anime

『勇者王ガオガイガー』『少女革命ウテナ』などが放送された平成9年! 平成のアニメを振り返る『平成アニメ備忘録』第9回

2018.10.01 <PASH! PLUS>


PASH! PLUS

 平成が終わる前に30年分のTVアニメを振り返る『平成アニメ備忘録』シリーズ! 今回は平成9年(1997年)のアニメを振り返ります。

heisei_ca

 この連載では、30年間に放送されたTVアニメの中から気になるタイトルを独断と偏見でピックアップしつつ、アニメとともに元年から平成を振り返っていきます。

 平成9年は、サンライズ制作のSFロボットアニメ『勇者王ガオガイガー』、“おまじない香水瓶”は女児のマストアイテム『夢のクレヨン王国』、能力者たちの激闘描いた『烈火の炎』などが放送されました。

 今回は、数ある平成9年に放送されたTVアニメのうち3作をご紹介します!

『ポケットモンスター』を見た子供は本当の友情とは何たるかを学んだ

 1997年4月より『ポケットモンスター』に登場するサトシ&ピカチュウの冒険は始まりました。2017年には放送開始から20周年を迎え、通算1000回の放送を迎え、現在でもテレビ東京のアニメシリーズでは最長寿アニメ番組として記録を更新し続けています。

 本作は、マサラタウンに住む少年・サトシがポケットモンスター(ポケモン)の最強トレーナーを目指して冒険に出るところから物語が始まります。正式にはポケモン研究者のオーキド博士から“ピカチュウ”と出会った時点が物語の始まり。今でこそサトシとピカチュウのセットは当たり前ですが、『ポケットモンスター赤・緑』をプレイされていた方は「ヒトカゲでもゼニガメでもフシギダネでもなくピカチュウなんだ!」と驚かれた(もしくは羨ましく思った)方もいるのではないでしょうか? 

 ちなみに、サトシの相棒にピカチュウが選ばれたのには、ゲームで登場する3匹(ヒトカゲ・ゼニガメ・フシギダネ)のどれかをサトシが相棒にすることで、サトシに選ばれなかったポケモンを選んだ子供が寂しい思いをしてしまうかもしれない……と考慮されてのことだそうです。優しい世界。また女の子にも入ってきやすいようにという理由もあったよう。ピカチュウが選ばれたのは人気があった+可愛くて強いからとの理由とのこと。ピカチュウ可愛いですもんね、納得です。

 そんな本作の魅力の一つは、サトシがポケモンと真摯に向き合う姿にあるような気がします。サトシは、“人間だから”、“ポケモンだから”という固定観念に囚われず、“友達だから”と対等に向き合う姿は、子供心に学ばされるものがありました。そして、大人になるほどに目の前の出来事に恐れずに、猪突猛進するサトシの姿に“強い心を持たないとなぁ”と思わされることも。

フェティシズムあふれる美しい世界を描いた『少女革命ウテナ』

 『少女革命ウテナ』は、『美少女戦士セーラームーン』シリーズのメインスタッフ・幾原邦彦さんをはじめとした尖鋭スタッフ×少女漫画家のさいとうちほさんによるオリジナルTVアニメとして1997年にアニメ放送されました。メインスタッフには『文豪ストレイドッグス』で知られる榎戸洋司さん、五十嵐卓哉さんも参加しています。

 本作を詳しく知らないという方でも、「世界を革命する力を!」の掛け声とともに、少女の胸から剣を取り出し、決闘に挑むシーンを目にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか?

 物語の舞台は、小高い丘に建つ寮生の学園・鳳学園。主人公の少女・天上ウテナは、幼いころに自分を助けてくれた王子様に憧れ、“王子様になりたい”という思いから“男装の王子様”として学園へと入学。学園にて“男装の王子様”としてアイドル的人気を得たウテナは、とある出来事をきっかけに生徒会役員(デュエリスト)との決闘ゲームに巻き込まれることに。決闘の勝者は、“薔薇の花嫁”と呼ばれる少女・姫宮アンシー、そして彼女が持つ“世界を革命する力”を手に入れることができる……というのが本作のあらすじです。

 本作の見どころは、月並みな表現でいえば“フェティシズムあふれる美しい世界観”です。男装した美麗な少女が闘いへと挑む姿、胸に挿した薔薇を散らされた者は敗者になること、“薔薇の刻印”を持つ者だけが“薔薇の花嫁”を巡る決闘へ参加できること、決闘の末に待つ“世界の果て”の正体……キーワード1つ1つが美しく、独特な世界観を持っています。

 また、登場人物たちが何かしたらのコンプレックスを持っていること、“女性同士の友情”とも“同性愛”ともとれる描写があること、“性描写”が描かれるなどその表現も話題に。演出のアバンギャルドさも相まって、いけないものを見ているかのようなドキドキ感を得た方も少なくないのではないでしょうか。筆者はウテナを見るとものすごくドキドキします。

 そして、決闘広場に向かう最中に流れる挿入歌『絶対運命黙示録』をはじめとした、決闘曲(テーマソング)がこれまた良いのです……。

閉ざされた土地で起こる難事件を解決できるか? ミステリーの王道『金田一少年の事件簿』

 最後にご紹介するのは「ジッチャンの名にかけて!」の名言でもお馴染みの『金田一少年の事件簿』。1997年~2000年にかけてTVアニメ化され、2007年にはテレビスペシャル版が、2014年・15年には『リターンズ』が放送されました。最近では本作に登場する犯人を主人公にしたスピンオフ『犯人たちの事件簿』が話題ですよね。悲壮感でも同情でもない形で犯人に感情移入できる、今までにない作風で面白くて好きです。話がそれました。

 本作は、名探偵・金田一耕助の孫、高校生の金田一  一が、難事件を祖父譲りの推理力で解決していく物語。吹雪の山荘や列車内など閉ざされた世界で起こる連続殺人事件、“怪人”を名乗る犯人の登場、土地に纏わる都市伝説や噂……ミステリーの王道を描いた『金田一少年の事件簿』は、推理漫画の先駆けといっても過言ではありません。金田一が一つ一つ証拠を拾い集め、物語の核心に触れた時、視聴者も一緒になって謎を解いたかのような気分を味わえる……この緊迫感こそが本作の魅力の一つではないでしょうか。

 全148話と長編ではありますが、基本的には各事件が1~4話で構成されているので、事件ごとに見るとさくっと見終わっています。個人的には『露西亜人形殺人事件』、『異人館ホテル殺人事件』、『異人館村殺人事件』がおすすめ。ただしシリーズのなかでも残酷性・猟奇性が高い作品のため苦手な方はご注意を。この3作品は、事件が解決したにも関わらず“なんだか空しい”気持ちになり、3日は後を引きます。おすすめです。

 なお、同じ話で声優が2役を演じる際、正体が明らかになるまで別名義を使用していることがあります。「あれ、この声あの人じゃない?」と思ってエンドロールを見ていると全く知らない名前なことも……正体が明らかになった時に「やっぱりあの人だった!」と、一つの謎解きに勝ったような感覚を味わえるのはアニメならではの楽しみかもしれません。

平成9年の日本はどうだった?

 ちなみに平成9年の日本では、映画『もののけ姫』が劇場公開されたほか、サッカー日本代表がW杯初出場を決めた“ジョホールバルの歓喜”が起こりました。また、“X JAPAN”が記者会見を開き解散を発表、12月31日大晦日に解散ライブが開催されたことでも大きな話題になりました。

 次回の『平成アニメ備忘録』をお楽しみに!

過去の記事はこちら

第1回(1989年/平成元年)

第2回(1990年/平成2年)

第3回(1991年/平成3年)

第4回(1992年/平成4年)

第5回(1993年/平成5年)

第6回(1994年/平成6年)

第7回(1995年/平成7年)

第8回(1996年/平成8年)

タグ

オススメ
あわせて読みたい