anime

『ライオン』はカラオケの十八番だよね?『黒執事』『とある魔術の禁書目録』など平成のアニメを振り返る『平成アニメ備忘録』第20回

2018.11.23 <PASH! PLUS>


PASH! PLUS

 平成が終わる前に30年分のTVアニメを振り返る『平成アニメ備忘録』シリーズ! 今回は平成20年(2008年)のアニメを振り返ります。

heisei_ca

 この年は、少女ラゼルと青年アルゼイドの破天荒な旅を描いた『破天荒遊戯』、『ライオン』や『星間飛行』など作中の楽曲の多彩さが話題になった『マクロスF』、現代に生きるシノビの世界(隠の世界)を描いた『隠の王』、死神武器職人を目指す少年少女たちの成長描いた『ソウルイーター』、光と影を巡るダークファンタジー『モノクローム・ファクター』。

 そして、名家のお嬢様の“オタク”な秘密を知ってしまった青年とお嬢様の日々を描いた『乃木坂春香の秘密』、不良に見られるけど温厚な青年&清楚に見られるけど凶暴な美少女を描いた『とらドラ!』、OP主題歌にBUMP OF CHICKENの『カルマ』が器用されたことで話題になった『テイルズ オブ ジ アビス』などが放送されました。

 今回は、数ある平成20年に放送されたTVアニメのうち4作をご紹介します!

“絶対可憐”に戦う少女たちの苦悩や成長を描いた『絶対可憐チルドレン』

 『絶対可憐チルドレン』は、椎名高志による同名漫画を原作としたSFアクション作品。2008年から2009年にかけてアニメ化され、2010年にはOVAがリリース、2013年にはスピンオフ作品がアニメ化されました。本作は、国内でも最高級のエスパー能力を持つ10歳の少女3人(明石 薫、野上 葵、三宮紫穂)通称“ザ・チルドレン”と、優秀な超能力者研究者であり、“ザ・チルドレン”の指揮官となった皆本光一らが様々な事件を解決していく物語。

 物体を操作・破壊できる“サイコキノ”の薫、高速移動や敵の拘束などを行う“テレポーター”の葵、触れた人物の情報を読み取れる“サイコメトラー”の紫穂。高い能力を生かし目の前の困難に“華麗に”立ち向かう彼女たちですが、とある事情で人間不信に陥っていたこともあり性格には少々問題あり。能力にものを言わせて我儘放題したり、気分で行動したり、話を聞かなかったりと大人たちを困らせていました。

 また、能力者ならではの苦しみ、ノーマル(非能力者)との軋轢、大人と触れ合うことへの戸惑い、過酷な戦いに身を投じることへの苦悩など、10歳の子供たちが抱えるには重すぎる悩みに苦しむことも(これが見ていて心苦しくなる)。しかし、皆本という信頼できる大人があらわれたことにより、彼女たちは能力者として、人間として成長していくのです。

 こうした彼女たちが成長していくまでの歩みはもちろん、能力者ならではのダイナミックな戦闘シーンも見どころ。また、コメディ要素も強く含まれており、『マクロス』や『DEATH NOTE』のパロディが織り交ぜられたることも。なかでも、42話“合体問題! ファンタスティック・トイ”の戦闘機が登場するシーンで『マクロスF』のOP主題歌『トライアングラー』の歌詞「君は誰とキスをする?」をキメ台詞として薫が使用していたことは忘れられません。

“人生で一度は使いたい能力”の数々に魅了された『とある魔術の禁書目録』

 『とある魔術の禁書目録』は、鎌池和馬の同名ライトノベルを原作とするサイエンス・ファンタジー作品。超能力やテクノロジーの科学、魔術やオカルトの魔術という相反する2陣営が対立する世界が描いており、2008年にTVアニメ化され、2013年には『とある』シリーズのキャラクターが総出演する劇場版が公開されました。現在は第3期は放送されています。

 超能力が科学によって解明された世界。能力開発をカリキュラムに組み込む学園都市を舞台に、その街に住む高校生・上條当麻が、魔術師に追われるシスター・禁書目録(インデックス)と出会い、次第に科学と魔術が対立する世界へと足を踏み入れていく姿が描かれています。

 主人公・上條当麻は、超能力を持つ学生が通う“学園都市”の生徒でありながら、レベル0と呼ばれる無能力者。作中、右手で触れた異能力を無効化する能力“幻想殺し(イマジンブレイカー)の持ち主であることが発覚するも、その能力にも制限があり、基本的には持ち前のメンタリティと経験で闘いに身を投じていくことに。

 数々の異能力が登場する本作においては最弱の能力者であり、使い方次第では最強の能力者になりうる存在である上條。そうした特殊能力の持ち主であることに加え、敵対する人物(年齢・立場問わず)が“戦意を喪失するまで言葉で説き伏せる“姿が話題に。有名どころは最強の能力者・一方通行に対してはなった「歯を食いしばれよ、最強(さいじゃく)。俺の最弱(さいきょう)は、ちっとばっか響くぞ」でしょうか。クラスの男子が右手をかざしながら真似してたのを思い出します。

 そんな本作は“幻想殺し”を始め、発電系の能力(超電磁砲・御坂美琴の能力)、空間移動(テレポート)、心理掌握(メンタルアウト)、未元物質(ダークマター)など“人生で一度は使ってみたい能力”のオンパレード。なかでも、レベル5(超能力者)の頂点に君臨する一方通行(アクセラレータ)の触れたもののベクトルを変換する能力は、特殊さ&格好良さで放送当時かなり話題になりました。能力発動するとき(ベクトルを変えるとき)のBGMまで格好良かった。

悪魔で執事ですから。耽美な世界観や主題歌が印象深い『黒執事』

 『黒執事』は、柩やなの同名漫画を原作とするダーク・ファンタジー作品。2008年から2014年にかけて1期、2期とTVアニメ化され、2015年にはOVAがリリース、2017年には映画化もされました。

 本作は、19世紀末のイギリスを舞台に名門貴族“ファントムハイヴ”の若き当主・シエル、シエルに知識、教養、武術などすべてにおいての教育を行う執事セバスチャン・ミカエリスの2人をメインに描いた作品。“女王の番犬”として政府の汚れ仕事を引き受けてきたファントムハイヴ家の党首であるシエル。幼少期に両親を殺害され、自身も誘拐にあうなど過酷な過去を持ち、その時に出会った悪魔・セバスチャンと自らの魂を代価に契約を果たし、両親を殺害した者への復讐を果たすために敵の正体を追うことに。

 『黒執事』は耽美な世界観に美麗なイラスト、個性豊か&知的なキャラクター、中世ヨーロッパの歴史・風景など魅力的な要素が数多い作品。印象的なエピソードも多く、実在した殺人鬼“切り裂きジャック”が登場する『切り裂きジャック事件編』、身ぐるみを剥がされた貴族や軍人が逆さ吊りにされる事件を追う&セバスチャンがカレー勝負を行った『逆さ吊り事件編』など原作でも印象的なエピソードが映像化。

 また、第2期ではオリジナルキャラクターであるクロード・フォースタス、アロイス・トランシーがメインとなり、オリジナルエピソードが放送されたことでも話題に。また、OVAでは『ノアの箱舟サーカス編』、劇場版では『豪華客船編』と原作でも屈指のエピソードがアニメ化されました。

 『黒執事』といえば歴代OP主題歌が印象に残っている方も多いはず。シドの『モノクロのキス』やthe GazettEの『SHIVER』はアニメ好き、ヴイジュアル系好き、邦楽好きと幅広い層が知っている楽曲であり、筆者の周りではカラオケで歌うと「これ知ってる!」と盛り上がる鉄板ソングになっていました。

高校生男子と小説家が結ばれるまでを描いたボーイズラブ作品『純情ロマンチカ』

 『純情ロマンチカ』は、中村春菊の同名漫画を原作とするボーイズラブ作品。2008年にTVアニメ化され、2015年には第3期が放送されました。本作は『純情』シリーズの第1作目。高校生・高橋美咲と小説家・宇佐美秋彦の2人の日常や恋を描いたボーイズラブ作品です。

 高校生の美咲は、志望校に合格するため、兄の親友であり帝都大学を主席卒業した経歴を持つ秋彦に、住み込みで家庭教師になってもらうことに。早くに両親を亡くし、兄の孝彦と2人で暮らしてきた美咲は、手先が器用&料理が得意。そして、いつも明るく誰からも好かれる可愛い高校生男子です。一方、秋彦は旧財閥グループの次男であり、容姿端麗、頭脳明晰と超ハイスペックでありつつも、生活能力は0。

 また、何かと美咲にちょっかいをかけたり、自己中心的&傲慢な態度をとったり、時にはえっちなことをする一面も(これがまたすごいんだ)。育った環境も性格も異なる2人ですが、美咲は秋彦の身の回りを世話しつつ、秋彦は美咲をしつこいほどにかまいつつ楽しい日々を送っていました。

 ある日、美咲は、秋彦が自身と兄をモデルにしたボーイズラブ小説を発見してしまい、秋彦が10年に渡って兄に片思いをしていることを知ります。やがて自分勝手に見える秋彦の繊細な一面を知ることになり、美咲は少しずつ秋彦に惹かれていくように。持ち前の明るさで秋彦を優しく包み込む美咲。そんな美咲の優しさに心癒され、惹かれていく秋彦。2人が本当の意味で心惹かれ、繋がっていくまでの光景は少し切なく、優しく、不思議と朗らかな気持ちになります。何より美咲が健気すぎて応援したくなる。めちゃくちゃいい子なんですよね。

 そんな2人の恋模様を描いた本作。初めて見た時は「ボーイズラブってなんぞや」という状態でしたし、見続けているうちになかなかにえっちなシーンがあったり、筆者的には平成アニメのなかでも色々な意味で強烈なインパクトを与えられた作品でした。

 たまたまチャンネルを回した時に『純情ロマンチカ』が放送されていて、「なんだこのすごい作品は!」と思って以降、家族に見つからないようにひっそりと見ていた記憶。当時、同じようにひっそりと『純情ロマンチカ』を見ていた人、『純情ロマンチカ』をきっかけにボーイズラブという世界を知った人は結構いるんじゃなかろうか。

平成20年の日本はどうだった?

 ちなみに平成20年の日本では、北京オリンピック/パラリンピックが開催されたほか、エド・はるみさんの「グ〜!」や「アラフォー」が流行語大賞にノミネート。また、『ROOKIES』の『キセキ(GReeeeN)』、『花より男子F(ファイル)』の『One Love(嵐)』、『エジソンの母』の『愛をこめて花束を(Superfly)』など映画・ドラマの主題歌が話題になりました。

 次回の『平成アニメ備忘録』をお楽しみに!

タグ

Ranking

オススメ
あわせて読みたい