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新連載『ぼる塾田辺の推しは活力!』芸人になった出会いを偶然にも繋いだ森久保祥太郎さんと『薄桜鬼』トーク!【第1回目】

『ぼる塾田辺の推しは活力!』第1回目のゲストは田辺さんが芸人になった出会いを偶然にも繋いだ森久保祥太郎さん

2023.01.02 <PASH! PLUS>


PASH! PLUS

 アニメ&スイーツ好きで知られる「ぼる塾」の田辺智加さんが、“推し” との対談を通じて人生の活力となる“推し活” を掘り下げる連載『ぼる塾田辺の推しは活力!』がスタート! 第1回目のゲストは田辺さんが芸人になった出会いを偶然にも繋いだ森久保祥太郎さん。芸人になったきっかけにもなった大人気乙女ゲーム『薄桜鬼』の魅力を本気で語る田辺さんと沖田総司を演じた森久保さんのスペシャル対談です。さらに声優だけではなく、アーティストなどマルチに活躍される森久保さんへの質問などおふたりの対談をお楽しみください。(PASH!2023年1月号掲載に掲載されたものを再掲載しています。)

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※題字:田辺さん

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田辺さんの人生を変えた運命の出会い

森久保 連載第1回のゲストとして呼んでいただき光栄です。

田辺 私が芸人になったきっかけが『薄桜鬼』の沖田(総司)さんなんです。そんな沖田さんを演じる森久保さんとはいつかお会いしたいとずっと思っていて。その夢がこうして叶ってとてもうれしいです。

森久保 え!? 芸人さんになったきっかけが沖田って…いったいどういうことなんですか?

田辺 10年くらい前、友達からおすすめされた『薄桜鬼』にものすごくハマりまして。なかでも沖田さんにすごく惹かれて、それから史実の新選組にも興味を持ったんです。いろいろと調べていくうちに、沖田さんは死ぬ前に浅草の今戸神社に行ったらしいと知り、友達とそこへ行ってみたところ、たまたま(手相占いに詳しいタレントの)島田秀平さんにお会いして。

それで手相を見てもらったら「君は人気者になるよ」と言われました。その一言で芸人になろうと思ったんです。だから、沖田さんを好きにならなかったらそこには行っていないですし、島田さんにも会わなかったですし、芸人になっていなくて。沖田さんが私を導いてくれたんだと勝手に思っています。

森久保 すごいですね!

田辺 それに加えて、沖田さんは私が声優さんという存在を意識するようになったきっかけでもあるんです。それまではアニメのキャラクターは〝キャラクター〟としてしか認識していなかったのですが、なぜか「沖田さんの声って誰がしているんだろう?」と気になって。調べてみたら森久保さんが担当されていることを知り、ほかにも出演されているアニメを観るようになって…。そこからアニメが大好きになりました。

森久保 よくぞたどり着いてくださいました(笑)。

田辺 なので、大げさでもなんでもなく、沖田さんと森久保さんは私にとって人生を変えてくれた存在なんです。森久保さんには、人生を変えた偶然の出会いはありますか?

森久保 それでいうと、声優になったこと自体がまさに偶然の出会いだと思います。もともと僕は声優になりたかったわけではなかったんですよ。当初は役者を目指していて、高校卒業後に先輩と一緒に劇団を作ったんです。すぐに小さなプロダクションに所属させてもらえたのですが、そこがたまたま声優事務所と業務提携をしていて。

スタッフの方に舞台を観てもらったことがきっかけで「ボイスサンプルを録ってみない?」と声をかけられて、誘われるままに受けたオーディションが、デビュー作の『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』です。経験がないから下手くそだし、当時は冷や汗と恥だけをかきに毎週収録へ行くという感覚でしたね。

初めは1年で終わると聞いていたのですが、それが2年、3年と続いて、そうこうしているうちに声優の仕事が増えていって。それが今に繋がっているんですよ。

田辺 そうして森久保さんが声優になって、のちに沖田さんに声を当ててくれたから今の私がいるんだと思うと、なんだか不思議な感じがします。

森久保 人生ってそういう偶然の連鎖ですよね。

セリフから読み解く沖田総司の魅力

森久保 それにしても、『薄桜鬼』を通じて芸人さんになったというお話はすごくうれしいですね。僕らキャストにとっても『薄桜鬼』との出会いは衝撃的だったんですよ。一般的に乙女系コンテンツというと甘い言葉をささやくという印象が強いと思うのですが、『薄桜鬼』はめちゃくちゃ硬派に青年たちの人生を描いていて、僕も読んでいてウルッとするシーンがたくさんありました。キャスト陣で飲んでいても、普段は作品とは関係ない話で盛り上がるのに、『薄桜鬼』に関してはずっと作品の話をしていて。そういう作品ってなかなかほかにはないと思います。

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▲人気乙女ゲーム『薄桜鬼』に登場す沖田総司は天才的な剣の使い手で、普段は冗談や笑みを絶やさないが剣を振るうときは容赦がない

田辺 実は今日、沖田さんの好きなセリフをノートに書き出してきました。ゲームもアニメもどっちも好きなのですが、私は特にアニメでの「近藤さんが新選組を託した土方さんなら、僕も守らなきゃダメだよね」というセリフが印象に残っているんです。新選組や近藤さんだけでなく、ずっとバチバチしていた土方さんへの愛も感じられて。涙なしでは観られないです。

森久保 峠での沖田の最期のシーンですね。僕も思い出してグッときました。

田辺 あとはゲームの「あんたの相手は僕だよね、この子には手を出さないでくれる?」も好きです。いつもは「殺すよ」とか物騒なことを言っているのに、まるで王子様みたいに守ってもくれる! そういうところだぞ! と思いましたし、労咳に蝕まれながら言っていた「僕は、役立たずなんかじゃないっ……!」というセリフも、沖田さんの気持ちがすごく伝わってきてすごく刺さりました。

森久保 そのセリフは僕も印象深いですね。新撰組=近藤さんの剣になりたいと思い続けてきた沖田の人物像をすごく表しているなと思います。今はたまにしか沖田を演じることがないので収録前に声をチューニングするのですが、そのときに必ず言うセリフのひとつが「僕は、役立たずなんかじゃないっ……!」なんです。

田辺 沖田さんの近藤さんに対する想いの強さが感じられて、大好きです。そういう沖田さんを恋という目線で見られないんですよ。本当にひとりの人間としての生き方に惹かれるというか。近藤さんのために、国のために、あんなにまっすぐな男がいただろうかって。

森久保 僕としては、沖田のそういう面って男気というよりも純粋さや幼さゆえのものなんじゃないかなと思っているんですよね。混沌とした時代だからこそ、子どもの頃から一緒にいた近藤さんや近藤さんが作った新選組に、自分が生きる意味を感じていたんじゃないかな、と。でも、それが田辺さんをはじめとする女性の方にそう映っているということは、それも正解なんだと思います。

田辺 まさかご本人からそういうお話を聞けるなんて…(涙)。

演じるキャラクターの共通点を探してみる

田辺 今までに森久保さんが演じられたキャラクターで、ご自身に似ていると思うキャラクターはいますか?

森久保 どの役もまず自分との共通点を探してから解釈をしていくので、割とみんな似ている部分はあると思います。沖田でいうと…彼って少しひねくれたことを言うじゃないですか。それって、幼さみたいな部分とは逆に、周りが見えているから「この人はこれを言われると一番カチンとく急るだろう」とわかるんじゃないかなと思うんですよ。そういう部分は僕もわかるなと感じます。あと、僕はけっこうナンバー2のポジションが得意なんです。

劇団でもバンドでも、頭を張る人を支えるために動くときが一番自分の力を発揮できると感じていて。そういうところは、近藤さんや新選組に対する沖田の思いに共感する部分ですね。それから、『メジャー』の茂野吾郎は、血液型も一緒なのでものすごく性格が似ています(笑)。彼は直感でこうと決めたら周りのことは考えずに進んでいっちゃうタイプですけど、彼を演じていた当時は僕もそういうところがあって。「こういうヤツが身近にいたら迷惑だな」と思いながらも、「自分もそうだな」と思っていました。

田辺 そうやって自分と重ねながら演じているからこそ、より私たちに感情が伝わってくるんだと、お話を聞いていて思いました。

森久保 ただ、それが難しい役もありますよ。最近でいうと『あんさんぶるスターズ!!』の遊木 真は、年齢もだいぶ離れているし、時代も違うから、自分との共通点を見つけにくくて。彼の場合はむしろ父親のような気持ちで「かわいいな、この子」と思って同化させていますね。

田辺 私、『弱虫ペダル』の巻ちゃん(巻島裕介)も好きなんです。「自己流で一番速かったら それ サイコーにカッコイイっショ」というセリフが超かっこいいと思って。巻ちゃんとは似ていると感じる部分はありますか?

森久保 まさにそのセリフは、僕が巻ちゃんと通じているなと一番感じた部分ですね。僕も声優の養成所には通っていなくてお芝居も自己流ですから、何か運命を感じました。そういう意味では、ぼる塾の皆さんも自己流を貫いている気がしますよね。

田辺 確かに、お笑い芸人で4人組ってほかにいないですし、苦手なことをやらないとか、メンバーが育休を取得していたというのも、ある意味自己流ですね。もしかしたら、それは巻ちゃんから学んだ精神なのかもしれません。お仕事のやりがいについても教えてください。森久保さんはどんなときに声優をやっていてよかったと感じますか?

森久保 まさに今ですよ! 芸人になるきっかけにしていただいたと知って、声優冥利に尽きるな、と。僕は自分の名前や顔が世に出ることはあまり興味がなくて、それよりも自分の関わった作品やキャラクターが誰かの何かのきっかけになれることがうれしいんです。そういうお話を聞くとやりがいを感じますね。

田辺 ということは、私も森久保さんのやりがいのなかに含まれているのでしょうか?

森久保 はい!

田辺 ありがとうございます!…って、すみません、「はい」と誘導させる質問をしてしまいました…。

森久保さんへ質問!!田辺さんのお悩み相談

田辺 ここからは私の悩みについて相談させてください。私は本当に喉が弱くて、舞台に立つときにもむせてしまうんです。喉のケアはどんなことをされていますか?

森久保 手洗いうがい以外は特別なことは何もしていないです。酒も飲むし、タバコも吸うので、かなりスパルタですよ(笑)。あまり気にしすぎると悪循環になりそうなので、気にしないのが一番じゃないですかね。あと、飲み物を変えてみるとか。僕は普段はなんでも飲むのですが、収録のときやステージに立つときには水やお茶は飲まないようにしています。喉が乾いてしまうので、スポーツドリンクとか、甘いもののほうがいい気がしますね。

田辺 いつも水ばかり飲んでいたので、今度試してみます。では、次の質問なのですが、森久保さんは失敗を引きずることはありますか?

森久保 シャワーを浴びているときに数年前の失敗を急に思い出して「うわー!」となることはありますけど(笑)、それ以外だとあまり引きずらないですね。田辺さんはどうですか?

田辺 私はすごく引きずるんです。まさにこの質問を考えたのが、大喜利で大滑りしたときで。「なんでこんな答えを出したんだ」という考えがずっとグルグルして、そこから何もできなくなってしまったんですよ。

森久保 あー、僕も昔はよくありました。ライブ中に大事なところで歌詞をとばして、どんどんテンション下がっていっちゃうとか。でも、最近は間違えたら「間違えた! テヘ♡」って開き直っていますね(笑)。

田辺 確かに愛嬌と開き直りが大事なのかも。観てくれているお客さんにも失礼ですし何も話さないのが一番よくないですよね。森久保さんがおっしゃるように私も引きずりすぎないで頑張っていこうと思いました。

森久保 「うまくやろう」と思うとどうしても力が入ってしまうんですよね。僕はラジオもやっているのですが、事前に「何を話そう」と考えていく番組よりも、何も考えずに臨む浪川大輔くんとの番組がなぜか話が跳ねるんですよ。あまりうまくやろうと思わないほうが実はうまくいくんじゃないかなって最近は思っています。

田辺 意識を変えてみようと思います。あとですね、私はしゃべり方に棒読み感があるのですが、抑揚を付けるやり方って何かありますか?

森久保 トレーニング方法はありますよ。でも、それをやると田辺さんの魅力が変わっちゃうんじゃないですか?

田辺 はっ…! 

森久保 田辺さんってその声やしゃべり方、全部でイメージが統一されているから。抑揚をつけた「まぁね!」じゃなくて、あの「まぁねー」だからこそ成立する魅力があると思います。僕はもともと声優を目指していたわけじゃないから、自分がいい声だと思ったことは1回もないんですよ。むしろ劇団時代は「変な声だな」と思っていたくらいで。

だけど、結局それって発声次第でどうとでもできるんですよね。どなたでも出し方をちゃんとやれば、それぞれ楽器として成立するんです。田辺さんには田辺さんの音色があって、そこに田辺さんらしい抑揚やしゃべり方が加わってオリジナルのグルーブが生まれる。それが個性であり魅力ですよね。無理に変えようとしなくても、すでに十分な武器をお持ちだと思いますよ。

田辺 抑揚をたっぷりつけてしゃべるようになったら私じゃないなと思えてきました。

森久保さんオススメのお酒は思い出の一品

田辺 森久保さんはお酒がお好きだそうですが、私も最近日本酒を飲むようになりまして。オススメのお酒を教えてください。

森久保 日本酒といえば、『薄桜鬼』のキャスト内で欠かせないものがありますよ。「〆張り鶴」という新潟のお酒です。ずいぶん前に、収録後に三木(眞一郎)さんと飲みに行ったときに三木さんが普段あまり話さないプライベートなことをたくさん話してくださったんですね。僕はうれしすぎてどんどん飲んで、結果記憶がなくなり…後日聞いたところによると「眞一郎、このやろー!」と呼び捨てにして絡んでいたらしいです。

そのときに飲んでいたのが〆張鶴だったんですよ(笑)。以来、『薄桜鬼』の飲み会があると三木さんは必ず「俺を呼び捨てにするまで〆張鶴を飲め」と勧めてくるんです。僕らの間で「変若水」と言われますね。

田辺 変若水が本当にあったとは!

森久保 味もスッキリしていておいしいのでオススメですよ。

田辺 今日は本当にありがとうございました! 私の質問や相談にもまっすぐ考えて答えてくださって、本当にイメージどおりの優しいお兄さんだと感じましたし、本当に最高なひとときになりました。

森久保 僕も田辺さんのことはTVで拝見していたのですが、まさか芸人になったきっかけに『薄桜鬼』が出てくるとは思いませんでした。直接お話を聞くことができて、僕にとっても忘れられない日になりましたね。

田辺 うっ…うれしすぎて息ができない…(涙)。

※『薄桜鬼 』はオトメイトより2008年に発売された女性向け恋愛アドベンチャーゲーム。新選組をモチーフとし幕末の史実要素も多く取り入れている。また、薄桜鬼の第一作をリメイクした『薄桜鬼 真改』が展開。
※変若水(おちみず)を飲むと、異常な身体能力と回復力を持つ羅刹となる。

田辺智加
たなべ・ちか 吉本興業東京本社所属。4人組お笑いグループ。「ぼる塾」のボケ担当。「まぁねー」という持ちネタで人気を集めるほか、アニメやスイーツなどの趣味を活かした活動も積極的に行っている。

森久保 祥太郎
もりくぼ・しょうたろう アドナインス所属。1996年、『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』ミニ四ファイター役で声優デビュー。以来、ゲームやアニメなどさまざまな作品に出演する。最近の主な出演作:『弱虫ペダル』巻島裕介役、『東京リベンジャーズ』稀咲鉄太役 ほか

(PASH!2023年1月号掲載に掲載されたものを再掲載しています。)

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