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「マフィンを崩して土にする」などメニュー開発秘話が明らかに! 『地縛少年花子くん』GHOST HOTEL’S CAFEスタッフインタビュー

2018.12.30 <PASH! PLUS>


PASH! PLUS

 あいだいろ先生が『月刊Gファンタジー』(スクウェア・エニックス)で連載中の漫画『地縛少年花子くん』のコラボレーションカフェ“GHOST HOTEL’S CAFE”が、東京・池袋のアニぱらCAFÉにて12月5日~2019年2月11日までの期間限定で開催中です。

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 今回、『地縛少年花子くん』の企画・制作に関わっているスタッフの方々にインタビューを実施。コラボカフェ開催の経緯から、原作者・あいだいろ先生のアイディアが反映されたフード&ドリンクの開発秘話など、じっくりとお話を伺いました!

【インタビュー対象者】
スクウェア・エニックス カフェ企画者:大久保果菜さん
スクウェア・エニックス『地縛少年花子くん』担当編集者:今西千春さん
グラウンディングラボ カフェ企画者:安藤美奈子さん
グラウンディングラボ カフェ企画者:中山夏子さん
アンドモワ カフェメニュー考案者:相澤冠人さん
アニぱらCAFE店長&カフェメニュー考案者:白土幸平さん

『地縛少年花子くん』コラボレーションカフェはあいだいろ先生が全面監修!

――『地縛少年花子くん』コラボレーションカフェはどのようにして開催されることになったのでしょうか?

大久保:カフェの企画メンバーで、次にどんなカフェを開催するか話し合っている中で、弊社の一押しタイトルとして『地縛少年花子くん』を紹介させていただいたことがきっかけですね。

安藤:アニぱらCAFEのスタッフは若い子が多いのですが、そのスタッフのほとんどが『地縛少年花子くん』を知っていたので、スクエニさんからお声がけいただいたときは「それはもうぜひに!」と二つ返事でお願いしました(笑)。

――『地縛少年花子くん』としてのコラボカフェは今回で3回目となりますが、ファンの方からの反応はいかがでしたか?

今西:(カフェ開催は)3回目ということもあり「次はどうなるんだろう?」とコンセプト自体を気にする反応が多かったですね。ありがたいことに反響も良く、「楽しかった!」と温かいメッセージをたくさんいただいています!

――コラボカフェ開催が決まった時のあいだいろ先生の反応はいかがでしたか?

今西:とても喜んでいましたね。読者の方が集まって楽しんでいただけるイベントはなかなかない機会なので、「何しようかな~!」、「こんなのどうかな?」といろいろと張り切ってくれました(笑)。

――今回のコラボカフェのテーマは“ゴーストホテル”。このテーマはどのようにして生まれたのでしょうか?

大久保:今回のテーマはあいだいろ先生がご提案してくださった形ですね。

今西:1回目であればキャラクターがカフェ店員になる形がオーソドックスかと思うんですけど、今回は3回目の開催ということでまた違った形で見せたい、そして初めてくる方や過去にきてくださった方が新鮮に楽しめる形にしたいと先生からご提案いただきまして。

 『Gファンタジー』は創刊記念号に合わせて毎年色紙をプレゼントする企画を実施しているのですが、25周年の時の『地縛少年花子くん』の色紙のテーマが“ゴーストホテル”だったんです。読者の方からの反響がとてもよかったこともあり、あいだいろ先生と「今回はゴーストホテルでいこう!」と決めました。

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『地縛少年花子くん』といえば見逃せないのは●●●!

――先生の方からメニューや店内イメージの提案などはあったのでしょうか?

大久保:メニューのベースとなるアイディアをいただき全メニュー監修してくださいました。またメニュー名もすべてつけていただきました。“聖なる”を“ホーリー”と読ませるというのは先生のアイディアです(笑)。

――店内のインテリアは蜘蛛の巣がかかっていたり、ミニキャラがいたるところに隠れていたりと“ゴーストホテル”にぴったりな素敵な内装。こちらはどのようにしてイメージを膨らませていったのでしょうか?

安藤:我々のほうで先生が描かれた“ゴーストホテル”の世界観を再現することを考えた時に、ぴったりじゃないかと思って……置いてみました(笑)!

大久保:あの蜘蛛の巣すごいですよね。初めて目にしたときにカフェの雰囲気にぴったりだなと思いました!

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――店内で流れているBGMも“ゴーストホテル”にぴったりです。

大久保:色々な曲を聴いて選んだので、そう言っていただけると嬉しいです! 今回、世界観をしっかりと先生からご提案いただいていたので、内装の部分はイメージしやすかったですね。

今西:カフェでありながらホラーアトラクションに乗っている時のような楽しさがありますよね。世界観がしっかりあるからこそ作れた空間だと思います。

大久保:そして、『地縛少年花子くん』ということでぜひともトイレはチェックしてほしいですね! こればかりは自分の目でチェックしてほしいです。

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――トイレは欠かせないチェックポイントですね。今回、カフェのイラストも先生描き下ろしのものだそうですが、キャラクターの鍵に描かれている番号が意味するものはあるのでしょうか?

今西:テーマの舞台になっている“ゴーストホテル”では、従業員(キャラクター)たちが住み込みで働いているんです。鍵に描かれた番号は従業員が暮らす部屋の番号になっていて、1,2,3……と番号が振られているのですが、順番に並べてみると隣同士になっていたり上下になっているキャラクターが分かるようになっています。キャラクターの関係性ともリンクしているので、ぜひチェックしてみてください。

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――今回、イラストだけでなくストーリーカードも先生書き下ろしになっていますよね。

今西:『Gファンタジー』を読んでくださっている方は25周年色紙の存在を知ってくれているかもしれないのですが、ほとんどの方が初見だと思うんです。そうなると“ゴーストホテル”はどういうストーリーなのか、キャラクターたちは何をしているのかが分かりにくいんじゃないかというところで、ストーリーカードや店内PVでご紹介させていただいています。初めての人にも優しい仕様になっていますので、ぜひお友達と一緒に遊びにきてほしいですね(笑)。

相澤:来店される方がかなり若い方が多くて、土日になると家族連れで席がいっぱいになることも珍しくありません。なかには、コラボカフェを利用したことがないお父さんから、「娘のために予約したいんですけどどうしたらいいですか?」とご連絡いただくことがありましたし、「娘がグッズを欲しがっているのですがまだ品切れになっていませんか?」とお問い合わせをいただいたこともありました。

安藤:「お小遣いを溜めていきます!」なんてお声をいただくこともありました。こうしたお声をいただくと素敵なカフェを実現できて良かったと思いますし、ぜひとも楽しんでいってほしいなと思いますね。

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「マフィンを崩して土にする」、「ポトフは毎回面取りしている」――コラボメニュー調理秘話が明らかに!

――ゴーストホテルへの招待状つきの“GHOST HOTEL’S CAFE Afternoon Tea”や花子くんの大好物”花子くんのうきうきドーナツ”、もっけの大好物の飴をイメージしたキラキラ輝く“もっけのゆかいなアメけーき”など、かなり個性的なメニューが登場していますよね。

安藤:“もっけのゆかいなアメけーき”はかなりの力作です……! 美味しいことはもちろんとして、可愛い食べ物を写真に撮って楽しむこともコラボカフェでみなさんが楽しみにしているポイントだと思うので、みなさんに目からも楽しんでいただけるようなメニューを提案させていただきました。試行錯誤しながらもメニュー全体で30案ほどご提案させていただいて、そこからチームで話し合いを重ねて絞って絞って現在の形になりましたね。

中山:“もっけ”といえば“飴”のイメージだと思うんですけど、一工夫して飴をイメージしたケーキにさせていただきました。ありがたいことにファンの方からの反響も良く嬉しく思っています!

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――“園芸部寧々の食べられる畑”はかなり個性があらわれていますよね。鉢植えに入っているデザートはかなりインパクトがありました。

大久保:“園芸部寧々の食べられる畑”は鉢植えにマフィンが入っているんですけど、キッチンに鉢植えが並ぶ光景はかなりシュールです(笑)。

白土:チョコレートマフィンは、土にみたてるために崩して土っぽくしているんですよ。料理人としては「そのまま食べた方が美味しいかな?」と葛藤もあるのですが、見た目の再現度へこだわり、そこに確かな美味しさを合わせることができるようにと、毎日マフィンをほぐしています(笑)。

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――(笑)。“寧々のDA・I・KO・Nポトフ”は今の時期にぴったりのほっと温まるメニューですね。

今西:実は今回のコラボフードのなかで一番手間がかかっているメニューなんです。

大久保:“寧々のDA・I・KO・Nポトフ”に使用している大根は、出来合いのものを温めているのではなく、毎日お店で大根を煮ているんです。しかも、普通に作ると味が染みないということで、1つ1つ面取り(※切った野菜の角を丸くなるように薄く削ぎ取ること)しているとっても手間暇がかかっているメニュー。それを880円で出しているから「これはコラボカフェのクオリティーなのか…?」と良い意味で疑問に思っています(笑)。

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――なんと! それはぜひ来店した方には味わっていただきたいですね。

相澤:味わっていただきたい! という気持ちはかなり強いのですが、仕込みが大変なのでたくさん注文が入ると複雑なメニューです(笑)。

白土:試食会の時にみなさんが口をそろえて「美味しい」と言ってくださったことが嬉しかった半面、「これは大変なものを生み出してしまったかもしれない(手間的な意味で)」と思ったメニューです(笑)。

全員:(笑)

大久保:調理チームは本当に情熱を持ってコラボメニューを開発してくれているんです。後半メニューのなかにある“時計守のタルト~フルーツ添え~”のタルトもお店で手作りしています。タルトの中に、ベリー、チョコクリーム、生クリームを重ねて1つ1つ作っていて……「本当にコラボカフェで出してくれるの!?」って思うくらい手間暇がかかっている。コラボカフェに行ったことがない、普通のカフェしか行ったことがないという方でも楽しんでいただけると思います。

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今西:後半メニューには“激ヤバスープ”という“激ヤバな”スープや数量限定の“絵空事ケーキ”など個性的&可愛いメニューが登場するので前半に来ていただいた方、後半で初めて来店される方の誰もが楽しんでいただけると思います。

 ちなみにあいだいろ先生は“光の特製オムライス”が一押しでした! このオムライスは中にカポナータ(揚げナスの煮込み)が入っていて、他のコラボカフェでは味わえないお味になっています。こうした隠しだねがあるのも調理サイドの素敵な心遣いですよね。

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――どのフードも美味しそうでしたが、ドリンクも素敵なものばかりでどれを注文しようか悩んでしまいました。

大久保:“寧々のウェルカムカクテル”は、あいだいろ先生がTwitterでカフェオープン前に紡いでいたストーリーのなかにも登場しているもの。コラボカフェに訪れた最初の1杯目におすすめです。

――ちなみに、没になってしまったメニューもあったのでしょうか?

中山:“ハニ太郎サンド”という幻のメニューがありましたよね。

今西:ありましたね! ハニワをお守りとして持っている茜くんというキャラクターがいまして、彼をイメージしたフードとして“ハニワ”のコッペパンを提案していただいたんです。

 企画段階ではありだと思い試作してみたのですが、お値段が意外と高くなってしまい、見た目もまんまハニワで(笑)、頼んでくれる人がいるかなと…。茜くんはそこまで“ハニワ推し”なわけではないこともあって幻のメニューとなりました(笑)。

安藤:“花子くんのドーナツ”は最初“学帽”をイメージしたものをご提案させていただいたんですけど、「帽子じゃなくて、見た目がかわいくておいしそうなドーナツにしてほしい」という話になり帽子型は没になりましたね。

大久保:あとは、土籠先生の16時の書庫をイメージして本のケーキを試作してみたんですけど、価格設定がかなり高くなってしまいそうだということで、残念ながら没になりました。

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――幻と化したメニューもあったのですね! かなりの数のメニュー数を考案されたとのことですが、どういったところでアイディアを生み出しているのでしょか?

中山:常にInstagramやTwitterで情報収集をして「お客様はどういったものを求めているのか」を分析しています。そこから発想を膨らませてメニューを考えていくことが多いですね。

安藤:あと、お客様の年齢層に合わせて好きそうなものをまず考えています。その際に、コラボカフェのメニューとして考えるというよりは、普通の飲食のメニューとして美味しそうなものを考えてみて、そこからキャラクターに寄り添ったものを考案することが多いですね。

――今回はかなり“映え”を意識したメニューが多いようですが、やはり“映え”はニーズとして欠かせない要素でしょうか?

安藤:そうですね。美味しいメニューであることはもちろんとして、写真に撮っても素敵なメニューだとInstagramやTwitterに乗せてファンの方が交流するきっかけにもなると思うんです。作品を知っている方同士はもちろんのこと、作品を知らない人も「それ素敵だね」、「何の作品?」と話すきっかけの一つになれば嬉しいです。

大久保:原作サイドとしてもコラボカフェはメニューが大事だと思っているので、「こんなメニューを作ってほしい」「このイラストのカードをつけたい」など、色々と要望を出させていただくのですが、その要望を企画・調理サイドが一生懸命に形にしてくださるので、毎回素敵なメニューが誕生していますし、結果的にファンの方に楽しんでいただけるものになっていますね。

――来店される層がかなり若いというところで、味付けの面で工夫されることもあるのでしょうか?

相澤:“寧々ともっけのぶろっこりぐらたんDX”は、企画の段階ではもう少し味にメリハリをつけていたんですけど、若い方の舌にあうように見直しましたね。

大久保:後半から登場する“もっけカレー”は当初グリーンカレーだったんですが、若い方の舌にあうようにと普通のカレーに変えていただきました。

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――年齢層に合わせたメニューを考案されているとのことですが、メニューを作る上で苦労すること、またこだわっていることはありますか?

相澤:コラボメニューにするうえで一番の葛藤は見た目です。イメージが膨らんだとしても、どうやって色見を出すかどうかで悩むことが多いですね。この色を出すならこの食材だけれど、このメニューにこの食材は合わない。

 だとしたら何で色見を再現しようか……という葛藤を繰り返して、完成したものを食べてみると「意外と食べてみたらいけるな!」と落ち着いた時はほっとします(笑)。あとは調子いいときはすぐに閃くんですけど、スランプに入ると悶々とすることもあります。

白土:料理サイドと原作サイドの温度差があることもあって、自分たちは「めっちゃいいのできた!」と思っても原作サイドから「これは無し!」となることもありました(笑)。メニューに関しては完全に閃き勝負なので、いい閃きが形になって、OKが出た時は嬉しいですね。

――今回のメニューのなかでとくに苦労したものは?

相澤:やっぱり、先ほど話題にあがった“寧々のDA・I・KO・Nポトフ”ですね…(笑)。

――最後に読者へのメッセージをお願いします!

今西:後半から新しいメニューも追加されるので、何度来ても楽しんでいただけるカフェになっているかと思います。食べて飲んで楽しんでいってほしいです。また、フード&ドリンクを注文すると手に入るコースターも素敵なデザインになっているので、ぜひとも記念に手に入れていただければと思います。絶対楽しんでいただけると思うのでぜひともお越しください!

相澤:映えるメニューがたくさんあるのでカメラを忘れずに!

――ありがとうございました!

■地縛少年花子くん GHOST HOTEL’S CAFE
会場:東京・池袋アニぱらCAFE
住所:東京都豊島区南池袋 1-26-2 近代グループBLD 3号館 7階

開催期間:12月5日~2019年2月11日

詳細はコチラ

文・河内香奈子
©AidaIro/SQUARE ENIX

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