュラララ』放送当時、高校生に進学した筆者は、用もないのに池袋に繰り出してはサンシャイン60通りやホテルホワイトシティ前、六ツ又歩道橋、カフェ・ベローチェ 東池袋一丁目店前をウロウロしていました。

理不尽な死からの卒業を。名シーンや名曲揃いの『Angel Beats!』

 『Angel Beats!』は、P.A.WORKS制作によるオリジナルTVアニメ。原作は『AIR』や『CLANNAD』など“Keyアニメ”で知られる麻枝 准さん、キャラクター原案は『リトルバスターズ!』などのNa-Gaさんが担当しています。この年、この作品を見て泣きに泣いた方は多いはず。

 本作は、死後の世界の学園・天上学園を舞台に綴られる青春作品。天上学園には、現世で理不尽な死を経験し青春時代をまともに送れずに死んだ者が在籍しており、そうした小野たちは学園に存在するエキストラの教師や生徒(NPC)と学園生活を送ることに。学園祭や部活、普遍的だけど現世で経験することができなかった“夢のような学園生活”を送ることで、青春時代への未練をなくすと消滅(成仏)し、転生します。

 しかし、学園内には少女・ゆりを中心に転生を拒む生徒が存在。彼女たちは“死んだ世界戦線(SSS)と名乗り、理不尽な人生を強いた神(あるいはそれに類する存在)へ復讐するため、学園へ反抗しながらも転生を拒み続けていました。SSSは長年ため込んだ武器を使用し、学園の秩序を守る生徒会長・かなで(天使)と抗争を繰り広げるのですが、ここは死んだ世界。銃弾やナイフなどで傷つき、傷つけられても決して”死ぬことはない“のでした。

 そんな日常の中、記憶を亡くした状態で現れた少年・音無。ゆりに勧誘されてSSSのメンバーとなりますが、活動を続けるうちに天使が“SSSの活動を妨害したい”のではなく“死後の世界から卒業すること”を望んでいることを知ります。やがて、自身が死ぬ直前の記憶を取り戻した音無は、かなでと共謀しSSSメンバーを“この世界から卒業”させるために動き出します。

 本作は、“誰もが憧れる学園生活”や“学園内での刺激的なバトル”といった「こんな人生経験してみたかった」と思える場面が描かれています。なかでも話題になったのはバンドシーン。本作には“Girls Dead Monster(ガールズ・デッド・モンスター)”なるガールズバンドが存在しており、劇中では『Crow Song』や『Alchemy』などの楽曲を披露。

 ヴォーカルをmarinaさん、LiSAさんが担当していたことでも話題になりました。筆者はLiSAさんが歌う『一番の宝物 〜Yui final ver.〜』にめちゃめちゃ泣かされました。作中でのシチュエーション、アコースティックに映える力強い歌声、1人の女の子の物語を紡ぐような歌詞……全てがいい。『Angel Beats!』は物語はもちろん、楽曲のすべてが良かったなぁ。

 個人的には、物語の中盤から登場した生徒会副会長・直井文人がものすごく記憶に残っています。キャラクター性はもちろんのこと、声優が緒方恵美さんであったことに良い意味で驚きました。最初は自分を「神」と名乗る傲慢な男の子だったけれど、徐々に音無を異常にえこひいきする可愛らしい存在に。いいキャラだったなぁ。

こんなファミレスでバイトしたかった!ゆるっとバイト物語『WORKING!!』

 『WORKING!!』は、高津カリノの同名漫画を原作とするアルバイト&コメディ作品。2010年に第1期が放送され、2011年に第気、2015年には第3期が放送されました。

 本作は、北海道にあるファミリーレストラン“ワグナリア”で働く人々を描いたコメディ作品。小さいものや可愛いものが好きな“ミニコン”の小鳥遊宗太や小中学生に間違えられるほどに小柄な種島ぽぷら、普段は優しいが男性は本能的に殴り飛ばしてしまう恐怖症を患う(?)伊波まひるといった高校生組。

 おっとり大和撫子だけど帯刀しているフロアチーフ・轟 八千代、ほとんど仕事をしない風変わりな店長・白藤杏子、ヤンキーっぽい見た目に反して面倒見の良いキッチン担当・佐藤 潤、秘密主義で噂やゴシップが大好きなキッチン担当・相馬博臣といった店内組が登場します。物語の中盤になると、ワグナリアの屋根裏に住み着いているミステリアスガール(?)山田 葵が加わり、より一層賑やかに。

 余談ですが『WORKING!!』で“「小鳥遊”を“たかなし”と読みことを知りました!」って方けっこう多いのではないでしょうか。筆者の友人はぽぷらに影響されてずっと“かたなし”って読んでいましたが。

 ファミリーレストラン“ワグナリア”が舞台の『WORKING!!』。ファミレスで働く彼らの日常やちょっとしたトラブルなどがゆる~いコメディータッチで描かれており、視聴し終わった後にものすごくほっこりした思い出。この当時、『Angel Beats!』や『デュラララ!!』など劇的な展開が多いアニメを見ていたので、『WORKING!!』や『それでも町は廻っている』などの日常系アニメにほんと癒された。

 そして、『WORKING!!』の職場環境に憧れて(個性豊かな登場人物、優しい先輩、可愛い同僚……)ファミレスでバイトをしようとしたものの、めちゃくちゃ忙しい&店長がめちゃくちゃ厳しくてすぐ辞めました。現実は甘くないんだなぁ。

平成22年の日本はどうだった?

 ちなみに平成22年の日本では、建設中の東京スカイツリーが東京タワーを抜いて日本一高い建設物になったほか、小惑星探査機“はやぶさ”が地球に帰還しました。また、ジャーナリスト・池上 彰さんの「いい質問ですねぇ」、モンテローザ社長・大神輝博さんの「女子会」、桃屋の「食べるラー油」などが流行語に。女子会って意外と最近の言葉なんですねぇ……って思ったけれどそれでも約10年前の出来事であることに恐怖を感じました。

 西野カナの『会いたくて 会いたくて』、AKB48の『ヘビーローテーション』、植村花菜の『トイレの神様』、ももいろクローバーの『行くぜっ!怪盗少女』もこの年の楽曲。2010年にもなると「結構最近だと思ってたけれど意外とそうでもないな」感がすごいですね。

 次回の『平成アニメ備忘録』をお楽しみに!

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