『宝石の国』TVの枠に収まらない新しいCGアニメへの挑戦を。武井プロデューサーのインタビューを掲載

2017.10.24 <PASH! PLUS>

 好評放送中のTVアニメ『宝石の国』。CGによる宝石たちの美しい描写、音の響きなどで大きな話題を集めている本作について、2017年9月8日発売のPASH!10月号では、東宝・武井克弘プロデューサーにインタビューを行いました。

 11月10日発売のPASH!12月号にて表紙巻頭特集となることを記念して、そのインタビューをPASH!PLUSにて全文大公開! アニメ化への経緯やこだわりのポイントなどを語っていただきました!!

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※本インタビューは放送開始前、2017年9月8日発売のPASH!10月号に掲載したものです。

東宝・武井克弘プロデューサーインタビュー

 ご自身が『宝石の国』の大ファンだったという武井プロデューサー。「こんな手法を採るTVアニメは、昨今ないと思います」と語る言葉からは、ほかにはないこだわりの数々と、制作陣の熱い想いをうかがうことができました。

──まず原作の感想からお願いします。

 僕自身が原作のファンで、『宝石の国』の前に出版された短編集『虫と歌』から作品を読んでいました。絵はもちろん、SFとしてのストーリーテリングも素晴らしく、すごい才能の漫画家さんだなと思っていて。その後本作の連載が始まったのですが、それが短編のテーマを引き継ぎながら、より分かりやすい作品になっていたんです。

 これならアニメにできるかもしれないと、1巻が発売された後、2013年冬頃に編集部へ伺いました。それから紆余曲折を経て今の形に落ち着いたのが、2015年秋頃です。

──原作の市川春子先生とはどんなやりとりをされましたか?

 最初に先生からは「チャレンジしてほしい」という言葉をいただきました。今までの考え方に囚われず、自由にやってほしいと。“学校”と呼ばれている宝石たちが暮らす建物の造りや宝石たちの部屋割り、島の地図など、アニメのために市川先生に描いていただいた資料がたくさんあります。キャラについても同様です。とにかく先生の宝石の知識量がすごいので、最初は教えていただくことばかりでした。

──3DCGの手法を選んだ理由は?

 今回一番やりたかったのは、宝石の美しさや質感といった、宝石の存在そのものを表現しつくすこと。髪の毛を通過して肩に落ちる光や、割れたときの宝石の断面、そういった表現は3DCGでしかできないと考えました。

 もちろんカット割りやレイアウトなど“省略の美”で見せるといった、2Dの方向性もあったと思います。でもそれでは原作と同じ土俵になってしまうし、先生からのお言葉もあったので。CGについては先生もすんなり受け入れてくださいました。

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──制作で特に苦労したところを教えてください。

 一番苦労したのは宝石たちの髪の表現ですね。ある程度の“モノ”感も残しながら、場面によってはたなびく動きもさせるので、そのバランスは繰り返しテストしました。あとは反射。

 少し専門的な話になりますが、見た目のデザインのまま髪の毛に光を反射させると、液体のような水っぽい質感になってしまうんですね。なので実は表面に見えているデザインの中に、さらにもうひとつトゲトゲしたデザインのモデルを置くことで、硬く宝石らしい反射を表現しています。

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──シナリオ面ではいかがでしょう?

 どこまでアニメで描くのかは今はまだお話しできませんが、どういう結末にしようかという議論はたくさん重ねました。それから、大事にしたのは物語のテンポ。たとえば、悠久の時を生きる宝石たちなので、彼らの体感時間を表現する方法もあったかもしれませんが、それだとエンターテインメントとしては退屈になってしまう。

 最近のお客さんは皆そうだと思うのですが、僕自身も飽きやすい性格なので、いつも脚本はなるべく詰め込もうとします。脚本会議の場では、そのあたりが争点になりました。結果として、原作の雰囲気を損なわないバランスで、サービス精神旺盛な構成になったのでは?と思っています。

──そのほかこだわっていることは?

 音の面もこだわっています。この世界には脊椎動物がいないので、革が存在しません。だから靴も革ではなく、木と布の組み合わせ。ヒールは木でできています。こうした素材の設定が、特に効果音の面で非常に大切で。ここから宝石たちの足音は、“石の重みと木の質感が、石の床と擦れ合うときの音”として表現しています。ほかにも月人を斬ったときの音など、実在しない世界の説得力を出すために細部までこだわっています。

 今回は役者さんの演技を活かすべくプレスコ方式を採用していますが、その収録も放送の一年前には行っていました。それもあって現在進行中のダビング作業は、色が付いたほぼ完成版の映像で行うという、恵まれた状況にあります。

 劇伴も、別々に作った曲と映像を最後に合わせるのが普通ですが、本作では映像の尺にあわせて曲を書き下ろす方法を採っていて。こんなにこだわったTVアニメは、昨今ないんじゃないでしょうか(笑)。劇場アニメの一線で活躍されるスタッフさんも加わっていて、TVアニメの枠では収まらない作品です。それだけに、ほかにはないクオリティーでお届けできると自負しています。

──本作のキャスティングは迷いどころだったのではないでしょうか?

 確かに、キャストを女性にするか男性にするかは議論になりました。宝石たちは性別がない存在であるということは、この作品で重要な要素なので。ただ、女性声優が少年の声を演じることはありますが、逆はない。どちらの性も表現できるのは女性キャストだと思い、金剛先生以外は女性で統一する形に決めました。

 キャラごとにみればジェードやボルツは男性寄り、ユークやダイヤは女性寄りといった部分もありますが、キャスト陣にはあくまで性別を出さずに芝居をつけてもらえるよう、アフレコでは細かくディレクションを重ねています。兼ね役はなく、たった一言でもきちんと名前付きで起用するなど、キャスティングは一切妥協していません。音響制作費大丈夫かな…という感じです(笑)。

 市川先生もアフレコには動画通話で参加されていて、キャストのお芝居にすごく満足してくださっています。

──コラボジュエリーも話題ですね!

 宝石アイテムのグッズ化はぜひやりたかったことでした。今後もクオリティーの高いものをお届けしていく予定です。僕が絶対作りたかったキャラのアイテムも出ます!(笑)

──最後に放送へ向けて読者のみなさんへメッセージをお願いします!

 原作ファンのみなさんの期待を裏切らないものをお届けしたいと思っています。まだ原作をご存じない方にはもしかしたらとっつきにくい印象があるかもしれませんが、実は物語の軸はシンプルで、それだけに心に強く訴えかける作品です。

 また、魅力的なキャラがたくさんいるのも特徴ですので、それぞれの関係性にもどうぞご注目を。新たなCGアニメとして挑戦していますので、この秋はぜひ唯一無二で美しい宝石の世界に浸ってください! 放送をお楽しみに!

Blu-ray&DVD第1巻 商品概要

発売日:2017年12月20日(水)
収録話数:第1話~第2話
【Blu-ray価格】6,800円+税
【DVD価格】5,800円+税

★初回生産限定特典
【封入特典】
・スペシャルイベント優先販売申込券
≪イベント概要≫
開催日:2018年4月1日
場所:新宿文化センター大ホール
・スペシャルサウンドトラック前編
・オリジナルアートワーク集 Vol.1(32P)
・復刻版キャラクターカード(ちびキャラver.)
【仕様】
・キャラクターデザイン・西田亜沙子描き下ろしデジパック

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DATA
『宝石の国』

公式サイト:http://land-of-the-lustrous.com/
公式Twitter:@houseki_anime

ON AIR:
TOKYO MX=毎週土曜22:00~
MBS=毎週土曜26:38~
BS11=毎週土曜23:00~
AT-X=毎週土曜21:30~

※放送時間は変更になる可能性もあります。

STAFF:
原作=市川春子「宝石の国」(講談社『アフタヌーン』連載)
監督=京極尚彦
シリーズ構成=大野敏哉
キャラクターデザイン=西田亜沙子
CGチーフディレクター=井野元英二
コンセプトアート=西川洋一
色彩設計=三笠 修
撮影監督=藤田賢治
編集=今井大介
音楽=藤澤慶昌
音響監督=長崎行男
制作=オレンジ

CAST:
フォスフォフィライト=黒沢ともよ
シンシャ=小松未可子
ダイヤモンド=茅野愛衣
ボルツ=佐倉綾音
モルガナイト=田村睦心
ゴーシェナイト=早見沙織
ルチル=内山夕実
ジェード=高垣彩陽
レッドベリル=内田真礼
アメシスト=伊藤かな恵
ベニトアイト=小澤亜李
ネプチュナイト=種﨑敦美
ジルコン=茜屋日海夏
オブシディアン=広橋 涼
イエローダイヤモンド=皆川純子
ユークレース=能登麻美子
アレキサンドライト=釘宮理恵
金剛先生=中田譲治

©2017 市川春子・講談社/「宝石の国」製作委員会

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