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『一休さん』リメイクなどアニメ企画が一般公募! アニメの未来を語る東映アニメーション社長・髙木勝裕インタビューも

2019.06.06 <PASH! PLUS>


PASH! PLUS

 東映アニメーション株式会社にて、“東映アニメーション 100年アニメプロジェクト”が始動。代表取締役社長・髙木勝裕さんへのインタビューも公開された。

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 新しい発想を持つクリエイターとともに、100年続くアニメを制作したいという思いから、当プロジェクトは立ち上げられた。オリジナルのアニメ企画を広く一般から公募し、企画の募集を通じて次世代のオリジナルアニメや優秀なクリエイターの発掘を目指すというものだ。創立60周年を経た東映アニメーションとしても、アニメ企画の一般公募は初めての試みとなる。

 また、代表取締役社長・髙木勝裕さんへのインタビューでは、『ドラゴンボール』、『Dr.スランプ アラレちゃん』、『美少女戦士セーラームーン』といった人気作品の裏側や、昭和・平成そして令和と、変化し続ける業界のあり方について語られている。

アニメ企画一般公募

 当プロジェクトは、アニメの企画を募集する3種類のコースとクリエイター&製作プロデューサーを募集するコースの全4種類。アニメの企画募集には、これまでにアニメや映像製作の経験がない未経験者でも挑戦し易い、アイデア重視の“コース A:だれでもアニメコース”、アニメなどの映像製作経験者の方を主な対象とし、企画の完成度を重視する“コース B:プロでもアニメコース”、『一休さん』を自由な発想でリメイクする“コース C : みんなでリメイクコース”がある。どのコースも大賞を受賞すればTVアニメーションやWeb配信、劇場公開など、企画にあわせたメディア展開が予定されている。

各賞と賞金:各コース毎、厳正なる審査の上、大賞には賞金100万円、優秀賞には賞金50万円、奨励賞には賞金30万円が贈呈される。
募集期間:9月30日15:00まで
受賞発表:2020年4月23日(予定)

【コース A:だれでもアニメコース】
 あなたのオリジナルアニメ企画を東映アニメーションがアニメ化! これまでの漫画やアニメ、映像製作の経験は問われない。企画の完成度の高さより、光り輝くあなただけのアイデアが重視される。大賞を受賞した企画は、TVアニメーションやWEB配信、劇場公開など企画にあわせ幅広く展開される予定。

応募資格:アマチュアの方や学生の方、現在第一線で活躍されるプロの方まで、自由に応募が可能。応募者の年齢、性別、経歴などは問われない。なお、20歳未満の方は必ず保護者の同意を得たうえで応募してほしい。

【コース B:プロでもアニメコース】
 長期に渡り多くの地域、たくさんの人に愛されるアニメ企画を募集。これまでの経験を活かした、すぐにでもアニメ製作を開始できるような完成度の高いアニメ企画の応募が求められる。大賞を受賞した企画は、TVアニメーションやWEB配信、劇場公開など企画にあわせ幅広く展開される予定。

応募資格:アニメーションを含む映像作品や文芸作品に携わった経験がある方向けのコースだが、アイデアや企画の完成度に自信があれば年齢、性別、経歴などは問われない。なお、20歳未満の方は必ず保護者の同意を得たうえで応募してほしい。

【コース C :みんなでリメイクコース】
 東映アニメーション原作のアニメ作品のリメイク企画を募集。対象となる作品は『一休さん』。大賞を受賞した企画は、TVアニメーションやWEB配信、劇場公開など企画にあわせ、各種メディア上での展開が予定されている。世界観やコンセプトに制限はない。自由な発想で『一休さん』のリメイクアイデアを考えよう。

応募資格:アマチュアの方や学生の方、現在第一線で活躍されるプロの方まで、自由に応募が可能。プロ、アマ、応募者の年齢、性別、経歴など一切の制限はない。なお、20歳未満の方は必ず保護者の同意を得たうえで応募してほしい。

【コース D :クリエイター&製作プロデューサー募集コース】
 東映アニメーションが製作プロデューサーとクリエイターを募集。これまで培った経験をぜひ東映アニメーションの作品で活かそう。(応募資格は、募集業務の経験がある方。作品・プロジェクト単位での業務委託契約になる。)

募集業務:
①製作プロデューサー
②演出
③アニメーター
④美術デザイナー(背景員)
契約形態について:作品・プロジェクト単位での業務委託契約
応募資格:20歳以上で募集業務の経験者の方
委託予定者数:①~④ 若干名

代表取締役社長・髙木勝裕 インタビュー

 100年続く息の長い作品を――。アマチュアからも広く作品を募るこのプロジェクト。その狙いや昨今のアニメ界を取り巻く現状、そしてアニメ界の未来を、東映アニメーション代表取締役社長・髙木勝裕さんが語ってくれた。

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――本プロジェクトを実施することになったきっかけをお教えください。

 アマチュアからの募集も含め、今回のように広くアニメ企画を公募するのは東映アニメーションにとって初の試みです。いま社内でも多くの企画が出ていますが、それ以外にも、これまで弊社になかったような新しい視点の企画が生まれること を期待して、外の人の力を借りていこうと考えました。 具体的には「どこかで見たことがあるな」「何かに似ているな」と感じさせない作品です。うまい、下手ではありません。こんな 発想があったのか、と驚きを感じさせる内容をお待ちしています。

 映像の技術は日々進化しています。だからこそストーリーの大事さが浮き彫りになってくるのです。

――プロジェクトのテーマ“100年アニメ”に込められた思いはどのようなものですか?

 弊社の代表的アニメである『ドラゴンボール』シリーズが34年、『ワンピース』が20年、『プリキュア』シリーズが16年続き、い まもこれらの作品がヒットの前線にいます。時代背景によって設定などを変えていく必要があると思いますが、良い作品で あれば長く続いていくはずです。 テーマ“100年アニメ”には、細かい変化はあっても100年継続するタイトルを進めていきたいという思いが込められていま す。

――髙木社長が考える“長く続くアニメの定義”とはどのようなものでしょうか?

 それは私も知りたいところですが。ひとつ言えることは時代にあった作品を作り続けること。同じタイトルの作品でも、その 時々の価値観や時代背景を考慮して柔軟に対応していくことが大事だと思います。

――今、アニメ業界はどのような状況にあるとお考えですか?

 本音を言えば、世に出ていく作品数に対してヒット数が少ないと感じています。制作にお金のかかるアニメ作品からどうやっ て利益を出していくか。それには作品の二次利用を成功させるかどうかが鍵になります。

 厳しく言うなら、制作側が満足のいく作品ができたとしても、世間の目に触れる機会がなければ自己満足で終わってしまう。確かに技術の進歩によって、個人でもアニメ制作ができる時代にはなりました。しかし、多くの人を巻き込むことで作品はできあがっていくものだと考えています。

 ですからアイデアをお持ちの方には、本プロジェクトをぜひ、活用してほしい。私たちには作品を成功させるための、長年培ってきたノウハウがあります。海外進出も視野に入れ、しっかりとバックアップしていきたいですね。

――受賞作品は海外展開もありうると?

 そうですね。東映アニメーションは日本だけでなくアメリカ、ヨーロッパ、アジアにそれぞれ拠点を持っています。昨年末に公開した『映画 ドラゴンボール超 ブロリー』は、日本はもちろん、それ以上に海外で大きなヒットとなりました。受賞作品は世界規模での展開を考えていきたいですね。

――現在どのようなアニメが多くの人々に愛されるのでしょうか?

 大ヒットにつながる作品に共通するのは、どのような層にも受け入れられる内容です。アニメに興味のない人たちでも「ちょっと見てみようかな」と思わせる、間口の広い作品が求められています。

 私が東映アニメーションに入社したころは「アニメは子どものもの」というのが常識でした。それが時代とともに視聴者層が広 がっていきます。性別ごとにターゲットを分けた“男女別作品”も、いまでは少なくなりました。アニメの社会的地位は大きく 変わりましたね。昔と比べ、劇場公開作品が増えたことにもあらわれていると思います。

――具体的にはどのような変化を体感してきましたか?

 私が入社して間もないころに、鳥山 明先生原作のアニメ『Dr.スランプ アラレちゃん』がヒットしました。それ以前は、ヒロインは金髪で目がぱっちり、きれいな服を着ているのが“お決まり”でした。 ところが本作の主人公・則巻アラレは紫色の髪にメガネ、カジュアルな帽子をかぶっている頭身が低い女の子。当時の常 識から外れた見た目でしたが、いざ放送してみると作品がヒットし「これが当たるのか」と驚きを隠せませんでした。『週刊少年ジャンプ』に連載していたこともあり、男性向け作品として舵を取りましたが、放送が始まると女の子からも多くの支持を受けました。“常識”に当てはめて動いてみたら、意外な結果が待っていた(笑)。

――まさに、アニメの常識が大きく変化した瞬間ですね。

 それから10年ほど経ち、次はアニメ『美少女戦士セーラームーン』が女の子の間でブームになりました。“女の子たちの戦隊もの”も当時としては衝撃的でした。“時代の当たり前”を変える力を持つ作品。その目新しさが多くの人の目を引くのかもしれません。

――新元号・令和を迎え、新たな価値観の作品が生まれる日はやってくるでしょうか?

 遠い話ではないと思います。固定概念にとらわれず新たな想像力で企画を生み出してほしいですね。むしろこれまでアニメ 業界に関わってきていない人のほうが、損得や過去の成功例を気にせず自由に発想できるのでは。どんな斬新な企画が寄せられるのか、いまからとても楽しみです。

■東映アニメーション 代表取締役社長 髙木勝裕 たかぎ・かつひろ
 57年生まれ。東映シーエムを経て80年に東映動画(現・東映アニメーショ ン)に入社。主に版権事業を担当し、12年に代表取締役社長に就任。

■東映アニメーション 100年アニメプロジェクト
公式サイト:https://toeianim-100p.jp/
公式Twitter:@toeianim-100p

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