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『えいがのおそ松さん』中村悠一さん、神谷浩史さん、小野大輔さんインタビュー&藤田監督と脚本・松原 秀氏の対談をお届け!

2019.04.06 <PASH! PLUS>


PASH! PLUS

 現在発売中のPASH!4月号では劇場版『えいがのおそ松さん』の特集を掲載しています。その特集内に掲載されている、中村悠一さん(カラ松役)、神谷浩史さん(チョロ松役)、小野大輔さん(十四松役)のインタビューと藤田監督&脚本・松原 秀氏の対談の一部をご紹介!

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藤田監督&脚本・松原秀氏 対談

──劇場版『えいがのおそ松さん』が動き出したのは、いつ頃でしたか?

松原 確か2期のシナリオを書き終わってすぐだったような気がします。

藤田 おそらくそうでしたね。

松原 最初は、監督のところにお話がいったと思うんですけど、僕のところに話が来たときにはもう「『おそ松さん』の劇場版をやりますけど、どうですか?」みたいな感じで(笑)。

藤田 あははは(笑)。そこで「やらない」っていう選択肢はある?(笑)

松原 まあ、ないですよね(笑)。なので「やりましょう!」と返事しました。

──今回は完全オリジナルストーリーで18歳の6つ子が登場しますけど、彼らが生まれた経緯は?

松原 初めに藤田さんから「19歳の6つ子が出てきたら面白そう」とアイディアが出たのがきっかけでしたね。

藤田 個人的に18歳とか19歳とか、心が揺れ動いている時期を描いてみたいなという気持ちがありまして。そこはきっとお客さんも観たいところなのかなと感じつつも、20分間というTVアニメの尺で描くのは厳しそうだったので、今回のような長尺な劇場版だといけるのでは?と思ったんですよ。

松原 だから両取りできそうということで即決でした。富永プロデューサーも「面白そう!」って喜んでいましたよ。スタートはそれで、その後、話していくうちに19歳ではなく高校時代の18歳の6つ子を出すことが決まり、物語を作っていきまして…。

藤田 最初に話の筋ありきというよりは、とりあえずパーツ(物語に入れたい要素)を集めて、それがどれだけ入るかという感じで筋が決まっていったみたいなところがありましたね。

──18歳の6つ子が出てくるという情報だけを聞くと「6つ子の過去編が描かれるのかな?」と想像する人もいるかと思いますが、18歳の6つ子と現在の6つ子が出会うというのは早い段階から決まっていたのでしょうか?

松原 いえ、そこは苦労しましたね。

藤田 でも18歳の6つ子が中心の過去編を描くのはないなというのが、当初からうっすらありました。

松原 そうなんですよ。なんかピンと来なかったんです。で、『おそ松さん』ならではの感じで何かできないかなと考え、現在の6つ子が過去に行くという内容になりました。少し話が戻ってしまいますが、今回のストーリーを考える前にみんなで「やっておいたほうがいいこと」と「やりたいこと」をダーッと書き出していったんですよ。

 もちろんやっておいたほうがいいことの一番上には「18歳」があって。初めて『おそ松さん』を観るお客さんもいると思うから、「改めて6つ子のキャラクターをちゃんと見せる」とかもあったような気がします。そして、やりたいことのほうでは、こんなシーンが観たい、こんなセリフを出したい、こんなボケを入れたい…と、もう自由にたくさん書いていきましたね(笑)。で、これとこれは繋がるから一緒に入れられるとか、いろいろ試していったんです。

──なるほど! ちなみに、藤田監督は18歳の6つ子以外にも何かやりたいことはありましたか?

藤田 いやぁ〜、やりたいことは放っておいても出てきてしまうので(笑)、とにかくやっておいたほうがいいことを優先して考えていきました。初見の人にも楽しめるような映画にしなければいけないなとか、『おそ松さん』ファンのみなさんが観たいと思っているようなものも入れなければなとか。だから考えれば考えるほど、やりたいことを入れる隙間がなくなってしまう(笑)。もちろん、やらないといけないことをまとめる過程で、やりたいことも勝手にいくつか出ましたけどね。

──最後に、これから『えいがのおそ松さん』を観る読者に向けてメッセージをお願いします。

藤田 何回観ても面白い作品になっているはずですし、観ていただいたら分かると思うんですけど、1回視聴しただけでは作中に散りばめられたネタを到底拾いきれません。なので、1回目はぜひちゃんとストーリーを観てほしい。そして物語の全容を知り、2回目以降劇場に足を運んでいただく方は、ゆっくり自分の推しキャラクターなりなんなりを観ていただければと。

松原 僕は関係者や知り合いとかで『おそ松さん』を好きな人がけっこう周りにいてくれるんですけど、「劇場版観たいけど、どんなことするの?」って怖がっている人が何人かいて…。

藤田 えっ!? そんな信用されてないの?(笑)

松原 全然信用されていなかったです(笑)。これまでにTVシリーズでけっこうな本数をやってきたんですけどね。もちろん、劇場版ならではの新キャラクターが登場したり、これまでにない新しい要素はありますけど、僕は今までの『おそ松さん』とガッツリ変えたつもりはありません。だから「怖がらなくて大丈夫だよ」と声を大にして言いたい!(笑)

藤田 正直パッと見、ビジュアルのインパクトが強いだけだよね(笑)。

松原 そうです! なのでぜひ、いつもと変わらず気軽に観にきてください。

中村悠一さん(カラ松役)

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──今作の台本を読んだときの感想をお聞かせください。

 18歳の6つ子が出てくること自体は面白い試みだなと思いましたけど、最初、彼らをどんなふうに出すのか分からなくて。今の6つ子(20代)を出さずに18歳の6つ子ベースで話が進んでいって今に至る、みたいな展開にするのかなとかいろいろ想像したんですよ。だけど、まさか今の6つ子と18歳の6つ子が出会うとは思わず…いやいや、待てと(笑)。

 劇場作品って、ゲストキャラクターに頑張ってもらうことが多いじゃないですか。だから今回もそのパターンで来いよ!って思ったんです(笑)。まあ、ゲストキャラクターに支配されすぎてしまっても、それはそれで『おそ松さん』らしさを損ねてしまう可能性がありますし、今回の形でよかったと思いました。

──18歳のカラ松を初めて見た際は、どのような印象を抱きましたか?

 特に奇をてらったような設定ではなかったので、あっさり受け入れられました。18歳のカラ松は気が弱く、人の顔色を気にしたり意見が言えなかったりするんですけど、現在のカラ松もそういう部分は見え隠れしていましたし。詳しくは言えませんが、今回の映画は18歳のカラ松がひとつドラマを起こすきっかけになっていて。彼がこういうキャラクターだからこういうお話になったのかなとか、紐づくところがあったんですよ。だからこそ、個人的には演じやすくも感じました。

──そのほか、ネタバレしない程度に今作の見どころを教えてください。

 今回劇場版だからなのか、映画ギャグに走っているシーンがありまして。「絶対ここは要らなかったでしょ!?」って思う場面もあったんですけど(笑)、個人的にはそこが面白くて好きです。今回の映画は、相変わらずTVシリーズのように何でもない話のようにみせて実はしっかりとお話としては落としているんですよ。そのうえ、明確に「こういうお話でした」と答えを提示せず、受け手に委ねているところもすごく多い。

 ギャグで畳み掛けるようにラストまで進んでいくんですけど、最後の最後で観ている方に委ねて終わるので、なかなか挑戦的だなと思いました。僕は最後まで台本を読んだとき、実は正直モヤモヤしたんです。でも他の演者さんのなかには「いい終わり方だったよ」という人もいて。アフレコに参加したメンバーのなかでも価値観にばらつきがあったので、そういう〝人によって評価が変わってくるところ〟もまた面白いのかなと感じました。

──最後に、読者にメッセージをお願いします。
 
 これまで『おそ松さん』では温かい話、完全にギャグな話、意味が分からない話…などさまざまなエピソードをやってきたので、どのようなお話が好きなのかは人によって異なるとは思いますが、『おそ松さん』を好きでいてくれる方々にはすごく満足していただける内容になっているはずです。今まで登場したキャラクターや懐かしいものも出てきますし、僕個人、これまでやってきたものの集大成だなという感覚があるんですよ。だからこそ、一度ここで総括として楽しんでもらえたらと。引き続き応援よろしくお願いします。

神谷浩史さん(チョロ松役)

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──劇場アニメ化のお話を聞いたときの率直な感想を教えてください。

 「嘘でしょ?」と思いましたね。最初はどんなふうに劇場版にするのかまったく想像がつかなかったし、劇場作品ならば少なくとも60分以上、できれば90分くらいはやりたいけど、『おそ松さん』の話を90分以上観せられて、はたして面白いのかどうか正直分からなくて(笑)。

 TVアニメは自分のタイミングで観られるから、より面白さを感じられると思うんですけど、劇場というその作品を観るためにしか存在しない空間で観るものが『おそ松さん』のみというのは拷問なのでは…?(笑)。と心配だったんです。でも、TVシリーズに続き劇場版もやらせていただけるということで、ありがたいなとも思いました。

──そんななか、実際に台本を読まれていかがでしたか?

 面白かったですし、ホッとしました。「こぼれ話集」みたいなものを最初から最後まで延々とやられたらしんどいですし(笑)。劇場作品って、劇場版ならではのオリジナルキャラクターが大活躍する話とかが想像しやすいと思うんですけど、『えいがのおそ松さん』はそうではなく、あくまで6つ子がメイン。もちろんおなじみのサブキャラクターたちもちゃんと出ているけど、出番は少ないです。だから6つ子だけでちゃんと話ができるんだなと思いましたし、本当に『おそ松さん』らしいストーリーだという印象を抱きました。

──6つ子の高校時代が描かれることに対しては、どう思われましたか?

 面白い試みですよね。『おそ松くん』だった頃からどんな高校生活を経て今の『おそ松さん』になったのかという、彼らの成長過程も明らかになるんですけど…ただ、『おそ松さん』というフィルターを通しての成長過程なので、もう何でもアリじゃないですか(笑)。だから正直、取り立ててそこに意味は無いんじゃないかなと思うんです。だってどうせまた頭を強く打ったりしたら、違う話になるんでしょ?(笑)。

 例えばTVアニメのほうで「ダヨーン族」(1期23話)の話がありましたけど、あれってダヨーン族の話だから登場キャラクターたちがああいう性格で、ああいう役回りをしていたと思うんですよ。そして今回もそれと同じで、高校生の役割を6つ子が担ったらこういうお話しになっただけなのかなと。だから間違った楽しみ方なのは重々承知していますが、今回は「『おそ松くん』から『おそ松さん』になるまでにこういうこともあったんだろうな〜」くらいな軽い感じで観ていただくのが一番良い気がします。

──最後に読者にメッセージをお願いします。

  『おそ松さん』が好きな人はもちろん、『おそ松さん』を知らない人も、何も考えずに楽しい時間を過ごしたいなと思ったら、ぜひ劇場に観に来てください。みなさんに楽しい時間を提供できる絶対の自信があります。やっぱり劇場版って特別な空間だと思うので、そこで観せられる映像ってとても期待しちゃうんですよ。僕は劇場で上映される作品の特別感っていうのは、作画のクオリティだけではなく言葉にできないスケール感にもあると思っていて。

 それは感覚の問題だから「これがスケール感」だと明確に伝えづらいんですけど、きっと『えいがのおそ松さん』はそれが感じられる内容になっているはずです。〝えいがの〟と付いている今回のタイトルに偽りのない作品に仕上がっていると思いますよ。

小野大輔さん(十四松役)

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──TVアニメ『おそ松さん』が劇場版になって帰ってきました。

 TVアニメを2期にわたってやらせていただきましたけど、そのなかで毎週『おそ松さん』の現場に行けるということが本当に楽しかったんですよ。やっぱり十四松が大好きという想いがありますし、『おそ松さん』の現場はずっと笑いが絶えなくて。『おそ松さん』という作品に関われたことで、とても充実した日々を送っていたんです。

 そして今回、劇場アニメになるというお話を最初に聞いたときは、シンプルに「また十四松を演じていいんだ!」と喜びました。2期にわたって『おそ松さん』をやり切ったとき、十四松を演じるのはこれで最後になるかも知れないなという気持ちもありましたから。

──では今回の劇場版の収録前も、楽しみでワクワクでしたか?

 もちろん再び十四松を演じられる嬉しさはありましたが、今回は正直大変そうだなという想いのほうが強かったですね。尺は108分あって、台本は2冊、アフレコは2日+αかかりそうと言われた瞬間、少し気が重かったです(笑)。今作では現在の6つ子に加えて、18歳のときも演じるから、テストも合わせると同じシーンを4回まわさないといけなくて。アフレコが始まる前、他のキャストのみんなもそのことに気づいていたし「(1日目の目標とするところまで)絶対終わらないよね」って話していましたよ(笑)。

 実際、アフレコ当日はみんな満身創痍でした。よく現場を見ていて、空気を作ってくれる神谷さんですら後半あまり喋らなくなりましたからね。ずっと録り続けていたら、そりゃみんな疲れてしまって口も回らなくなりますよ(笑)。でもその分、全ての力をマイクに乗せていたのかなと。

──ちなみに18歳の十四松に対して、最初どのような印象を抱きましたか?

 一番腑に落ちましたね。十四松は、18歳と現在の大人バージョンとを比べたときに一番雰囲気が異なるというか、現在とまったく違うベクトルになっていると思うんですけど、僕は十四松の〝不良設定〟をすんなり受け入れられました。

 昔はワルだったからこそ、今のような無邪気なキャラクターになったんだろうなと思ったんです。逆に、現在の十四松と昔の十四松が地続きになっていて、若い頃から今の面影があったら、僕はガッカリしたと思うし、不自然だなと感じたはず。いろいろなことを想って自分を変容させていった結果、今の十四松に行き着いたと思いますし。だから今回、思いっきり振り切っていて良かったです。

──では、18歳の6つ子のなかで一番仲良くなれそうなのは?

 十四松!! 理由は好きだから(笑)。十四松と一緒にいたらイヤでも喧嘩しそうですよね。僕は学生の頃、人と喧嘩したことが全然なかったんですけど、喧嘩することもまた青春かなと思うので、青春を取り戻すためにもぜひ十四松と喧嘩したいです。

──最後に、ネタバレしない程度に今作の注目ポイントを教えてください。

 現在のチョロ松が18歳のチョロ松にツッコむ場面がありまして、そこは最高に面白くて一番好きなシーンなのでぜひ注目してみてほしいですね。『えいがのおそ松さん』は、最初から最後まで一貫して〝いろいろな意味でニコニコと笑える作品〟になっています。僕がTVシリーズのときに感じていた、『おそ松さん』に関わっていたらずっと幸せだな、ずっとニコニコしていられるなっていう想いを、みなさまにも感じていただければ嬉しいです。劇場でお会いしましょう!

(※PASH!2019年4月号より抜粋)

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PASH! 2019年 04 月号 [雑誌]

DATA
■劇場版『えいがのおそ松さん』

公式サイト:https://osomatsusan-movie.com
公式Twitter:@OSOMATSU_MOVIE

ROAD SHOW:2019年3月15日全国ロードショー

STAFF:
原作=『おそ松くん』 赤塚不二夫
監督=藤田陽一Br 脚本=松原 秀
キャラクターデザイン=浅野直之
アニメーション制作=studioぴえろ

CAST:
おそ松=櫻井孝宏
カラ松=中村悠一
チョロ松=神谷浩史
一松=福山 潤
十四松=小野大輔
トド松=入野自由
トト子=遠藤 綾
イヤミ=鈴村健一
チビ太=國立 幸
デカパン=上田燿司
ダヨーン=飛田展男
ハタ坊=斎藤桃子
ほか

配給:松竹

【特典付前売券(ムビチケカード)第2弾】
発売日:11月25日
特典:缶バッジ(全6種)
販売場所:全国の上映予定劇場
価格:1,500円(税込)※缶バッジの種類は選べない。付属する缶バッジはいずれか一種となる。
※無くなり次第終了
※今後、ムビチケ小人券の販売が予定されている。

© 赤塚不二夫/えいがのおそ松さん製作委員会 2019

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