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D.Gray-man HALLOW、村瀬 歩と佐藤拓也が考えるキャラクターの魅力、今後の魅力は?

2016.09.19 <PASH! 2016年10月号>


PASH! PLUS

INTERVIEW 2 佐藤拓也

――”対話“という言葉が出ましたが、普段からキャラクターと対話することで役作りをされているのですか?
 キャラクターにもよるのですが、こと神田のように感情を表に出さないキャラクターの場合は、乱暴に僕からのアプローチで演じてしまうと、そのキャラクターの枠から外れてしまうような気がして。なので、芝居を作っていくうえで、”脳内ミーティング“がとても重要になっています。自分がやりたいことをやるのも演じ方のひとつだと思いますが、僕なりに理解したキャラクターの人格に対し、誠実でありたいと思っているんです。
――なるほど。9話で神田とアルマとのラストのシーンがとても印象的でしたが、あのシーンではどのような対話が行われたのでしょうか。
 あのシーンは、過去の因縁が絡まったデリケートなシーンだったので、”脳内ミーティング“で怖くて神田に突っ込んで聞けなかったんです。第二(セカンド)エクソシストになる前の、神田ユウではない部分も引っ張ってきて、今の神田の体を通して対話したイメージです。ちょっとややこしいんですが(笑)。ただ、神田と対話をしても、彼から答えが〇か×かで返ってくることは少ないんです。「そうなんじゃねぇの」とか「まぁそれでいいよ」とか、〇のような△のような答えばかりで。演技に正解はないと思っていますが、なるべく神田と対話したことをストレートに表現しようとは努めました。
――では、ほかに佐藤さんのなかで印象に残っているシーンはありますか?
 神田とアルマの少年時代のシーンではナレーションの役回りが多かったのですが、神田の過去を俯瞰で見ているような不思議な経験でしたね。自分のことだけど、そこに自分の意識は存在していないので、神田と同じように頭のなかを勝手に見させられているような感覚でした。もしかしたら、戦うシーン以上に神田の意識とリンクできたような気がしています。
――「アルマ=カルマ編」を演じる前後では、神田に対する思いの変化はありましたか?
 それは不思議となかったですね。徹頭徹尾、神田は神田というか。神田の過去を知ったからといって、僕のほうから彼に馴れ馴れしく近づくことはなかったです。そこの距離感は変わっていないですね。
――アレン役の村瀬さんは、アレンと神田は「似た者同士」と仰っていましたが、佐藤さんはこのふたりの関係をどうお考えでしょうか。
 みんなを守りたいというところは共通しているんですが、そのアプローチの仕方が違うと感じています。神田は自分が矢面に立つことで後ろに控える仲間たちを守る戦い方ですが、アレンの場合は、戦うことによって敵であるAKUMAも救おうとしていますよね。言ってしまえばアレンは底抜けに優しいんです。神田は、彼の厳しさ自体が優しさの裏返しだと思っています。
――では神田とアルマの関係性はどのように捉えていますか?
 これは難しいですよね…。親友のようであり、兄弟のようであり、時を遡ると想いを寄せ合った者同士でもある。「親子」以外のすべてのカテゴリーが当てはまるのではないでしょうか。
――そのような関係性だったアルマを神田は殺そうとするのですが、そのシーンではどのようなことを意識されたのでしょうか。
 このシーンに関しては、星野先生に「神田はアルマのことを好きでいていいんですよね」とお聞きしたところ、「そうなんですが、戦うときはその気持ちを殺しているので、そう思っても忘れてください」と言われたんです。でも「忘れる」ってことは、神田のなかにアルマに対する思いがあるからこそだと思ったので、僕の解釈もあながち間違っていないのかなと思っていました。それを踏まえた上でのあのシーンだったので、温情を一切なくし自分の心を殺して戦うことを心がけていました。
――佐藤さんは神田以外で好きなキャラクターはいますか?
 憧れと言っては変ですが、ノア一族のシェリル・キャメロットはすごく好きですね。妖しく、おぞましいなかに美しさも兼ね備えていて。その印象が、飛田(展男)さんのお芝居を聴いてさらに深まった気がして、今回のアニメ化では特にお気に入りのキャラクターのひとりです。
――アフレコ現場での印象的なエピソードはありますか?
 現場にコーヒーが入ったポットがあるのですが…ズゥ・メイ・チャン役の飯塚(昭三)さんにコーヒーを注ごうと思ってポットのボタンを押したら、その瞬間横から飯塚さんが手を差し出されて、危うくコーヒーをかけてしまいそうになったんです…。笑って許してくれたのでよかったのですが、あれは久々に演技以外で肝が冷えましたね(笑)。
――では今後の『D.Gray-man HALLOW』の見どころを教えてください。
 いよいよクライマックスに近づいてきましたが、新しいキャラクターも登場しますし、アニメならではの演出にも期待してください。展開がはやいので、ぜひ最後までリアルタイムで観ていただけると嬉しいです。
――最後に、PASH!読者へメッセージをお願いします。
 ここから先どういう展開になっていくかは僕も知らないので、読者のみなさんとはほぼ同じ目線に立つことになると思います。そういった意味で、みなさんと一緒に楽しみたいと思っています。僕にとって、神田を演じたことは、非常に稀有な経験をさせていただいたので、原作・アニメファンの方々に楽しんでいただけたなら幸いです。ありがとうございました!

(PASH!2016年10月号より一部抜粋)

DATA

ON AIR:テレビ東京・テレビ大阪・テレビ愛知/毎週月曜日
深夜1:35~、BSジャパン/毎週火曜日深夜0:58~
HP:http://dgrayman-anime.com/
Twitter:@dgrayman_anime

STAFF:原作=星野 桂(集英社『ジャンプSQ.CROWN』連載)、監督=芦野芳晴、脚本=横手美智子、樋口達人、山下憲一、キャラクターデザイン・総作画監督=椛島洋介、デザインワークス=森木靖泰、美術設定=藤井一志、美術監督=甲斐政俊、色彩設計=末永絢子、撮影監督=金 光俊、編集=長坂智樹、音楽=和田 薫、音響監督=高寺たけし、アニメーション制作=トムス・エンタテインメント

CAST:アレン・ウォーカー=村瀬 歩、神田ユウ=佐藤拓也、ラビ=花江夏樹、リナリー・リー=加隈亜衣、ハワード・リンク=立花慎之介、アレイスター・クロウリー=杉山紀彰、ミランダ・ロットー=小清水亜美、ブックマン=大塚芳忠、千年伯爵=青山 穣、ティキ・ミック=西田雅一、ロード・キャメロット=近藤 唯、ワイズリー=保志総一朗、アルマ=カルマ=浅利遼太、コムイ・リー=井上 剛、リーバー・ウェンハム=杉田智和、ジョニー・ギル=市来光弘、マルコム=C=ルベリエ=大川 透、クロス・マリアン=最上嗣生、マダラオ=江口拓也、トクサ=斉藤壮馬、テワク=末柄里恵 ほか

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